「ミスターマーケット」とは、世界一の投資家であるウォーレン・バフェット氏の師匠であり、「マネリテ!」でも度々紹介しているベンジャミン・グレアム氏が、株式市場における情緒不安定なパートナーであるとし、ミスターマーケットという名を付けました。
今回は、そのミスターマーケットとは具体的にどのような存在なのかを解説していきます。
目次
Contents
ミスターマーケットとは
ミスターマーケットとは、上記でも触れたように情緒不安定な株式市場における投資家の「共同出資者」ついてグレアム氏が名付けたものです。
この項目の締めくくりとして、例え話をしよう。ある個人企業に一〇〇〇ドルの出資をしていると想像してほしい。共同出資者の一人には、ミスター・マーケットという名の非常に世話好きな男がいる。彼は、あなたの持ち分の現在価値に関する自分の考えを毎日教えてくれ、さらにはその価格であなたの持ち分を買い取ってもいいし、同じ単位価格で自分の持ち分を分けてもいいと言ってくる。彼の価値評価が、企業成長やあなた自身が考える将来性に見合っており、適切なものに思えるときもあるだろう。その反面、ミスター・マーケットはしばしば理性を失い、あなたには彼が常軌を逸した価格を提示しているように思えることもある。
もしもあなたが慎重な投資家あるいは思慮深い実業家ならば、自分の出資分一〇〇〇ドルに関する価値評価を、ミスター・マーケットの言葉によって決めるだろうか?そうするのは、あなたが彼と同意見のとき、また彼と取引したいと望むときだけである。彼が途方もない高値を提示してきたときに全持ち分を彼に売ることができたり、あるいは安値のときに彼の持ち分を買い取ることができれば、それはあなたにとって幸運だろう。しかしそれ以外のときには、事業内容や財務状況に関する報告書に基づいて、持ち分の価値評価について自分なりの考えを持つのが賢明なのである。
(引用:賢明なる投資家)
投資家の共同出資者であり、「世話好き」「しばしば理性を失う」パートナーであるとしています。
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グレアム氏のメッセージ
グレアム氏はどのような思いから「株価」を「ミスターマーケット」と名付けたのでしょうか。
理由として「賢明なる投資家」に記載されているのは、株価は近視眼的には適正値を示しておらず、理論値から乖離していることが多々あるとしています。
以前のコンテンツでバフェット氏の投資スタンスに触れましたが、株価は好材料が出た時や悪材料が出た時にも過大評価、過小評価されていると同氏は述べています。
大前提として、相場に生息する95%の市場参加者は、一時的な決算情報や、自社株買い等の良いニュースを耳にし株を購入し、ファンダメンタルな要素、例えば企業の不祥事などでが起きれば保有している株などを売却するなど、極めて短絡的な考え方で株をの取引をしています。
このような状況に対して、バフェット氏はこのような一時的、短期的なニュースが時に企業の価値を過大評価し、好ましくないニュースが過小評価されること、そして長期的には企業の株価は本来の価値に収斂すると考えています。
グレアム氏が購入する株式に関しても、「割安株」を購入するとして、その銘柄もつまりは適正な価格を提示しておらず、過小評価され放置されているということです。
株価とは人々の「心理」の集合体であり、様々な思惑で上下します。
しかし、長期的に見ると、株価は理論値に収斂しているとグレアム氏は信じているのです。
つまり、ミスターマーケットを比喩表現してグレアム氏が唱えたかったのは、短期的な市場の煽りに乗るのではなく、長期目線で割安な株式銘柄に投資をすることを是とするべき、ということです。
グレアム氏の短期的には株価は常軌を逸した動きをするものの、長期的には適正な価値を体現するという考え方は弟子であるバフェット氏に受け継がれていることが、同氏の著書を読んでいると理解できます。
バフェット氏のポートフォリオを見ても、長期目線の投資を実践していることがわかります。
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まとめ
株価は常軌を逸した価格を提示していることが多く、短期的なトレードは理論値とも離れていることがあり、成果を出すことは難しいでしょう。
グレアム氏の言う通り、長期的には理論値に株価は収斂されていくことからも、長期目線で割安株を探し出しトレードを行い、利益を積み上げていきましょう。
以上、【有名投資家】グレアム氏が株価の比喩表現に使う「ミスターマーケット」の真意とは?…でした。