【オイルショック(石油危機)とは?】日本の高度経済成長を終わらせた?トイレットペーパー騒動で有名な事象をわかりやすく解説。

日本の高度経済成長を終わらせた?トイレットペーパー騒動で有名なオイルショックをわかりやすく解説。

 

家三郎
ここまで様々な世界経済の事象を紹介してきたのぅ。しかし今回は日本も登場人物となる事象にフォーカスしていくぞよ。

 

 

このコンテンツでは、「日本」の高度経済成長を終わらせたとさせる「オイルショック」について解説していきます。

目次

オイルショックとは何か?

オイルショックとは、原油生産国が「原油価格の値上げ

また、「輸出の制限」を行うことで生じる経済的な影響を指します。

 

オイルショックが生じると、各国内では「原油がなくなるのではないのか」という懐疑的な雰囲気が漂います。

つまり、原油を使った製品の価格が高騰します。

 

本来は、すぐに原油がなくなるわけではありません。

製品がなくなることはないのですが、将来的な見通しの悪さが国内経済に影響を与えるのです。

 

家三郎
日本でも、1970年代にオイルショックの影響を受けて、トイレットペーパーなど化学繊維を使った製品の買い占めが発生したのは皆覚えていることじゃろう。

 

(引用:朝日新聞「高度成長とひずみ」)

(引用:朝日新聞「高度成長とひずみ」)

 

 

 

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オイルショックに至るまでの流れ

それでは、オイルショックに至った経緯を確認していきましょう。

 

イスラエルの建国

 

 

イスラエルの建国

第二次世界大戦中、ヒトラーを党首とした、ドイツのファシスト政党「ナチス」。

またポーランドやソ連によって多くのユダヤ人が迫害されていた歴史があります。

 

家三郎
よく知らん人は「戦場のピアニスト」、「アウシュビッツ行 最終列車」などの映画が参考になるぞよ。

 

 

そんなユダヤ人たちは、迫害を逃れるためにアメリカへ移民していきます。

家三郎
かの有名な天才物理学者、アインシュタインもその1人じゃな。

 

第二次世界大戦終了後。

ユダヤ人たちは自分たちの国をつくらなければ、また迫害が繰り返されると考えます。

 

そして、1948年、現在のイスラエルが位置するパレスチナ地域に、ユダヤ人国家である「イスラエル」が建国されます。

 

イスラエルの国旗

 

もちろん、ユダヤ人たちが移住する前は、別の民族(アラブ人)が住んでいました。

しかし、彼らを追い出す形で、ユダヤ人国家が成立したのです。

 

第一次中東戦争の勃発

イスラエルの建国に対して、アメリカが支持を表明しました。

というのも、アメリカ国内のユダヤ人勢力が無視できない程に大きくなっていました。

アメリカ政府もユダヤ人たちの意向を無視できなくなった為です。

 

アメリカとイスラエルの同盟

 

家三郎
しかし、ユダヤ人たちに追い出されたアラブ人たちは、イスラエルに対して強い憎しみを抱いていたのじゃ。

 

イスラエル周辺のアラブ人国家(サウジアラビア、エジプトなど)もイスラエルの建国に断固反対の姿勢を見せます。

そして、イスラエルの独立を阻止するべく、アラブ人国家がイスラエルに戦争を仕掛けます。

 

第一次中東戦争

 

家三郎
これを「中東戦争」と呼びぞよ。中東戦争は、実に4回繰り返されることになるのじゃ。

最初に起こった中東戦争は、「第一次中東戦争」と呼ばれています。

 

この中東戦争。

最初はイスラエル側が軍事物資の不足で不利とされました。

しかし、アメリカの支援もあり、徐々にイスラエルが形成を逆転していきます。

 

アラブ国家側は、それぞれ王政国家、部族連合国家でした。

そのため、国同士の結束力が弱く、イスラエルの巻き返しに対抗できませんでした。

 

そして、イスラエルの全面的な勝利によって第一次中東戦争は幕を下ろします。

家三郎
イスラエルでは、「戦争によって勝ち取った国土」という意識が広がっていくのじゃ。

 

エジプトの改革

第一次中東戦争の結果を受けて、アラブ国家側でも国内体制を改革するべきという気運が高まってきます。

家三郎
明確にアラブ国家vsイスラエル+アメリカという縮図になってきたのぅ。

 

そんな中、エジプトでは自由将校団と呼ばれる若手の軍人たちによって、国王が追放され、王政が終わりを告げます。

 

エジプトの改革 エジプトの改革

 

家三郎
エジプトは他のアラブ国家に先立って、共和制国家となり、政治改革を進めていくのじゃ。

 

このとき、改革のリーダーとして活躍したのは自由将校団のメンバーであったナセル氏です。

ナセル氏は大統領となり、改革を推進していきます。

 

ナセル氏は、エジプト国内を流れる「スエズ運河」と呼ばれる河川の国有化を突如宣言しました。

 

スエズ運河の国有化

 

スエズ運河は、地中海と紅海を結ぶ河川で、ヨーロッパ諸国にとって、アジア地域へ続く重要な航路でした。

家三郎
もともと、スエズ運河はイギリスによって管理、運営されており、エジプト国内にありながら、他国が所有するという歪んだ構図になっていたのじゃ。

 

ナセル氏は、このスエズ運河をエジプトが管理できないのは不合理であるとして、国有化を宣言したのです。

 

Middle East Monitor「Gamal Abdel Nasser」

(引用:Middle East Monitor「Gamal Abdel Nasser」)

 

もちろん、イギリスとしてはエジプトのスエズ運河国有化を認めることは到底できません。

そして、イギリスがフランス、イスラエルと合同でエジプトに攻撃を仕掛けます。

家三郎
これが第二次中東戦争じゃな。

 

圧倒的な兵力差により、エジプトは敗戦を続けます。

イスラエル軍は、エジプトのシナイ半島を占領するに至ります。

 

エジプトのシナイ半島

 

ただ、世界の世論は「イギリスとフランス、イスラエルの行動は身勝手極まりないものである」として、強く非難します。

 

逆に、エジプトのナセル氏を勇気のある者として評価して、イギリス、フランス、イスラエルは国際的に孤立していきます。

 

そして、イギリス勢力は、エジプトからの撤退を表明したのです。

 

この結果、戦争ではイギリス側が勝利しました。

しかし、政治的にはエジプトが勝利して、ナセル氏は「英雄」としてアラブ国家の中で存在感を高めていきました。

 

イスラエルの反撃

イスラエルの反撃

 

世界の世論は、親アラブ寄りになる中、イスラエルは第二次中東戦争で味わった屈辱に、世論が高揚していました。

イギリスとフランスは、表立ってイスラエルを支援することが難しくなったため、イスラエルは単独でエジプトを攻撃することを決心します。

 

そして、イスラエルはエジプトに先制攻撃を仕掛け、たったの6日間でエジプトに勝利します。

家三郎
あっという間じゃな・・・。

 

イスラエルは、占領地を更に広げ、領土を拡大しました。

 

イスラエルは、占領地を更に広げ、領土を拡大

 

エジプトのナセル氏は、イスラエルの攻撃に為す術なく敗れたため、その権威を失墜させました。

ただ、イスラエルの独断的な攻撃、占領に対して世界の世論は厳しく非難し、国連も安保理決議によりイスラエルを非難しました。

 

家三郎
しかし、イスラエルに直接制裁がなされることはなかったのじゃ。

 

そしてオイルショックへ

そしてオイルショックへ

 

エジプトでは、ナセル氏に代わり、新しくサダトが大統領に就任します。

サダト大統領は、イスラエルへの奇襲攻撃を指示して、これを成功させます。

家三郎
この奇襲攻撃をきっかけに、第四次中東戦争が勃発するのじゃ。

 

最初は、エジプト側が奇襲攻撃を成功させたこともあり、選挙区を有利に進めますが、徐々にイスラエルが反撃を開始します。

このままでは、またイスラエルに敗北することを悟ったアラブ諸国側。

 

アラブ諸国側は、国際世論を味方につける為に、「石油」を利用します。

 

石油

 

サウジアラビアなど原油産油国は、「イスラエルに味方する国」に対する原油の輸出を禁止して、かつ原油の価格を引き上げます。

 

この結果、中東地域の原油に依存していたアメリカやイギリスは経済的に大打撃を受けます。

これが「オイルショック」と呼ばれるものです。

 

日本は、「イスラエルを支援する国」のリストに含まれていた為、急遽、「イスラエルの撤退」を求める声明を出します。

家三郎
ここでようやく日本の登場じゃな。

 

その後、アラブ国家へ外交官を派遣し、話し合いの末、なんとか「リスト」から外されることになりました。

 

ただ、オイルショックによる原油価格の高騰は日本経済にも大きな影響を与え、高度経済成長を終わらせるきっかけとなりました。

家三郎
トイレットペーパー騒動じゃな。

 

この石油戦略によって、アラブ諸国側はイスラエルを国際的に孤立させることに成功します。

そして、アラブ側に有利な休戦協定をイスラエルと結ぶことに成功します。

第四次中東戦争後、エジプトは国内の経済発展のためにアメリカとの関係を強めていきます。

 

エジプトとアメリカの関係

 

ただ、アメリカとの関係を深めるためには、まず「アメリカと友好関係にあるイスラエルとの関係を修復する必要がある」とサダト氏は考えました。

 

そして、アメリカ大統領のカーターが仲介の下、エジプトとイスラエルは1978年に「キャンプデービット合意」と呼ばれる和平プロセスに合意。

1979年に「エジプト=イスラエル和平条約」に調印します。

家三郎
こうして、中東戦争と呼ばれる一連の戦争は幕を閉じることになったのじゃ。

 

 

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〜コラム〜パナソニック(旧:松下電気器)創業者松下幸之助の功績

パナソニック創業者、そして日本の大成功した実業家として有名な松下幸之助氏。

すでに経営の第一線を退いた後にオイルショックが発生しました。

 

石油危機で混沌とした日本の未来を憂い、94歳で天寿を全うするまでの数年間に、私財70億円を投じました。

 

松下政経塾」の設立、国際技術団の発足、日本人初の米ハーバードビジネススクール(HBS:Harvard Business School)への100億ドル寄贈など。

精力的に社会奉仕活動に邁進しました。

 

松下政経塾

(引用:松下政経塾「プロローグ」)

 

信太郎
大成功した経営者は最終的には無欲になり、社会貢献活動に全力で取り組むというが、松下氏はまさにそれじゃな。同氏を突き動かしたのが、オイルショックによる国民不安だったそうじゃ。
秀次郎
すごいですね〜。私も無欲になるまで早く稼がねば!!

 

 

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まとめ

オイルショックは、「原油の輸出制限」という面が強調されがちですが、それに至るまでに、中東地域の複雑な対立がありました。

中東戦争は計4回勃発して、アラブ諸国が最後の手段として「原油戦略」に踏み切ったのです。

 

歴史の流れを知ると、ある出来事が起こった際の因果を正確に把握することができます。

現代の政治・経済問題も、その原因を深く調べるクセをつけておくと、新たな発見がありますよ。

 

 

以上、【オイルショック(石油危機)とは?】日本の高度経済成長を終わらせた?トイレットペーパー騒動で有名な事象をわかりやすく解説。…の話題でした!

 

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2019年6月3日

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マネリテ!編集部は東京大学経済学部卒の証券アナリストを中心とした金融知識が豊富なメンバーが株式投資初心者に向けて有益な情報を提供しています。株式投資を行う意義から基本用語、おすすめのネット証券・投資先情報をお伝えするメディアです。日本人の金融リテラシーの向上と明るい未来を目指しています。