「株式や不動産ではなく、起業家に投資してみたい」と考える人もいるはず。
成長を見込めるベンチャー企業に投資することで、未公開株の取得や配当による利益を見込めます。
最近ではインターネットでも起業家に投資でき、昔より比較的に容易にエンジェル投資ができます。
今回のコンテンツでは、エンジェル投資家の特徴や実際に投資する方法について見ていきましょう。
目次
Contents
エンジェル投資家とは何か?日本は米に比べると少ない
「事業アイデアはあるけど事業を始める資金がない」と悩む起業家に出資するのがエンジェル投資家(個人)です。
資金や情報、人脈などを起業家に提供することで、投資家は事業の発展をサポートします。
エンジェル投資家の歴史を紐解くと、シリコンバレーの発展にたどり着きます。
アメリカのシリコンバレーの発展を陰で支えたのは、エンジェル投資家なのです。
日本のエンジェル投資家はまだまだ欧米に比べると規模がとても小さいです。
エンジェル投資額を米国、欧州と比べると顕著な差があり、日本は米国と比べると 0.2%程度の規模 である。ただし、日本はエンジェル税制を利用したエンジェル投資額のため、実態はもう少し大きい 額が想定されることに留意したい。
また、今や大企業であるGoogleやYahoo!、Appleなども、エンジェル投資家がいなければ、今のような世界規模の大企業になれなかったでしょう。
起業家が事業に使う資金を調達する場合、銀行や地方銀行など、金融機関に相談して、融資を受けるのが通常です。
事業計画や自己資金を準備することで日本金融政策公庫から資金調達することもできます。
しかし、その起業家に過去の実績、信頼のおける経歴、自己資金などがなければ、金融機関から資金調達するのは難しいです。
アイデアがあっても資金がないと事業を始められず、企業を成長させていくことは不可能です。
金融機関から資金調達するのが難しい起業家を、エンジェル投資家はサポートします。
起業家に出資し、あらゆるサポートをすることで事業を起業家と共に成長させて、見返りとして株や配当を得るのが投資の仕組みです。
また、エンジェル投資家によっては、シンジケート(共同出資)をする人もいます。
他のエンジェル投資家に呼びかけ、スタートアップ企業に共同で出資することで、不足しがちな資金を集めることも可能です。
元起業家(企業売却などエグジット後の人など)がエンジェル投資家として活動する場合が多く、利益だけでなく起業家の育成などを目的とする人もいます。
企業の成長していく様子を見届けるのが面白いと感じる人もいるようです。
このことから、事業がまだ決まっていない状況の起業家にも投資をするケースもあります。
エンジェル投資するメリット
起業家にエンジェル投資するメリットは高いリターンを狙えることと、自分が良いと思ったプロジェクトに投資できることです。
ベンチャー企業に投資すると、莫大な利益を得て、一獲千金を狙える可能性があります。
また、投資した企業が経営に成功すれば利益を得られます。
失敗したとしても、資金を返済する義務がないというのもメリットの一つです。
今では知名度の高い楽天やAmazonといった企業も、最初は規模の小さい企業でした。
これから成長する企業に前もって投資して株を取得しておけば、出資に応じて、売却やIPOなどを通して大きな利益を得られる可能性があるのです。
起業家のプロジェクトを見た上でエンジェル投資ができるので、興味あるプロジェクトの発展を見届けられるのもメリット。
ベンチャー企業の経営に関わる面白さを感じられます。
企業経営に興味がある、業界に自分の名前を残したいという人が、エンジェル投資をする場合もあります。
エンジェル投資家が起業家を様々な形で援助・サポートすることで、社会に貢献できるのもメリットですね。
株式投資とは違ってリターン以外に、経営知識、人脈など得られるものがあるのもエンジェル投資家の魅力でしょう。
エンジェル投資家にある優遇制度
日本ではベンチャー企業への投資を促すために、エンジェル投資家に対する優遇制度が存在します。
実際に個人投資家が利用できるエンジェル税制は次の2つです。
● 優遇措置A:エンジェル投資額から2,000円引いた額を総所得金額から控除
● 優遇措置B:エンジェル投資額から他の株式譲渡益分を控除
エンジェル税制を適用するには、それぞれの優遇措置に定められた条件を満たした企業に投資する必要があります。
優遇を受けられる条件は設立年数や従業員数、キャッシュフローなどが対象範囲です。
優遇措置以外にもベンチャー企業への投資により発生した損失を3年間にわたり繰り越せるメリットもあります。
株式投資で発生した利益をエンジェル投資で発生した損失で通算できるのは利点ですね。
エンジェル投資家になるデメリット
ベンチャー企業の大半は事業で失敗する可能性があり、出資してもリターンを得られない可能性が高いです。
エンジェル投資には一般的な投資よりもリスクが大きいデメリットがあります。
たとえ成長が見込めそうなプロジェクトに出資しても、環境や市場によって事業が失敗に終わる可能性が高いです。
スタートアップは市場選定と実行力、そして「時流」が非常に大事です。
投資した起業家が事業で失敗すれば、エンジェル投資家は出資した額は溶けてしまいます。
起業家が事業で失敗するのを防ぐために、資金以外でもサポートする必要があるのもデメリットです。
大きなリターンを獲得するには出資して終わりではありません。
事業に役立つ情報や人脈を提供して経営を支える手間がかかります。
そして、エンジェル投資をする際には、投資した企業を成長させるという責任が伴います。
公開株や不動産への投資に比べて手間がかかり、投資した金が無くなる可能性が高いのがエンジェル投資家になるデメリットです。
ベンチャー企業への投資は面倒でリスクが高いことを知っておきましょう。
エンジェル投資とベンチャーキャピタルは何が違う?
エンジェル投資家によく似たものに、ベンチャーキャピタルがありますが、エンジェル投資とは違いがあります。
どちらも企業に投資する存在ですが、ベンチャーキャピタルの投資規模は数億円と大きいのに対し、
エンジェル投資家は、数百万円から数千万円と資金調達がしやすい規模です。
また、ベンチャーキャピタルは、投資した企業の役員の座を求めるなど経営に口をはさむことが多いですが、
エンジェル投資家の場合はそのようなことはほとんどありません。
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エンジェル投資家になるには
「これから起業する人を資金提供でサポートしてみたい」と考える人もいるはず。
個人投資家がエンジェル投資家になるのにオススメの方法は以下の4つです。
● 直接企業に投資する
● 証券会社を通じて投資する
● クラウドファンディングで投資する
● マッチングサイトを通じて投資する
それぞれの方法を詳しく解説します。
直接企業に投資する
エンジェル投資家になるには事業を始めて間もない企業の経営者と話して、直接企業に投資する方法があります。
ネットが発達していない昔では直接投資するのが一般的でした。
ビジネスでの横のつながりやリアルでのイベントに参加することで、起業家からアイデアを聞ける場合があります。
興味のあるアイデアがあれば、直接起業家に相談して企業に出資できることもあります(多少ハードルは高いですが)。
直接投資するデメリット、というよりは障壁として、人脈がなければ起業家から話を聞く機会がなかなかありません。
つまり、そもそもエンジェル投資家になるのが難しいことです。
イベントも都内での開催が多く、地方で暮らす人には参加のハードルが高いです。
実際に起業家と会える人には直接投資がオススメですが、会えない人は仲介サービスを活用することを勧めます。
証券会社を通じて投資する
誰でも口座を開設できる証券会社では未上場のベンチャー企業に投資する商品を取り扱っている場合があります。
例えば松井証券はベンチャー企業を投資対象とするベンチャーファンドを用意しているのです。
ベンチャーファンドを活用することで未上場企業に少額から投資できるのがメリット。
一般的な株式と同じように売買できるから、営業時間中にリアルタイムで注文することが可能です。
公開株に比べて情報の開示が少なく、ベンチャーファンドのリスクは大きいのがデメリット。
株式と同じような感覚でベンチャー企業に投資したい人に証券会社を通じた投資方法を勧めます。
クラウドファンディングで投資する
多くの人々から少額ずつ資金を集めて、ベンチャー企業の株式に投資するのがクラウドファンディングです。
プロの投資家が投資する案件に少額投資できるのがクラウドファンディングのメリット。
例えば株式投資型クラウドファンディングサービスのFUNDINNOでは、
上場やM&Aによる買収を目指すベンチャー企業を掲載しています。
投資することで将来的に莫大なリターンを見込めるのが特徴です。
クラウドファンディングで紹介される案件は審査を受けているため、まともなベンチャー企業に投資できるのもメリットですね。
10万円あたりの少額資金で投資したい人にオススメ。
マッチングサイトを通じて投資する
インターネットにはエンジェル投資家と起業家をマッチングさせるサービスもあります。
サービス内の掲示板に事業アイデアが記載されていて、興味ある案件に出資することが可能です。
例えばグッドエンジェルでは掲示板で起業家を見たり、メルマガで起業内容をチェックしたりできます。
気になる起業家がいれば直談判できて、出資や経営をサポートすることが可能です。
起業家から直接話を聞いて投資したい人にマッチングサイトはオススメ。
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エンジェル投資家になる際の注意点とは?
エンジェル投資家になる場合には、どのようなことに注意すればよいのかについてご説明します。
ベンチャー企業への出資はリスクを考慮する
投資するなら、成長が著しいベンチャー企業を選びたいと考える方も多いでしょう。
伸びしろがあるベンチャー企業への投資が成功すれば、大きな利益を得られます。
しかし、ベンチャー企業への出資は、事業の失敗などのリスクが高いという側面もありますので、注意が必要です。
企業価値や事業内容をしっかり分析する
エンジェル投資家として投資を成功させるために必要なのは、事業内容や経営状況をしっかり見定める分析力です。
投資を求める企業の経営者の口車に乗せられたり、安易に表面上の情報に踊らされたりすることなく、
冷静に企業価値や事業内容を見定めましょう。
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著名なエンジェル投資家やエンジェル投資家の書籍
世界には、有名なエンジェル投資家が何人もいます。
例えば、Amazonの共同創業者兼CEOのJeffrey Bezos氏、Yahoo!のCEOのMarissa Ann Mayer氏、Twitter創業者のJack Dorsey氏などです。
日本にも、シャープ元社長の佐々木正氏、元アクセンチュア・ネットエイジ取締役の松山大河氏などがいます。
彼らはエンジェル投資家である前に優れた起業家でもありますので、考え方や投資の事例を参考にしてみてください。
また、書籍を読んで、投資について勉強するのもよいでしょう。
おすすめ書籍の一覧は、以下のとおりです。
- 『Measure What Matters 伝説のベンチャー投資家がGoogleに教えた成功手法 OKR』
(著者:ジョン・ドーア、 ラリー・ペイジ) - 『エンジェル投資家 リスクを大胆に取り巨額のリターンを得る人は何を見抜くのか』
(著者:ジェイソン・カラカニス) - 『起業のエクイティ・ファイナンス—経済革命のための株式と契約』
(著者:磯崎 哲也) - 『シリコンバレー式 最高のイノベーション』
(著者:スティーブン・S・ホフマン) - 『Yコンビネーター』
(著者:ランダル・ストロス)
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まとめ
資金調達に悩む起業家をサポートするのがエンジェル投資家であり出資することで株や配当による利益を見込めます。
情報や経営指導により企業の成長を直接支援できるのがメリットです。
エンジェル投資家になるには起業家と直接会うだけではなく、
マッチングサイトやクラウドファンディングを活用する方法もあります。
起業家に会う機会がない人はインターネットを活用して投資することがオススメです。
以上、エンジェル投資家になるには?実際に投資・リターンを得る方法を解説。…の話題でした。