「四季報」とは、東洋経済新報社が発行する上場企業の基本状況や業績、財務状況、株価指数、株主優待の紹介などがチェックできる書籍です。
四季報は年に4回発行しており、投資家なら一度は目にしたことがあるのではないでしょうか?
元々は紙出版で、書籍として2000円で販売しています。
しかし、最近では「インターネット証券」で口座を開設し、目を通す人もとても増えました。
今回は、四季報で把握できる情報とその読み方。
そしてネット証券会社であるSBI証券の口座を例に、株式投資する際の企業銘柄のスクリーニング方法について解説していきます。
目次
Contents
- 1 四季報でわかる9つのこと
- 2 枠外の情報もしっかりと使いこなそう!
- 3 四季報はネットで見るのが手軽でおすすめ
- 4 SBI証券で見る四季報を一例として。チェックすべき6つのポイントは?
- 4.1 四季報の読み方①:企業概要を把握する(ページ:四季報>企業概要>特色)
- 4.2 四季報の読み方②:PERの確認・15倍以下の企業はどこ?(ページ:銘柄詳細>企業情報>予想PER)
- 4.3 四季報の読み方③:PBRの確認・1倍以下の企業はどこ?(ページ:銘柄詳細>企業情報>予想PBR)
- 4.4 四季報の読み方④:成長性がある企業はどこ?(ページ:銘柄分析>財務分析>業績・前期比)
- 4.5 四季報の読み方⑤:自己資本率を確認・40%以上の企業は?(ページ:銘柄分析>銘柄比較>自己資本比率)
- 4.6 四季報の読み方⑥:EPSより1株当たりの配当が低いか?(ページ:銘柄詳細>企業情報>企業情報>予想EPS)
- 5 結局どんな企業に着目すればいいの?優良企業のピックアップ方法まとめ
- 6 まとめ
四季報でわかる9つのこと
四季報では、9つの情報が主にチェックできます。
月足長期チャート
企業の月足の株価チャートです。
長期的な株価動向がわかるので、「長期投資」をする人は参考になるはずです。
「移動平均線」など、株取引に欠かせない情報です。
株価指標:PER(株価収益率)
現在の株価が、企業が稼ぐ利益に対して割安かどうかを示しています。
「PER」が15倍を下回ると割安、10倍以下だとかなり注目株です。
企業業績や最近の動向
その企業の最近の活動内容が記されています。
業績や発表されている変更点、また業績に何らかの影響を与える可能性があるニュースにも注目しましょう。
株主構成
その企業の株式を持っている企業や個人の割合です。
ここでは、株主構成で注目すべきポイントについてご説明します。
外国人の持ち株比率
日本国が保有している株もあれば、外国人投資家が持っている場合もあり、それぞれ株価が動くタイミングに特徴がでます。
外国人投資家が株を保有している比率が高い場合、多くの資金を投入する機関投資家がいるかもしれません。
そのため、外国人持ち株比率が上がると株価が一気に上昇し、逆に、外国人持ち株比率が下がると下落する傾向にあります。
その企業の経営者が大株主
その企業の経営者が自社の大株主だと、経営者本人がその企業の経営に熱心になる傾向があります。
そのため、株価対策に力を入れてくれる可能性が高く、株価が上がりやすいでしょう。
浮動株と特定株の比率
また、浮動株と特定株にも着目してください。
浮動株とは、1~50単元未満の株主が所有する、株式数の割合です。
一方、特定株というものもあり、これは10位までの大株主と役員、自己株口の株式数の割合を指します。
特定株の割合が高く浮動株の割合が低い銘柄は、株式市場での流通量が少ないため、一般的に株価の変動が激しいと言えます。
そのため、浮動株が少ない銘柄は値動きが激しい可能性が高いので、注意が必要です。
財務と財務指標
企業の財務に関して記されています。
総資産、負債、自己資産、収益性、自己資本率など、企業の健康状態を知ることができる重要な項目ですのでぜひともチェックしましょう。
資本に関する情報
株式の増資や分割など、資本移動についての情報です。
最近は株式分割されるケースが増えており、その場合は1株当たりの金額が安くなり購入しやすくなります。
その結果、必然的に株価が上昇することが多いです。
配当情報
企業が株主に支払った配当金額が記されています。
また、過去の配当金も見ることができるので、増配し続けている期間もわかります。
増配期間が長いと、株主にとっては「きちんと配当金を出す会社」として安心できます。
企業業績
四季報で最も重要な項目です。
売上高、営業利益、経常利益、純利益、1株利益、配当と並んでおり、今後の業績予測が掲載されています。
四季報予想比較
上記の続きであり、こちらも重要項目。
会社比強気、弱気と記されており、会社の予想と比べて、利益が多いのか少ないのか、シビアにチェックできます。
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枠外の情報もしっかりと使いこなそう!
四季報は、枠外の情報も生かせます。
ここでは、活用すべき枠外の情報についてご説明します。
長期トレンドがわかるチャート
ページの上部に株価チャートが記載されており、3年半分の月足チャート、12か月&24か月移動平均線、出来高の情報があります。
長期的な株価の推移を見ることで、今後の予想も可能です。
見出しと強気マーク
各銘柄には東洋経済の記者による、【絶好調】、【減益】、【V字回復】などのコメントがついているので、一目でその銘柄の特徴がわかります。
また、各企業の四季報による営業利益予想、いわゆる四季報予想が前号から上回っていれば上向き矢印、下回っていれば下向き矢印が記載されています。
そして、会社予想より四季報予想の方が上なら強気の「ニコニコマーク」、下なら弱気の「がっかりマーク」がついています。
これらの一目でわかるわかりやすい情報を活用すると、スムーズに四季報から情報を読み取れます。
ランキング情報
全ての企業情報を確認するのは大変ですが、ランキング情報から急成長している企業や業績の良い企業を探すと素早くよい銘柄を見つけられます。
ランキング情報もうまく活用しましょう。
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四季報はネットで見るのが手軽でおすすめ
ここまで、紙で見る四季報をご紹介してきました。
実は、近年ではネットの証券会社に口座を持っている人は無料で見られます。
手軽に使えるので、ほとんどの投資家が活用しています。
口座登録さえ済ませば、手軽に四季報がチェックできるようになります。
まだ証券口座を持っていない人は開設してみましょう。
ネットでは、四季報にある情報を条件検索して、自分の希望の条件の銘柄をスクリーニングできます。
自分の知らない銘柄と出会うことができ、興味深いのでぜひ挑戦して見てくださいね。
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SBI証券で見る四季報を一例として。チェックすべき6つのポイントは?
※全て2019年4月現在の情報です
四季報の読み方①:企業概要を把握する(ページ:四季報>企業概要>特色)
まずは、気になる企業がどんな事業を展開しているかをチェックしてみましょう(紙版では「業績や最近の動向」の項目)。
「特色」を見ると、中心となる事業の中核が読み解けます。
「連結事業」、「設立・上場」、「本社~販売先」なども重要な情報です。
また、今後の展開や今季の事業進捗が記されていることもあります。
「今、注力している事業は?」
「その事業のこれからの展開は?」
など、その株を取得するかどうかを決める大きなポイントになるはずです。
四季報の読み方②:PERの確認・15倍以下の企業はどこ?(ページ:銘柄詳細>企業情報>予想PER)
次に1株益(円)を見てみましょう。
この利益が株価の何倍かを計算したものがPERです。
PERとは、株価収益率のことでこの値が低い会社ほど、稼ぐ力が高いといわれています。
10―15倍以下のPERであれば、財務状況は悪くないと判断できます。
また、同業種のPERと比べてどれくらい収益性が高いのかを見定め投資判断に役立てていきましょう。
優待で人気のすかいらーくやマクドナルドは、「PER」が高い傾向にあります。
反対にオリックスやKDDIなど利益は出しているが将来性など別の不安事項がある銘柄はPERが割安になっています。
お買い得と言える水準にあります。
四季報の読み方③:PBRの確認・1倍以下の企業はどこ?(ページ:銘柄詳細>企業情報>予想PBR)
株価が1株当たりの純資産の何倍になっているかを示すのが「PBR(1株当たり純資産)」です。
PBRが小さいほど割安とされ、PBRが1倍の場合、会社の資産を全て売却した場合、株価と同額になる、とされています。
割安性を示していて、PRB1倍以下だと株価が割安であると言えます。
もしもPBR1倍以下の株式会社が倒産した場合、株主には利益が出る計算になり、株価が下げ止まる支えになります。
■ PBR1倍以下の企業例:
- ホンダ 0.67倍….割安
- ヤマダ電機 0.76倍….割安
- ディー・エヌ・エー 0.89倍….割安
- NEW ART 1.32倍….適正
- ZOZO 34.56倍….割高
世界的に不調な「自動車業界」。
その影響で株価が大きく下がったホンダはPBRが0.67倍とかなりお買い得です。
反対に、2018年度に力を入れた事業が大こけして株価が暴落したZOZOはなんとPBR34倍!
万が一倒産した場合、株主にはほぼ何も残らないと考えていいでしょう。
そのリスクを取れるかどうか、きちんと見極めてから株の取得に踏み切りたいところです。
四季報の読み方④:成長性がある企業はどこ?(ページ:銘柄分析>財務分析>業績・前期比)
上場企業で売上高、営業利益、経常利益、純利益が前年比10%以上伸びている会社は成長性があり、投資対象として魅力的です。
右肩上がりで、順調に伸びていれば、ぜひその会社に注目してみましょう。
四季報の読み方⑤:自己資本率を確認・40%以上の企業は?(ページ:銘柄分析>銘柄比較>自己資本比率)
「キャッシュフロー」は企業の健康状態を見る重要なバロメーターです。
「自己資本比率」はそのキャッシュフローを見る上で重要な指数であり、いくら商品が売れていたり、サービスがヒットしていたりしても、現金がなくなれば、ある時急に倒産してしまうのです。
そうすると株券は紙くずと化して、株主は大きな損を抱えてしまいます。
そうならないためにも自己資本率は必ずチェックしておきましょう。
40%以上の自己資本があれば、財務が安定していて会社は倒産しにくいと言われています。
■ 自己資本比率:
- キャノン 57.7%….安定
- KDDI 57.4%….安定
- JT 48.2%….安定
- ライザップ 16.3%….不安定
- RVH 15.4%….不安定
例えば、ライザップやRVHなど2018年度に赤字決算をした会社は、自己資本比率が著しく低く、非常に不安定な状態ということがわかります。
反対にKDDIなどインフラを持ち再現性が低い事業を持っていたり、JTのように独占市場を持っていたりする企業は自己資本比率が高く、財務状況が安定していると読み解けそうです。
同時に、「有利子負債」という項目も見ておくとよいでしょう。
有利子負債を営業キャッシュフローで割ると、今の営業キャッシュフローのままだとあと何年で借金を支払えるか、などがわかります。
これは「キャッシュフロー対有利子負債比率」と呼びます。
5年以下が望ましいとされ、10年以上の場合は避けた方がよいでしょう。
他には、設備投資などを行うとマイナスになる投資キャッシュフロー、銀行に借金を返済するとマイナスになる財務キャッシュフローがあります。
この二つはどちらもマイナス状態なのが理想です。
四季報の読み方⑥:EPSより1株当たりの配当が低いか?(ページ:銘柄詳細>企業情報>企業情報>予想EPS)
予想EPSを見てみましょう。
「EPS」は、1株当たりの当期純利益。
つまり、1株あたりどれくらいの利益が出ているかということを示しています。
この値を見ることで、企業の収益性を判断できます。
EPSが順調に増えている企業は収益が上がっているため、株価が上がりやすいと言えます。
そして、このEPSが1株あたりの配当金額よりも小さいかどうかも、大事なポイントです。
配当金は企業が得た利益から支払うものです。
EPS、つまり、1株当たりの利益より大きい配当金を出す企業の場合、その企業は資産を取り崩しているということを示しています。
ですから、EPSより1株当たりの配当が低い企業を選ぶ必要があります。
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結局どんな企業に着目すればいいの?優良企業のピックアップ方法まとめ
四季報の一つひとつの項目についてご説明しましたが、結局どの企業に着目すればよいのでしょうか?
ここまでご説明してきた優良企業のピックアップし方をまとめました。
- PERが15倍以下
- 売上と営業利益が10%増、利益率10%以上
- PBRが1倍以下
- 自己資本比率が40%以上
- EPSより1株当たりの配当が低い
これらの条件を満たす企業をピックアップしておき、あとはじっくりと企業情報を確認します。
例えば、企業の業務内容はどうなっているのか、株主構成欄を見て浮動株が多いか少ないか、外国人株主の有無はどうか、大株主はいるかなどです。
四季報の良い点は、企業情報を比較しチェックできるという点です。
ランキングや長期的な株価の推移などもしっかりとチェックすることで、有望な株を見つけられるでしょう。
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まとめ
四季報の読み方をマスターすることで、より深く銘柄に対する知識が身につきます。
そして、投資をする際の自信や成功に繋がっていきます。
まずはネット証券の口座を開いて、ネットで四季報をチェックしてみましょう。
興味が湧いてきたら、紙の四季報に挑戦して、気になるページにどんどんマークをつけて、あなたの投資生活へと役立ててください。
以上、【四季報の読み方・活用法】投資する株式をスクリーニングする方法をSBI証券を例に簡単に紹介。…の話題でした。