2020年2月の株価急落局面で、何度も米国市場で発動した「サーキトブレイカー」。
このコンテンツでは、直近度々発動している株式市場における「サーキットブレーカー制度」について解説します。
目次
Contents
サーキットブレーカー制度とは?
それではまず、サーキットブレーカー制度がどのような制度なのか?という点について見ていきましょう。
サーキットブレーカー制度の概要
Circuit-breaker points represent the thresholds at which trading is halted market-wide for single-day declines in the S&P 500 Index. Circuit breakers halt trading on the nation’s stock markets during dramatic drops and are set at 7%, 13%, and 20% of the closing price for the previous day. The circuit breakers are calculated daily.
サーキットブレーカー制度は、株価が急落した時にマーケットに冷静さを取り戻させるための制度です。
証券取引所によって「一定以上の」閾値の株価の下落があった際に発動します。
サーキットブレーカーが発動すると投資家は指数や個別銘柄、さらに先物取引やオプションを取引することができなくなります。
Level1.S&P500指数が7%下落
先ほどのバンガード社の定義の続きを見ていきましょう。
◾️Level 1 halt (7%)
- Trading will halt for 15 minutes if drop occurs before 3:25 p.m.
- At or after 3:25 p.m.—trading shall continue, unless there is a Level 3 halt.
米国市場が閉まる前に相場が7%下落した場合は、相場は15分間の取引停止となります。
取引開始後は、Level2の閾値である13%下落するまで取引は継続されます。
Level2.S&P500指数が13%下落
◾️Level 2 halt (13%)
- Trading will halt for 15 minutes if drop occurs before 3:25 p.m.
- At or after 3:25 p.m.—trading shall continue, unless there is a Level 3 halt.
次にPhase1の取引開始後、または相場開始時にS&P500指数が13%下落した時に、再度15分間の取引停止となります。
相場取引が再開されたあとは、Level3に抵触するまで取引が継続します。
Level3.S&P500指数が20%下落
◾️Level 3 halt (20%)
- At any time during the trading day—trading shall halt for the remainder of the trading day.
相場開始時、Level2の後にS&P500が前日終値比で、20%下落した場合は相場が終了するまで取引停止となります。
個別株でも取引制限ルールが存在
「S&P500」に含まれる個別銘柄で前日終値比で3ドル以上下落した銘柄についても、サーキットブレーカー制度が適用されます。
◾️Level1
米国時間15:35:過去5分間の平均価格から15秒5%以上変動したら5分取引を停止する。
◾️Level2
米国時間15:35-16:00:過去5分間の平均価格から15秒10%以上変動したら5分取引を停止する。
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サーキットブレーカーの歴史
サーキットブレーカー制度が設けられたきっかけは1987年のブラックマンデーです。
ブラックマンデーは1987年10月19日にダウ平均株価が22.6%下落しました。
米国株市場の急落が世界のマーケットに影響を及ぼし後に「Black Monday」と呼ばれる事態になりました。
この相場の急落を受けて、株式市場に冷静さを求めるためにサーキットブレーカー制度が敷かれました。
その後、「リーマンショック」の時など相場急変時にはサーキットブレーカーが度々発動されました。
先ほど説明したサーキットブレーカー制度に改定がなされたのは2013年のことです。
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コロナショックで発動したサーキットブレイカー
コロナショックで株価の変動が激しくなっています。
2020年の3月に入り3日間もサーキットブレーカーが発動しました。
発動日時 | 前日比最大下落幅 | 理由 |
2020年3月9日 | 7.7% | コロナショック懸念拡大 |
2020年3月12日 | 9.5% | 欧州の入国制限を嫌気 |
2020年3月16日 | 11.3% | コロナショック懸念拡大 FRB利下げも期待薄 |
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日本のサーキットブレーカー制度
日本の東京証券取引所でも1994年からサーキットブレーカー制度が導入されました。
東京証券取引所では、該当の指数が米国と同様に3段階の基準まで下落した時にサーキットブレーカーが発動します。
日本のサーキットブレーカー制度は対象指数の取引が10分間停止されます。
しかし、米国とは異なり、個別株自体の取引が制限されるわけではありません。
詳しい発動条件並びに取引中断となる対象については、詳しく以下の図で解説されています。
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まとめ
サーキットブレーカー制度は相場の急落時にマーケット参加者に冷静さを取り戻すために敷かれた制度です。
サーキットブレーカーの発動条件に抵触した場合は一定時間取引ができなくなります。
米国では1987年のブラックマンデーを契機に制度が策定され2013年から現在の制度となっています。
日本でもサーキットブレーカー制度は存在しますが、米国と異なり個別株での発動要件はありません。
2020年3月だけでも既に3回米国市場でサーキットブレーカーが発動しています。
相場が冷静さを失っている状態で今後も発動する可能性は十分あり、マーケット参加者は引き続き相場の急変に注意を払っていく必要があるでしょう。
以上、【2020年2月の株価急落局面で頻発】「サーキットブレーカー制度」とは?市場の混乱を抑制させる仕組みについて紐解く!…でした。