【資産分散】「米国株式ETF」と「米国債券ETF」を組み合わせる有効性と今後についてデータを用いて検証!最適なポートフォリオを探し続けよう。

【資産分散】「株式ETF」と「債券ETF」を組み合わせる有効性と今後についてデータを用いて検証!最適なポートフォリオを探し続けよう。

2020年4月30日時点。

 

株価は依然として回復しており、新型コロナウィルス感染拡大初期の暴落から、すでに半値以上が回復しています。

 

ダウ平均株価と日経平均株価の反発

 

淀姫
しかしのぉ。いくら反発しておるといっても二番底が怖すぎて株式投資に踏み出せんのじゃ。

 

以下のコンテンツでは、今後、二番底が到来する可能性を現実的なシナリオを含めてお伝えしています。

【コロナショック・2番底は来る?】新型ウィルス感染拡大の影響で株式市場が再度大暴落することが予想される理由とは?可能性のあるシナリオをそれぞれわかりやすく解説!

【コロナショック!2番底は来る?】株式市場が再び大暴落すると予想される理由とは?二番底の可能性のあるシナリオをそれぞれわかりやすく解説!

2020年4月23日

 

「コロナショックで株価が暴落したところで株を拾いたい、投資を始めてみたい。」

「でも、実体経済は相当冷え込んでいるし、反対に株価が上昇している現状が怖い。」

 

このような方も、大勢いるのではないでしょうか?

 

信太郎
ワシが現在固定ツイートにしておる内容について、元ツイのリプライ含め反響が大きかったことからも同様の悩みを持っている方が多いことが伺えるのぉ。

 

そこで、「投資をしたいけど、また暴落が怖くて投資に踏み出せない」という方におすすめなのが、「株ETF」と「債券ETF」を組み合わせることです。

 

https://twitter.com/nobutaro_mane/status/1254702430429691906

 

上記のツイートでは株ETFと債券ETFを組み合わせる有効性について説明しています。

リプライ含めて、反響が大きかったので詳しく記事で説明していきます。

 

◾️今回のポイント:

 

▷ 資産運用を行う時には、個別銘柄の選定ではなく資産配分をまず考るべき

 

  • 今後の株価(コロナショック脱出)に強気の考えであれば、株式100%投資も否定しない。
  • ただ、同じ資産クラス(株式100% or 株+株に相関する資産など)は程度はあれど同様の動きをする。
  • 株式ばかり保有すると、株価暴落時に全ての投資資産が減少する恐れがある
  • 債券」のように、逆相関の資産を組み合わせると「リスクリターン」が安定する。
  • 債券+株を組み合わせると、互いを補完して資産が上昇していく

 

▷ 今後も株と債券の組み合わせは有効なのかの検証

 

  • 大前提として、未来はわからない。
  • 過去のデータから今後の資産価値の上下動は推察する必要がある。
  • リーマンショック時期を含め40年以上「株+債券」はしっかり補完しあった過去がある。
  • 今回のコロナショックも「株+債券」は補完しあった(株、債券共に下落する局面も有り)。
  • 株、債券共に下落は、一時的な要因であり即解消。
  • 4月30日時点では、債券利回りが低く、債券価格が再度株式暴落時に上昇するか懸念される。
  • 金利がゼロ金利近くなった世界恐慌時も、「株+債券」の組み合わせの有効性は確認できる。

 

▷ ポートフォリオの組み方

 

  • Backtest Portfolioを用いて自分で資産と比率を調整して最適なポートフォリオをみつける
  • 今後のさらなる暴落を見込むのであれば「金(Gold)」を組入るのが有効となる
  • 今は現金として待機させておくのも一つの方法
  • 為替水準に不満があるが投資をしたい場合は、FXを活用してヘッジするのが有効

 

目次

資産運用ポートフォリオを組む時に第一段階で考えるべきは資産配分

普段からツイッターのタイムラインを眺めていると、株ETFに対する分析ばかり目につきます。

しかし、まず第一段階で投資家が考えないといけないのは、投資する資産の配分(ポートフォリオ)を決めることなのです。

 

同じ資産クラスの動きは基本的に連動する

 

信太郎
近年の「インデックス投資」のブームでアクティブ型投信ではなく、インデックスに脚光が浴びているのは我が国民の金融リテラシーが上がっている良き傾向の表れじゃな。

 

たしかに、インデックス投資は安定したリターンを叩き出すのに有効な戦略であることに間違いありません。

ただ、多少の違いはあれど資産クラスが株である限りにおいて基本的には同様の動きをします。

 

以下は話題に上りやすい、「VTI」「VOO」「SPYD」「QQQ」の5年チャートを比較したものです。

 

株ETFの値動きの比較

 

信太郎
それぞれ成績の良し悪しは違えど、特徴的なのは値動きのパターンは同じということじゃな。

 

  • 2015年から2018年末は基本的に堅調。
  • 2018年末は大幅に下落して2019年は堅調。
  • 2020年に入りコロナショックで大幅下落。

 

大小はあれど基本的に同じ動きをするので、どの株ETFを選ぶのかというのは第二段階として考えるべきことです。

 

信太郎
もちろん、現在の相場が上昇するという自信があり、暴騰が見込めるという理由で株ETFに全てのポーションを当てておるなら、それはそれで一つの戦略じゃぞ!

 

資産配分を考える重要性

冒頭に挙げたツイートでもお伝えしている通り株式と逆相関度が高い代表例として債券があります。

例えば代表的な長期債券指数に連動するTLTを組み合わせた場合のポートフォリオのリターンを考えてみましょう。

 

以下はVTIとTLTとVTI(50%)+TLT(50%)を組み合わせたポートフォリオです。

青:VTI 100%
赤:VTI  50% + TLT 50%
黄:TLT 100%

株と債券を組み合わせる有効性

 

それぞれのリスクリターンは以下の通りとなります。

 

リターンリスク
VTI 100%8.87%14.39%
VTI 50% + TLT50%9.26%8.06%
TLT 100%7.41%13.17%

 

淀姫
株と債券を組み合わせるとリスクは最小で、リターンは最高となっておるではないですか!叔父上、ところでリスクリターンとはなんですか??
信太郎
疑問に思ったことを聞くのは良い姿勢じゃぞ!流石、ワシの姪じゃ。詳しくは以下の記事で解説しておるが、簡単に復習するかの!

 

リターンというのは過去のリターンの平均なのでわかりやすくかと思います。

一方のリスクというのは下落する可能性ではありません。

 

信太郎
株式投資におけるリスクとは価格の振れ幅を統計学的に表した数値じゃ!統計学的には標準偏差とよばれておる。
淀姫
・・・意味不明じゃ・・・。わかりやすうたのむぞ・・・。

 

例えば平均リターンが10%でリスクが10%の場合、1年間後のリターンは確率毎に以下の通りとなります。

 

投信や株におけるリスクリターン

 

◾️リターン10%リスク10%の意味の1年後のリターン:

 

  • 平均リターン10%から▲1σ(=▲10%) 〜 +1σ(=+10%)ブレる可能性が68%
  • 平均リターン10%から▲2σ(=▲20%) 〜 +2σ(=+20%)ブレる可能性が95%
  • 平均リターン10%から▲3σ(=▲30%) 〜 +3σ(=+30%)ブレる可能性が99.7%

 

淀姫
図をみるとわかりやすいの!要は平均からどれだけブレる可能性があるかということじゃな!

 

もう一度、先ほどのリスクリターンに戻っていきましょう。

 

リターンリスク
VTI 100%8.87%14.39%
VTI 50% + TLT50%9.26%8.06%
TLT 100%7.41%13.17%

 

信太郎
各ポートフォリオ毎の予想リターンを横並びで比較すると以下の通りとなるぞ!

 

◾️各リスクリターン:

 

[約68%で収まるリターン]

 

VTI:

8.87-14.39(=▲5.52%) 〜 8.87+14.39(=+23.26%)

 

VTI50%+TLT50%:

9.26-8.06(=+1.2%) 〜 9.26+8.06(=+17.32%)

 

TLT100%:

7.41-13.17(=▲5.76%) 〜 7.41+13.17(=+20.58%)

 

[約95%で収まるリターン]

 

VTI:

8.87-14.39×2(=▲19.91%) 〜 8.87+14.39×2(=+37.65%)

 

VTI50%+TLT50%:

9.26-8.06×2(=▲6.86%) 〜 9.26+8.06×2(=+25.38%)

 

TLT100%:

7.41-13.17×2(=▲18.93%) 〜 7.41+13.17×2(=+33.75%)

 

[約99.7%で収まるリターン]

 

VTI:

8.87-14.39×3(=▲34.30%) 〜 8.87+14.39×3(=+52.04%)

 

VTI50%+TLT50%:

9.26-8.06×3(=▲14.92%) 〜 9.26+8.06×3(=+33.44%)

 

TLT100%:

7.41-13.17×3(=▲32.10%) 〜 7.41+13.17×3(=+46.92%)

 

淀姫
株と債券を組み合わせたポートフォリオは最大でも15%の下落を見込めばよいんですね!株単体だと34%下落、債券単体だと32%下落ですからね・・・。今回のような事態になるわけじゃな。

 

また、実際の年間ベースで最も上昇した時と、最も下落した時のリターンは以下となります。

 

最大最小Max Drawdown
VTI 100%33.45%▲36.98%▲50.84%
2007/11-2009/2
VTI 50% + TLT50%22.40%▲3.41%▲17.89%
2007/12-2009/2
TLT 100%33.96%▲21.80%%▲21.80%
2009/1-2011/9

 

淀姫
年ベースじゃと組み合わたポートフォリオは僅か▲3.41%で抑えられておるの!!
信太郎
債券単体でも21.8%下落した年があるからの・・・。

 

 

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株と債券を組み合わせたポートフォリオが安定する理由

 

淀姫
叔父上!株と債券を組み合わせる有効性については理解したんじゃが、なぜ有効なんじゃ?
信太郎
順を追って説明していくぞ!

 

株と債券が逆相関の関係であることがポイント

株と債券を組み合わせたポートフォリオのリターンを組み合わせた時にリターンが安定するのは両者の逆相関性にあります。

 

【リーマンショック期:2007年-2009年】

リーマンショック期の2007年-2009年のTLT(赤)とVTI(青)のリターンは以下となります。

株ETFであるVTIの下落と反対に、債券ETFであるTLTは上昇しています。

リーマンショック期のTLTとVTI

 

 

【チャイナショック期:2014年-2016年】

リーマンショック期の20014年-2016年のTLT(赤)とVTI(青)のリターンは以下となります。

リーマンショックの時ほど顕著ではないですが、両者が局面毎に逆相関しながら最終的に同じリターンになっています。

株ETFであるVTIの下落と反対に、債券ETFであるTLTは上昇しています。

チャイナショック期のVTIとTLTの値動き

 

 

【コロナショック期:2019年-2020年】

直近のコロナショック期でも見事に逆相関が働いています。

コロナショック期のVTIとTLT

 

信太郎
ただ少し注意しなければいけない点があるぞ!それは次の大項目で解説するぞ!

 

株と債券が逆相関する理由

淀姫
しかし、何故逆相関するんじゃ?
信太郎
株と債券の性質によるのじゃ。

 

株は好況期に企業が利益を伸ばすに従って株価を上昇させていきます。

しかし、一旦不況期になると株価は下落します。

 

下落する株を売却し現金にするのもよいのですが現金で持っている限り資産は増えません。

 

信太郎
そこで注目されるのが債券じゃ!債券は満期まで保有すれば元本保証で利息を受け取ることができるからの!
淀姫
つまり債券を保有しておいた方がよいということじゃな!だから株が下落するときには債券価格が上昇するわけじゃな!
淀姫
しかし、最近FRBの利下げで長期債といえども利回りは1%程度となっておるが、債券を保有する動機に欠ける気がするんじゃが・・・。
信太郎
そちは優秀じゃな!では過去を参考にしながら、措置の疑問について考察していくぞ!

 

今後も株と債券を組み合わせたポートフォリオは安定なのか?

先ほど淀姫が疑問を呈した通り、FRBの利下げで国債利回りは下落しています。

翌日物の政策金利は0-0.25%となっています。

 

基本的には信用リスクを加味するため長期債の方が利回りが高いのですが、長期債でも1%程度となっています。

つまり、国債を保有するインセンティブが下落していることになりますね。

 

では株と債券の組み合わせは今後も有効なのでしょうか?

未来の投資成果に確実なことは言えませんので結論づけることはできませんが考察していきたいと思います。

 

過去48年間のデータでは株と債券の組み合わせは有効だった

ただ過去1972年からの実績をみると株と債券を組み合わせたリターンは安定して上昇しています。

青:米国株
赤:米国株50%+長期債券50%
黄:長期債券100%

過去40年の株と債券を組み合わせたリターン

 

1978年〜リターンリスク
米株 100%10.91%15.30%
米株 50% + 長期債50%10.52%9.59%
長期債 100%8.87%11.13%

 

信太郎
未来のことはわからないが、過去は未来を語るに有効なのは間違いないからの。ただ上記の期間で今回のレベルで金利が下落した期間はないんじゃ・・・。
淀姫
では今回の状況は未曾有の事態ということですか?
信太郎
いや過去に今回の状況と似た状況が発生した時代が一度だけあるぞ。それは世界恐慌じゃ。

 

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2019年5月28日

 

米国債金利が低い世界大恐慌時代も債券を組み合わせるのは有効だった

以下は1800年からの米国の過去の長期債の推移です。

世界大恐慌時代には現在と同水準の長期債利回りが15年ほど継続しました。

米国の長期債金利の超長期推移

参照:Business Insider

 

ちなみに上記の金利チャートでは現在の長期債利回りは現れていませんがFRBのよると超長期金利の推移は以下となっています。

1%台前半という低い金利で落ち着いています。

年初来の長期金利の推移

参照:米国財務省データを元に筆者作成

 

淀姫
では当時の株と債券の値動きはどうだったんじゃ?
信太郎
奇跡的に当時のデータが日経新聞から見つけることができたぞ!

 

以下は日経新聞が発表した世界恐慌時の米国株(濃青)米国債(薄青)両者を50%ずつ分散した場合のデータです。

 

世界大恐慌時代の株と債券の合成ポートフォリオの有効性

参照:日経新聞

 

淀姫
金利が低迷している局面においても債券価格は上昇し続けておりますな!
信太郎
うむ。株に魅力がなくなると1%程度の金利でも魅力が高まり続けることということじゃな!

 

当時、株式単体だと大暴落前の1929年の最高値を更新するのに15年5ヶ月を要しています。

しかし、株と債券の分散だと6年2ヶ月で元本を回復しています。

 

信太郎
まぁ、6年2ヶ月も長いがの・・・。世界大恐慌はリーマンショックの比ではないショックじゃったから致し方ない部分もあるの。

 

債券の比率をさらに高めていた場合、もっと早期に回復することができたでしょう。

では、今回の詳細な値動きを見てみましょう。

今回のコロナショックでも危機的な局面もあった

今回のコロナショックの株と債券と合成ポートフォリオの値動きは以下となります。

 

コロナショック期の株と債券と合成ポートフォリオの値動き

参照:Investingを元に筆者作成

 

淀姫
一時期株と債券ともに下落している時期がありますね・・・。
信太郎
この時はわしも冷や汗をかいたの。企業の資金繰りが悪化してドル需給が逼迫したんじゃ。

 

3月中旬に株、債券だけでなく金も含めて全ての資産が下落しました。

原因は企業の資金難に伴うドル枯渇によるドル需要が急騰したことによります。

 

3月9日に付けた直近の安値からは6%強と急上昇している。2月下旬から3月初めは米金利の低下を受け、ドルは下落していたが、先週以降一転して上昇を強めた。

コマーシャルペーパー(CP、短期社債)市場で企業が資金を調達しづらくなっているのが背景だ。新型コロナウイルスの大流行で企業業績への悪影響が懸念されている。投資家も現金志向を強めており、CPは売られやすい状況だ。銀行間金利にも金利上昇は波及している。

 

(引用:日経新聞「ドル需給逼迫で3年ぶり高値 対円は1ドル=108円台に」

 

結果としてドル円も101円台から111円台までドル高が進行しました。

 

円高が進行しないのはなぜ?リスクオフ(=コロナショック株価暴落)でドル円(USD-JPY)が下落しないその理由と今後の為替の見通しを予想する。

今回のリスクオフ(コロナ危機→株価暴落)で「円高」が進行しないのはなぜ?ドル円(USD-JPY)が下落しない理由と今後の為替の見通しを予想。

2020年4月25日

 

信太郎
要は投資家の投資意欲が減退して現金化の需要が高くなり、企業の資金繰りを支える社債市場に資金が提供されず、急激に現金であるドルの需要がたかまったんじゃ。
淀姫
じゃから全ての資産で現金化の動きが起こったんじゃな。今後も発生する可能性はあるかの?
信太郎
まあ、ないとは言えんが今回のように即座にFRBがドル資金の供給に動けば一時的な動きにとどまると思うぞ。

 

今回もドル需給が逼迫してわずか1週間でFRBは迅速な資金供給を発表しマーケットに安定を取り戻しました。

 

【ワシントン=河浪武史】米連邦準備理事会(FRB)は23日、臨時の米連邦公開市場委員会(FOMC)を開き、米国債や住宅ローン担保証券(MBS)の買い入れ量を当面無制限とする緊急措置を決めた。これまでは計7000億ドル(約77兆円)を目安としていたが、「必要量」に切り替える。消費者や中小企業の資金繰りを支援する新たな措置も発動し、ドル資金の目詰まり解消を急ぐ。

<中略>

短期市場では銀行間取引でドル資金が逼迫しており、大量の資金供給で金利上昇や流動性の不安を和らげる必要に迫られている。FRBは同日、消費者ローンや中小企業向け融資を担保とした資産担保証券(ABS)を買い入れる新たな緊急措置も決めた。

(引用:日経新聞「FRB、量的緩和を無制限に 資金供給を大幅拡大」

 

一時的な動きにとどまる可能性が高いとは思いますが、株、債券とも売られる局面もあることは理解しておきましょう。

 

 

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自分にとって最適な資産配分を探求し続けよう!

 

淀姫
債券と株の組み合わせの有効性については理解しました!しかし、叔父上最適な資産配分て実際のところ何なんですか?
信太郎
それは自分で探求し続けるんじゃ!とはいっても調べる方法と数個おすすめできるポートフォリオについて紹介するぞ!

 

ポートフォリオのリターンを調べる便利なツール

先ほどから筆者がポートフォリオのリターンを調べるツールとして用いているのが「Backtest Portfolio」というツールです。

「Backtest Portfolio」には二つの使用方法があります。(対象は米国個別株と米国ETFです)

 

【実際存在する個別銘柄やETFで組成】

Backtest Portfolio Asset Allocation

 

Asset Classに個別銘柄やETFのTickerを入れます。

Portfolio1〜Portfolio3についてはそれぞれの組入ポーションを入力します。

 

以下の図だと、各ポートフォリオはこうなります。

 

  • Portfolio1→VTI 100%
  • Portfolio2→VTI 50% + TLT 50%
  • Portfolio3→TLT 100%

 

Backtest Portfolioの使い方1

 

下に行き「Analyze Portfolio」をクリックすると下にレポートが出力されます。

Backtest Portfolioの使い方2

 

淀姫
非常に便利なツールですね!!パズルみたいに妾も組み合わせることができるの!

 

【実際存在する個別銘柄やETFで組成】

Backtest Portfolio Asset Classes Allocation

 

信太郎
先ほどのレポートは実際存在する銘柄で構成できるが、例えばVTIじゃったら設定された2001年からしか見れないんじゃ。基本的にETFの歴史は浅いからの。そこで資産クラス毎でみれるレポートも用意されておる!

 

画面はほぼ一緒ですが、Asset Classが実際の銘柄ではなく、株や債券といった資産クラスとなっています。

 

Backtest asset class allocationの配分

 

一言に株といっても「大型株・中型株・小型株」と「バリュー株・グロース株」で掛け合わせて米国株全体と合わせて7個用意されています。

また、債券といっても社債、長期債、10年債券、短期債、更に金や原油などのコモディティも用意されています。

 

「Analyze Portfolio」をクリックすると、以下のデータが出力されます。

特徴的なのはAsset Class Allocationの場合は1978年からの42年間のデータを確認することができます。

 

Backtest Asset class allocationの結果データ

 

淀姫
40年以上のデータがとれるのは心強いの!

 

ポートフォリオの例.1:株と債券の比率を調整する

まずはポートフォリオの例として株と債券のポーションを調整するという方法があります。

以下は株と債券の組み合わせ比率毎にまとめたポートフォリオの推移です。

 

  • Portfolio1:米国株70%+長期債券30%
  • Portfolio2:米国株50%+長期債券50%
  • Portfolio3:米国株30%+長期債券70%
株と債券の組み合わせ比率

 

PortfolioInitial Balance
初期投資額
Final Balance
最終金額
CAGR
年率リターン
Stdev
標準偏差
Best Year
年率最高
Worst Year
年率最低
Portfolio 1$10,000$772,46410.84%11.28%34.08%-19.17%
Portfolio 2$10,000$683,51610.52%9.59%34.08%-7.26%
Portfolio 3$10,000$560,61610.00%9.16%39.12%-4.98%

 

当然株のポーションが大きい方が年率リターンは上昇しますが、リスクも比例して大きくなっています。

信太郎
一長一短があるということじゃな。自分のリスク許容度に応じて組入銘柄を変更するのがよいぞ!

 

ポートフォリオの例.2:オールシーズンズポートフォリオ

ヘッジファンドの帝王として君臨している「レイ・ダリオ」氏。

彼はどんな時でも一定のリターンを出すポートフォリオとしてオールシーズンズポートフォリオを提案しています。

 

ブリッジ ウォーター アソシエイツの「レイ・ダリオ」を特集!同氏が推奨するオールウェザー・ポートフォリオ&オールシーズンズ・ポートフォリオとは?

ブリッジ ウォーター アソシエイツの「レイ・ダリオ」を特集!同氏が推奨するオールウェザー・ポートフォリオ&オールシーズンズ・ポートフォリオとは?

2019年9月23日

 

◾️オールシーズンズポートフォリオ:

 

  • 株式30%
  • 中期米国債15%
  • 長期米国債40%
  • 金7.5%
  • 商品取引(コモディティー)7.5%

 

理由は後で説明しますが筆者は金のポーションを高めて以下のポーションで保有しています。

 

◾️オールシーズンズポートフォリオ:

 

  • 株式30% → VTI
  • 中期米国債15% → IEF
  • 長期米国債40% → TLT
  • 金15% → GLD

 

以下は各ポートフォリオのリターンをチャートで描いたものです。

 

  • Portfolio1:株100%
  • Portfolio2:株50%+債券50%
  • Portfolio3:オールシーズンズ(金15%)
オールシーズンズポートフォリオのリターン

 

淀姫
確かにリターンは一定じゃが、他の二つにおとっておるではないか・・・。
信太郎
リターンだけみてはならんぞ!リスクをみるんじゃ。

 

PortfolioCAGR
年率リターン
Stdev
標準偏差
Best YearWorst Year
株100%10.91%15.30%35.79%-37.04%
株50%+債券50%10.52%9.59%34.08%-7.26%
オールシーズンズ9.48%7.93%31.90%-4.46%

 

淀姫
リスクと最大下落が非常に低くなっていますね!!

 

実際筆者が組んでいるオールシーズンズポートフォリオを毎日プロットした時のリターンは以下の通りとなっています。

 

筆者のオールシーズンズポートフォリオ

 

秀次郎
米国株が最大40%近く下落した局面において、僅か5%しか下落しなかったぞ!年初来で10%上昇しており堅調じゃ!

 

オールシーズンズポートフォリオのように金を組み入れる意味

ワシは金をやはり組み入れた方がよいと考えています。

金はやはり安全資産としての価値をもちます。

 

信太郎
金は配当を生まないので金としての価値は不変なのじゃが危機発生時には金は買われるからの!

 

以下は金価格をダウ平均株価で割った「Dow Gold Ratio」です。

 

信太郎
分子のダウ平均株価が上昇すれば上昇し、分母の金価格が上昇すれば下落するぞ!

 

Dow Gold Ratio

 

上記をご覧いただきたいのですが、世界恐慌に陥った1929年から1930年代前半とリーマンショック期に大きく下落しています。

つまりダウ平均株価が下落して金価格が上昇したことを意味します。

 

淀姫
とくに世界恐慌の時は顕著ですね!!
信太郎
うむ。リーマンショックの時も株(青)が下落するなか金(赤)は上昇しておったな!

 

以下はリーマンショック時以降の株(青)金(赤)価格の推移です。

株価が沈む中で急騰していることがわかります。

金と株の価格の推移

 

世界恐慌の時はより顕著であったことが伺えます。

 

信太郎
ワシはコロナは長期化するとみており二番底が訪れると思うておるから金は組み入れた方がよいと考えている派じゃ。相場の見方は人それぞれじゃがな!

 

【コロナショック・2番底は来る?】新型ウィルス感染拡大の影響で株式市場が再度大暴落することが予想される理由とは?可能性のあるシナリオをそれぞれわかりやすく解説!

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2020年4月23日

 

現金も一つの投資ポートフォリオの構成要素

信太郎
ちなみにワシは現在オールシーズンズポートフォリオ150万円と、株300万円分しか保有しておらんぞ!
淀姫
何故ですか?
信太郎
このドル円レートでドル転をしたくないからじゃ。二番底が訪れれば円高が起こるはずじゃから、そこでドル転した上でオールシーズンズ組成と個別株投資を行う予定じゃ!

 

当然、現金というのも一つの資産ポートフォリオの構成要素です。

「待つも相場」ということで、現在の筆者の投資ポートフォリオで一番のポーションを占めるのは現金で60%です。

 

淀姫
どうしても投資をしていたいが、叔父上のようにドル円レートが依然円安水準じゃと考えてる方はどうしたらよいんじゃ?
淀姫
その場合はFXを活用するのがよいな!

 

筆者はFXは殆ど行わないのですが、為替ヘッジの役割として使用することがあります。

例えば3万USD分(約300万円分)の投資をしたいけど、今後円高になることを想定しており現在のレートでドル転したくない場合があったとします。

この場合、FXで3万USD分のドル円の売を入れることで為替ヘッジを行うことができます。

 

淀姫
どういうことです?
信太郎
図を用いて解説するぞ!

 

円高が進行すると、ドル建では利益がでても円建では損失が発生することになります。

しかし、FXでドル円のショートをいれておくことで最終的な損益をヘッジすることができます。

FXによる為替ヘッジの効果

 

信太郎
現在は日米金利差が小さいので支払い金利も低いから最高じゃな!更にFXはレバレッジをかけることで少ない資金でヘッジをかけることができます。

 

3万ドル分の為替ヘッジを行うために約300万円の資金が必要なわけではありません。

10倍のレバレッジをかければ約30万円で、5倍のレバレッジをかければ約60万円で為替ヘッジをかけることができます。

資金効率を高めることができるのもFXのメリットですね!

 

信太郎
ワシみたいに現金で保有しておくのもよいし、どうしても投資したい方はヘッジをするというのも一つの手じゃな!

 

 

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まとめ

信太郎
今回は盛りだくさんじゃったな!まとめると以下ぞ!

 

◾️今回のポイント:

 

▷ 資産運用を行う時には、個別銘柄の選定ではなく資産配分をまず考るべき

 

  • 今後の株価(コロナショック脱出)に強気の考えであれば、株式100%投資も否定しない。
  • ただ、同じ資産クラス(株式100% or 株+株に相関する資産など)は程度はあれど同様の動きをする。
  • 株式ばかり保有すると、株価暴落時に全ての投資資産が減少する恐れがある
  • 債券」のように、逆相関の資産を組み合わせると「リスクリターン」が安定する。
  • 債券+株を組み合わせると、互いを補完して資産が上昇していく

 

▷ 今後も株と債券の組み合わせは有効なのかの検証

 

  • 大前提として、未来はわからない。
  • 過去のデータから今後の資産価値の上下動は推察する必要がある。
  • リーマンショック時期を含め40年以上「株+債券」はしっかり補完しあった過去がある。
  • 今回のコロナショックも「株+債券」は補完しあった(株、債券共に下落する局面も有り)。
  • 株、債券共に下落は、一時的な要因であり即解消。
  • 4月30日時点では、債券利回りが低く、債券価格が再度株式暴落時に上昇するか懸念される。
  • 金利がゼロ金利近くなった世界恐慌時も、「株+債券」の組み合わせの有効性は確認できる。

 

▷ ポートフォリオの組み方

 

  • Backtest Portfolioを用いて自分で資産と比率を調整して最適なポートフォリオをみつける
  • 今後のさらなる暴落を見込むのであれば「金(Gold)」を組入るのが有効となる
  • 今は現金として待機させておくのも一つの方法
  • 為替水準に不満があるが投資をしたい場合は、FXを活用してヘッジするのが有効

 

 

以上、【資産分散】「株式ETF」と「債券ETF」を組み合わせる有効性と今後についてデータを用いて検証!最適なポートフォリオを探し続けよう。…でした。

 

信太郎
他のトピックについても「信太郎の瓦版」でお伝えしておるから、興味のある衆はみてくれい!

 

【上場投資信託・ETFをわかりやすく】おすすめ銘柄はどれ?インデックス投信とも比較!NISA口座で楽天VTIが最強?

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2019年7月2日
【国債・社債特集】安定運用?債券投資の種類とリスク、メリット・デメリット。金利との関係までわかりやすく解説。

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2019年7月26日

[お金の学校特集]

 

昨今の2000万円問題もあり、投資による自助努力で、老後資産を築き自身の身を守る必要が出てきてました。

 

しかし、焦って投資を進めてしまうのはおすすめしません。 必ず失敗します。

 

知識をしっかり仕入れた上で投資は実践していく必要があります。

 

 

その知識を学ぶにあたり、近年「お金の学校」への注目が高まっています。

 

長年、資産運用を学んできた編集部が、お金を専門としたスクールについての特集コンテンツを作成していますので、ぜひ参考にしてみてください。

 

お金の学校特集

お金の学校の特集へ

 

 

[おすすめ株式投資セミナー特集]

 

株式投資を「専門家や現役で成功している投資家に学びたい」という方は多いのではないでしょうか?

 

 

現在は、有難いことに、会場開催型、オンライン型など、優良セミナーが数多く開催されています。

 

ここでは、株式投資で成果を出したい初心者の方におすすめできるセミナーを以下の観点から、ランキング形式でお伝えしています。

 

◯ 講義は満足できる内容か?

◯ 運営は信頼できるか?

◯ 口コミや評判は良好か?

 

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マネリテ!編集部は東京大学経済学部卒の証券アナリストを中心とした金融知識が豊富なメンバーが株式投資初心者に向けて有益な情報を提供しています。株式投資を行う意義から基本用語、おすすめのネット証券・投資先情報をお伝えするメディアです。日本人の金融リテラシーの向上と明るい未来を目指しています。