日本は、世界有数の地震大国です。
その他にも熊本大地震を含めて大規模な地震も数年おきに発生しており、常に大震災に備えておかねばなりません。
日本で大規模な地震が起こると、株価はいったいどうなるのでしょうか。
上がるのか、下がるのか、気になるところです。
今回は、地震後の株価の変動について、徹底リサーチして参ります。
最近では在宅でも視聴できるオンライン動画セミナー(ウェビナー)でもリアルタイム情報(トレンド)から有望な株式銘柄の探し方を教えてくれるものもありますので、参考にしてみてくださいね。
目次
Contents
地震が起きた後の株価は下がる?
地震が起きた後は、株価は下降する傾向にあります。
大規模な地震が起こると、投資家心理として、「日本の経済が停滞するかもしれない」という不安を抱きます。
東日本大震災のように原子力発電所の事故など、二次災害が発生した場合は更に印象が悪くなります。
地震が起こる前のように、積極的に投資することを控えるようになるのです。
もちろん、地震が起こったからといって必ずしも景気が停滞する訳ではありません。
地震が地方で起こった場合、都心部は機能しているので経済自体は回っていきます。
ただ、投資家の心理的な側面がかなり影響を受けてしまうのです。
例えば、東日本大震災の後、東京電力を始めとして、自身の被害を受けた企業の株価が下がっていきました。
東京電力の場合、福島原発事故の影響で直接影響を受けた影響もあります。
ただ、直接影響を受けなかった企業も間接的に影響を受けて、株価が減少傾向に陥ってしまったのです。
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大震災後の株価変動を確認!
それでは、実際に震災後の日本の株価をヤフーファイナンスで日経平均株価の値動きで追っていきたいと思います。
阪神大震災後の日経平均株価の値動き
まずは平成最初に起きた阪神淡路大震災の値動きについてみていきましょう。
【1995年:阪神淡路大震災後の株価変動(終値ベース)】
- 1月17日 19,241.32円
- 1月18日 19,223.31円
- 1月19日 19,075.74円
- 1月20日 18,840.22円
- 1月23日 17,785.49円
地震発生時から株価が多きく下落していることがわかりますね。
さらにその後の一年間の値動きを表したのが以下となります。
米国の「ダウ平均株価」は大きく成長している中で、「日経平均株価」は地震の影響を受けて重い値動きとなっています。
東日本大震災後の日経平均株価の値動き
次に記憶に新しい東日本大震災の時の値動きについて確認していきましょう。
【2011年:東日本大震災後の株価変動(終値ベース)】
- 3月11日 10,254.43円
- 3月14日 9,620.49円
- 3月15日 8,605.15円
- 3月16日 9,093.72円
- 3月17日 8,962.67円
わずか1週間で12.6%も下落しています。
「リーマンショック(世界金融危機)」から立ち直っていない日本にとっても手痛い追い打ちでした。
もう少し長期的なデータを用いて見ていきましょう。
震災発生後一旦下髭をつけて大きく株価は下落しますが、下落しすぎたことの反動が見受けられます。
しかし、その後1年くらい株価は軟調な値動きが続いています。
先ほどと同様世界経済自体が軟調で株価が下落していた場合は、震災の影響とすることはできません。
しかし、震災後の1年間米国を初めとしてリーマンショックから立ち直り株価は大きく上昇しています。
以下は米国の代表的な平均株価指数であるダウ平均株価と日経平均株価との値動きの比較です。
あきらかに2011年〜2012年にかけて日経平均株価のパフォーマンスが悪いですね。
あれほど大きな地震ともなると中期的にも株価に大きな下押し圧力がかかることになるのです。
地震は株価に重い下押し圧力がかかる
東日本大震災と阪神淡路大震災、両者ともに終値が下降傾向にあります。
特に、震災が起こった日の翌営業日も終値は、かなり減少していることが分かります。
減少傾向はしばらく継続しますが地震発生日から時間が経つにつれて、株価の下降が緩やかになる傾向もあります。
実際に、地震で企業がどれほどの影響を受けているかにもよります。
しかし、地震発生初期のころは、投資家心理の悪化により株価が減少している可能性が高いです。
震災の発生が、株価の減少に影響を与えることは、上記のデータを見れば明らかです。
経済恐慌のように急激に株価が落ちるということはあまり見られませんが下降傾向になると言えます。
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コラム:特に大都市直撃型の地震には気をつけよう
上記では主に平成の2大地震である阪神大震災と東日本大震災にフォーカスをあててお伝えしてきました。
しかし、実際に大規模な地震は頻発しています。
以下は地震が起きた日から120営業日までの、日経平均株価の動きを以下の大規模な地震毎にまとめたものです。
地震発生から下落しているものと、上昇しているものの2つのパターンがあります。
下落しているパターンは以下の3つです。
- 北海道南西沖大地震
- 阪神大震災
- 新潟県中越沖地震
- 東日本大震災
この中で、阪神大震災と東日本大震災は、関西圏と首都圏という二大都市圏に影響があったため、地震発生直後に株価が下落しました。
しかし、新潟県中越地震と北海道南西沖大地震は地震直後は影響は軽微又は株価は上昇しています。
その後に下落していることから地震以外の要因が大きいものと考えるのが妥当です。
さらに地震発生後に上昇している地震は以下の4つです。
- 日本海中部地震
- 十勝沖地震
- 新潟県中越地震
先ほどの新潟県中越地震と北海道南西沖大地震と合わせて、大都市圏に影響を及ぼさない地震は、株価に直接影響を及ぼさないことが読み取れます。
株価という観点で注意すべき地震は、日本経済に深刻なダメージを与えかねない大都市近郊の大地震であるといえるでしょう。
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地震の影響を強く受ける業界はどこ?
地震発生によって、需要が生まれる、もしくは被害を受ける業界が影響を強く受けます。
地震によって需要が生まれる業界は「土木関連」の業界です。
復興のために、工事を行ったり、次の地震に備えて耐震工事を行う等、自身によって需要が生まれてきます。
地震の規模が大きくなると、工事も長期に渡るため業績が安定していきます。
反対に、自身によって株価下落の影響を受けるのは「インフラ関連」の業界です。
電気やガスなど、インフラを提供する企業は、自身によって工事を余儀なくされます。
工事費用がかさむため、利益が減ってしまい、それが投資家の心象を悪くしてしまうのです。
東日本大震災の際は、東京電力の株価が一気に落ち込んでいき、ストップ安に見舞われることもありました。
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震災で株価を下げた銘柄は投資対象になる?
株式投資は、一般的に「短期投資」と「長期投資」のスタンスに分かれます。
短期投資は、1日、1週間など短いスパンで株の売買を行い、利鞘(キャピタルゲイン)を稼いでいくスタイルです。
それに対して、長期投資は一度購入した株を長期保有することで、「配当」などの「インカムゲイン」を得る投資手法です。
どちらのスタイルを選ぶかは、投資家によって千差万別ですね。
ここで考えてみたいのが、「震災で株価を下げた銘柄は、投資対象になるのか」ということです。
震災が起こると、投資家の心理的な不安から、株価が下落する傾向にあります。
「もしかしたら、投資してる企業の業績が悪くなるかもしれない」という予想を立ててるのです。
ただ、実はこの予想はあくまでも「感覚的なもの」であることが多いです。
むしろ「地震が起きたから、何となく不安」といった色が強いため、実際は業績がそこまで落ちていない企業銘柄も、株価が下落することがあります。
普段は、中々手が付けられないような株が、手の届くレベルにまで下落することもあります。
株式投資に「絶対」ということはないので、勿論リスクを踏まえてではあります。
しかし、地震によって過度に株価を落とした銘柄は「買い時」と言えます。
かの「東京電力」でさえ、震災直後はどんどん株価を落としていきましたが底値から数倍に回復していきました。
震災直後に、東京電力の株を購入した人は、数か月置いておくだけで利益を出すことができたのです。
「経済恐慌が起こったときが、投資の狙い時」とも言われてる通り、投資の基本は「安く買って、高く売る」ことです。
恐慌は、景気の悪化によって株価が落ちているので、本当に業績悪化している企業が増えます。
しかし、地震の場合は「投資家の心理的な影響が強く反映している」だけであることも多く、
本来の価値以上に株価を下げてる企業が多くなります。
短期的な売買だと、中々利益は出せませんが、長期投資を前提とすれば、十分リターンを狙うことが可能です。
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地震発生で上昇が見込める銘柄
それでは地震が発生した時に株価が上昇する具体的な銘柄についてお伝えしていきたいと思います。
不動テトラ(1813)
「不動テトラ」は土木事業、地盤事業、ブロッック関連事業を展開しています。
その中でも耐震化需要の影響で地盤事業の売上が最も高くなっています。
不動テトラは世界初のサンドコンパクションパイル工法の開発に1956年に成功しました。
その後半世紀以上にわたり地盤の専門家として数多くの地盤対策技術を開発しています。
以下は不動テトラの株価推移です。
ご覧いただければわかる通り、東日本大震災発生時に不動テトラの株価は二倍以上に急騰しています。
麻生フォームクリート(1730)
麻生フォームクリートは名前からわかる通り現財務相の麻生太郎氏の子供が会長を務める会社です。
主な事業は気泡コンクリート工事、地盤改良工事、補修工事で、豊かな社会基盤づくりに貢献しています。
近年は株価も上昇基調となっていますが、まだまだ低位株の水準です。
2017年末に株価が上昇したきっかけとなったのは単元株式数変更に関するIRが発表されたためです。
当社は、平成29年7月13日開催の当社取締役会決議により、会社法第195条第1項 の規定に基づき定款を変更し、平成29年10月1日をもって、単元株式数を1,000株か ら100株に変更いたしましたので、公告いたします。
(引用:麻生フォームクリートのIR)
単元株式数が変更となるとファンダメンタルに変更はないとしても、株価が大きく上下動することもあるので注意しておきましょう。
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都市直下型地震が起こると株価はどうなる?
30年以内に、東京や神奈川などの関東都心部で直下型地震が起こると言われています。
都心部が地震でダメージを受けると、証券取引所を始めとした経済の心臓部が機能不全になります。
東京には、企業の本社が集中していることもあり、日本経済が停滞する可能性が高いです。
日本経済が停滞すれば、それが株価に与える影響は大きくなります。
地震により、企業の倒産が起こる可能性もあり、保有している株式が価値を失ってしまうかもしれません。
地震大国である日本は、常に地震のリスクにさらされているため、首都直下型地震で株価が落ちる可能性は非常に高いです。
「首都直下型地震が起こると昔から言われてるけど、結局まだ起きていないから今後も大丈夫」と楽観的に考える人がいます。
しかし、日本の歴史を100年単位でみていくと、大型の地震が日本各地で周期的に発生してることが分かります。
加えて、日本には「火山」も多くあります。
大型の地震が発生すると、火山が噴火するリスクも高くなります。
他国と比べて、日本は地震が発生する頻度が多いです。
首都直下型地震は、遅かれ早かれ、発生するものだと思っておいた方が将来の備えになりますよ。
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まとめ
地震の発生によって、株価は少なからず影響を受けます。
特に、地震の規模が大きくなると、株価が受ける影響も大きくなります。
実際に、東日本大震災、阪神淡路大震災の後、日経平均株価が減少傾向になりました。
ただ、地震によって株価が落ちる際は、「投資家心理」の悪化が株価変動に影響を与えてる可能性があります。
中には、地震によって影響を受けていないのような企業の株式も価格が落ちていることもあります。
そのような株式を購入できれば、長期保有することでリターンを得られる可能性が高いです。
地震が発生したときは、株を購入するチャンスでもあるのです。
地震が起こった際でも、市場の動向を観察することは、通常の投資と変わらずに大切なことです。
慎重に、リスクを考えながら、地震発生後の株式投資を狙っていきましょう。