「配当貴族」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
株式投資を行っていて、配当によるインカムゲインを期待している人は聞いたことがあるでしょう。
これから、高配当銘柄を探すという方は、ここで一つの知識として仕入れておきましょう。
このコンテンツでは、以下の内容で情報をお届けします。
- なぜ配当貴族銘柄が魅力的なのか?
- 配当貴族銘柄の成績は指数を超えているのか?
- 配当貴族指数の投資が可能なETFや投資信託。
- 日米の有名な配当貴族銘柄特集。
それでは、内容に入っていきます。
目次
Contents
- 1 配当貴族・配当貴族指数とは
- 2 なぜ、配当貴族銘柄が魅力的なのか?連続増配の魅力を説明する
- 3 配当貴族指数の過去10年リターンはS&P500指数以上!!
- 4 コラム①:S&P500配当貴族指数?均等加重型で小型株効果が加味されている可能性
- 5 コラム②:3つのパターンの配当貴族指数
- 6 配当貴族指数に投資する日本の証券会社はある?購入できる有力なETFと投資信託
- 7 米国の大企業の代表的配当貴族・株式銘柄ランキング(永久におすすめ投資先?)
- 7.1 <1位> 継続年数63年:P&G (プロテクターアンドギャンブル)
- 7.2 <2位>継続年数60年:MMM (スリーエム)
- 7.3 <3位>継続年数56年:Coca Cola (コカ・コーラカンパニー)
- 7.4 <4位>継続年数56年:Johnson & Johnson (ジョンソン・アンド・ジョンソン)
- 7.5 <5位>継続年数42年:McDonald (マクドナルド)
- 7.6 <6位>継続年数36年:EXXON MOBIL (エクソンモービル)
- 7.7 <7位>継続年数26年:United Technologies (ユナイテッドテクノロジーズ)
- 7.8 <8位>継続年数25年:CATERPILLAR (キャタピラー)
- 8 日本の配当貴族銘柄は?
- 9 まとめ
配当貴族・配当貴族指数とは
「配当貴族」とは、毎年配当を増やしている企業のことです。
「貴族」というと人を連想してしまいがちですが配当貴族は企業を指します。
配当貴族は、言うなれば「連続増配している銘柄」と言い換えることが出来ます。
共に配当貴族を簡単に探せる指数として「配当貴族指数」と呼ばれるものがあります。
この指数は、インデックス・プロバイダーであるS&Pダウ・ジョーンズ・インデックスが算出している指数です。
中でも、S&P500構成銘柄で25年間連続増配している優良大型株の「S&P500配当貴族指数」が有名です。
同指数の対象銘柄は「53銘柄」となっており、過去10年の年次リターンは12.13%となっています(2019年9月14日現在)。
毎年、安定した利益を出して、かつ成長していく企業でないと増配を継続するのは厳しいのです。
ちなみに連続増配記録が50年以上の銘柄は配当王とよばれ配当貴族の上位概念として君臨しています。
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なぜ、配当貴族銘柄が魅力的なのか?連続増配の魅力を説明する
高配当利回り銘柄と配当貴族銘柄は必ずしも同じとは限りません。
配当貴族銘柄は現時点では特段高配当利回りである銘柄ばかりではありません。
例えば現時点で株価が10,000円で年間の配当金が200円であったとします。
すると、配当利回りは2%ということになります。
TOPIXの平均配当利回りが2%程度なので普通の配当利回りということになります。
25年前に投資した際の持ち値は500円であるにも関わらず、現在1株あたりの配当金は200円となります。
つまり持ち値ベースでの配当利回りは40%となるのです!
では実際の例として63年連続で増配を実現しているP&Gを取り上げて配当貴族銘柄の長期投資のメリットについてお伝えしていきたいと思います。
配当貴族銘柄の長期投資の魅力を63年連続で増配しているP&Gを例に説明する
P&Gの2019年度の最新の配当金予想は$2.91です。
株価は$120なので配当利回りは約2.5%の水準となります。
63年間増配していますが、わかりやすいように1999年からのP&Gの配当金の推移となります。
20年間で配当金自体の水準は約6倍となっています。
一方、以下は過去のP&Gの株価の推移ですが2000年の上半期時点では$30の水準となっています。
つまり2000年の$30の時点で投資をして20年間P&Gを保有している方の2019年時点では配当金が$3なので配当利回りは10%になります。
さらに上記の株価推移からわかる通り1970年代から1980年代に投資をされている方は配当利回りは50%-100%の方も存在しているのです。
では一般的な銘柄に対して配当貴族が高いリターンなのかを分析していきたいと思います。
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配当貴族指数の過去10年リターンはS&P500指数以上!!
以下はS&P500配当貴族指数(薄青)とS&P500指数(濃青)の過去10年のリターンの比較です。
両者とも配当金を再投資した場合の成績となります。
さらにリーマンショック前からの推移が観れる2005年からのデータが以下となります。
リーマンショック期の下落は若干緩やかでありますがS&P500指数と似たような動きとなっています。
しかし、その後の動きについては勢いよく上昇していることがわかりますね。
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コラム①:S&P500配当貴族指数?均等加重型で小型株効果が加味されている可能性
先ほどからお伝えしているS&P500配当貴族指数がどのような指数なのかを紐解いていきたいと思います。
以下は野村證券によるS&P500配当貴族指数の説明です。
S&P500 配当貴族指数(課税後配当込み)は、S&P500の構成銘柄のうち25年以上連続して増配している株式を対象とした均等加重型の株価指数です。基準日である1989年12月29日を100ポイントとし、現在の時価総額がどの程度かを表します。
引用:野村證券
ここで注意しなければいけないのは均等加重型ということです。
S&P500指数やTOPIXのような指数は時価総額加重平均指数で、時価総額の割合に応じて指数が構成されています。
一方、均等加重型指数というのは時価総額に関係なく全ての銘柄を均等に組み入れる指数のことです。
例えば時価総額が以下の三つの銘柄があるとします。
銘柄A:時価総額 60億円
銘柄B:時価総額 30億円
銘柄C:時価総額 10億円
すると時価総額加重平均指数では組入比率は以下になります。
銘柄A:60%
銘柄B:30%
銘柄C:10%
これに対して、均等加重型指数の組入比率は以下のようになります。
銘柄A:33.33%
銘柄B:33.33%
銘柄C:33.33%
配当貴族指数の成績が良い要因を分解すると、一定程度は小型株効果が含まれていることが想定されるのです。
配当貴族になることが見込まれる、小型株効果が期待できる銘柄の選定は、簡単ではありませんが、勉強して、選球眼を鍛えましょう。
以下のコンテンツで、株式投資の効果的、効率的な勉強法について特集をしています。
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コラム②:3つのパターンの配当貴族指数
一言に配当貴族指数といっても3つの指数が存在しています。
コード | 指数タイプ | |
①:SPDAUDP | プライスリターン:配当金を拠出し再投資しない場合の指数の価格 | |
②:SPDAUDN | ネットトータルリターン:税引後の配当金を再投資した場合の指数の価格(現実的) | |
③:SPDAUDT | トータルリターン:税金を差し引かない前提で配当金を再投資した場合の指数の価格 |
例えばTOPIXや日経平均株価は、配当金拠出後で再投資しない前提での数値です。
配当金込みのリターンでは、当然通常のTOPIXよりも高いリターンとなります。
同じことが配当貴族指数にもいえます。
拠出された配当金を、そのまま再投資した場合に得られるリターンがトータルリターンです。
ただ通常、配当金拠出された時に税金が発生します。
税金が差し引かれた後の配当金を再投資した場合のリターンとしてネットトータルリターンがあります。
以下はS&P500指数とプライスリターンの配当貴族指数とネットトータルリターンの配当貴族指数の比較です。
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配当貴族指数に投資する日本の証券会社はある?購入できる有力なETFと投資信託
それでは配当貴族指数に実際に投資をすることができるETF、並びに日本の投資信託についてお伝えしていきたいと思います。
ETF①:NOBL (プロシェアーズS&P500配当貴族ETF)
まずはダイレクトに配当貴族指数への投資成果の連動を目指し運用資産が39億ドルを誇るNOBLです。
正式名称は『プロシェアーズS&P500配当貴族ETF』です。
セクター毎の最大ウェイトは30%に設定されており四半期毎にリバランスが実施されます。
以下はNOBL(青)とS&P500への連動を目指すVOO(赤)の比較です。
ほとんど同じ結果となっています。
2014年に組成されているため配当貴族指数が好調であった2009年-2013年を享受できていないのが痛いですね。
手数料は購入手数料は発生せず、年間の信託手数料は0.35%(年率)と格安に設定されています。
ETF②:SDY (S&P ハイ・イールド・ディビデンド・アリストクラッツTM指数
次に少し対象を広げてS&Pコンポジット1500の銘柄から増配記録が20年以上の配当利回り上位60銘柄を組み入れたSDYです。
正式名称は『S&P ハイ・イールド・ディビデンド・アリストクラッツTM指数』となっています。
各銘柄の最大比率は4%で均等加重指数ではなく配当加重型となっています。
配当加重型指数は企業が支払った配当金の総額に応じて構成比率を決定する方式です。
つまり『1株あたり配当金』×『発行済株式数』に応じて構成比率が決定するので配当貴族指数の均等加重指数とはことなります。
以下はSDYと2006年からの米国株全体に投資をしているVTI(赤)の比較ですが、ほとんど同じ成績となっています。
またSDYと先ほど紹介したNOBLの比較は以下です。
NOBLが組成されたのが2014年ですので比較的短い期間になりますが殆ど同じ成績となっています。
手数料は購入手数料は発生せず、年間の信託手数料は0.35%(年率)とNOBLと同様の水準になっています。
投資信託:野村インデックスファンド・米国株式配当貴族
野村インデックスファンド・米国株式配当貴族はダイレクトに配当貴族指数への連動を目指す投資信託です。
以下は手数料控除後のファンドとインデックスとの比較です。
販売手数料は2.2%と若干高いですが信託報酬は0.55%と日本の投信の中では割安な水準です。
若干成績に乖離があることが懸念点ですが配当貴族指数に投信で投資したい方には魅力的な銘柄となります。
投資信託:SMT米国株配当貴族インデックス・オープン
SMT米国株配当貴族インデックスオープンも野村インデックスファンド・米国株式配当貴族同様に配当貴族指数への連動を目指す投資信託です。
購入手数料は3.3%で信託手数料は0.605%となっています。
先ほどの野村インデックスファンド・米国株式配当貴族より高く設定されています。
両者のトータルリターン(税引前配当金再投資ベース)のリターンの比較が以下となります。
指数のまとめ
今までは指数についてお伝えしてきました。
NOBLが2008年から組成されていた場合はS&P500指数をオーバーパフォームしていた可能性はあります。
しかし、結果的に米国株全体の指数と殆ど変わらない成績となっているという結果になりました。
しかし、有力な個別銘柄に分散投資をするのも非常に魅力的な選択肢です。
信託手数料等が発生しませんし、有望銘柄に多くのポーションを投資できますからね。
それでは有名な配当貴族銘柄について紹介していきたいと思います。
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米国の大企業の代表的配当貴族・株式銘柄ランキング(永久におすすめ投資先?)
25年以上の長期間に渡って増やし続けているダウ平均にも採用されている大企業をご紹介していきます。
ここではさらっと、以下のコンテンツではより詳しく紹介していきます。
<1位> 継続年数63年:P&G (プロテクターアンドギャンブル)
継続年数:63年
P&Gはアメリカのオハイオ州に本社を置く消費財メーカーです。
洗剤用品や化粧品など化学製品を中心に製造、販売を行っています。
アリエールやファブリーズなど、日本でも馴染みの深い商品を製造しており、世界的な消費財メーカーとして君臨しています。
<2位>継続年数60年:MMM (スリーエム)
継続年数:60年
MMM(スリーM)はアメリカのミネソタ州に本社を置く化学、電気素材メーカーです。
オフィスで使われてる「ポストイット」は、MMMが製造、販売している製品として有名です。
ポストイットの印象が強いですが、実は他にも文房具製品を手広く扱っています。
<3位>継続年数56年:Coca Cola (コカ・コーラカンパニー)
継続年数:56年
ザ・コカ・コーラカンパニーは、アメリカのジョージア州に本社を置く世界的な飲料メーカーです。
日本でもお馴染みである「コカ・コーラ」など、有名飲料を製造・販売しています。
日本など世界各地に支社を置いており、現地の嗜好に合わせた商品の開発を行っています。
日本で発売されている「アクエリアス」などは、その典型ですね。
<4位>継続年数56年:Johnson & Johnson (ジョンソン・アンド・ジョンソン)
継続年数:56年
ジョンソン・アンド・ジョンソンは、アメリカのニュージャージー州に本社を置く製薬、医療機器メーカーです。
日本ではバンドエイドやコンタクトレンズのメーカーとして有名ですね。
中でも、コンタクトレンズのアキュビューは、日本のコンタクトレンズ市場の中でトップシェアを誇っています。
日本以外でも、世界的にブランドを展開しており、安定成長を続けています。
<5位>継続年数42年:McDonald (マクドナルド)
継続年数:42年
マクドナルドは、言わずと知れた世界的なファーストフードチェーンです。
本社はアメリカのイリノイ州にあります。世界中に店舗を拡大しており、その数は3万店舗を超えています。
アメリカでは、ドライブスルーでの利用が多く、売上の半分以上はドライブスルーによる顧客のものと言われています。
価格が安いというイメージのマクドナルドですが、近年はスターバックスなどを利用する高級層から顧客を取り入れるため、
高級路線の商品も展開するようになっています。
<6位>継続年数36年:EXXON MOBIL (エクソンモービル)
継続年数:36年
エクソンモービルは、アメリカのテキサス州に本社を置く総合エネルギー企業です。
石油の採掘、生産、輸送、販売を垂直統合で行う「石油メジャー」の1社で、エクソンモービルはその中でも最大手の「スパーメジャー」と称されています。
世界中で石油の採掘を行っており、その影響力は経済のみにとどまらず政治的な影響力をもつこともあります。
<7位>継続年数26年:United Technologies (ユナイテッドテクノロジーズ)
継続年数:26年
ユナイテッドテクノロジーは、アメリカのコネチカット州に本部を置く複合企業(コングロマリット企業)です。
事業内容は多岐に渡り、航空機のエンジンや空調装置、防火・消化製品など様々な製品を開発、製造しています。
2019年からは企業内の事業再編を加速させており、エレベータ事業、空調事業を独立させる計画を発表しています。
今後の動向次第では配当の継続増加が止まる可能性も否定できません。
<8位>継続年数25年:CATERPILLAR (キャタピラー)
継続年数:25年
キャタピラーは、アメリカのイリノイ州に本社を置く機械製造メーカーです。
建設機械、鉱山機械、ディーゼル、天然ガスエンジン、ガスタービンエンジンの最大手メーカーとして世界中に製品を展開しています。
日本でも、キャタピラーのショベルカーが建設現場で広く利用されており、建設業を中心に需要を取り込んでいます。
また、アメリカでは軍需産業にも進出しており、事業を幅を広げています。
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日本の配当貴族銘柄は?
ここまで、アメリカ企業における配当貴族を紹介してきました。
それでは、日本では配当貴族は存在するのでしょうか。
日本における配当貴族は、残念ながら1社のみです。
その1社は大手トイレタリーメーカーである「花王」です。花王は29年間に渡って配当を増やし続けています。
花王はトイレタリー分野において、日本のトップシェアであり、世界でもトップ10位以内には位置しています。
ただ、花王以外に配当貴族が存在しないのは少し残念な気がしますね。
もともと、日本は数十年に及んで深刻なデフレに悩まされたため、企業の財力が増配に向かうほど良い状態ではなかったとも言えます。
そんな状況の中、配当を増やし続けている花王は、非常に優良な企業と言えます。
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まとめ
配当貴族は、連続して25年以上増配を行っている超優良企業です。
米国においては60銘柄程度の配当貴族銘柄が存在していますが日本においては花王の1社のみです。
配当貴族の企業は、各々世界トップシェアと言える事業をもっており安定経営を支えています。
今後も配当貴族の増配継続が続くかは誰にも予想できません。
ただ、これまで継続させてきた事業の安定性、経営手腕は十分評価に値するものです。
配当貴族銘柄に長期的な目線で投資を行い、将来配当金だけで生活ができるようになりましょう。
上記では、配当貴族銘柄を紹介しましたが、実際にこれらの銘柄に今から投資してもリターンは限定的です。
株式投資にはハイリターンを見込める投資手法や、銘柄選定次第では、低いリスクで高配当の銘柄を選ぶこともできます。
しかし、それには株式投資に関するリテラシー、また、常に旬な情報を仕入れることができるかが肝になってきます。
効率よく学び、情報を取得する方法について、以下のコンテンツで紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
また、現代では大人になってから通うスクールが、様々な分野で流行していますね。
もちろん、株式投資を始めとしたお金を学ぶ学校も存在します。
なかなか時間が取れない、本格的に学校を活用して一気に知識をつけ、株式投資を上達させたい人には良い選択肢になると思います。
以上、株価上昇・毎年増配!?「配当貴族・配当貴族指数」とは!米国と日本の代表個別株式銘柄と共に魅力を紹介。。..でした。