「レバレッジ」は大きな資産を積み上げるにはなくてはならないものです。
今回のコンテンツでは「レバレッジをかける」とはどういうことなのか?
株式投資や投資信託、FXなど様々な取引を例にその効果とリスクを解説していきます。
目次
Contents
「レバレッジをかける」の意味とその効果とは?
「レバレッジ」とは英語で「leverage」という綴りとなっています。
「梃子(てこ)」の作用を表していることがわかります。
「テコ」いう言葉から分かる通り、実態以上の力を出すということを示します。
小学生の頃、シーソーゲームで両サイドに座り、反動をつけて相手側をより高く跳ね上がらせる、といった風に遊んでいたことがありませんか?
まさに投資の世界でもレバレッジをかけるとは、反動をつけて利益を跳ね上がらせることを指すのです。
例えば、投資の世界では100万円で株式投資をしても、年利回りが10%であれば10万円しか利益になりません。
しかし、自己資金の100万円に加えて、他の人に400万円借りれば、合計で手元資金は500万円になります。
500万円で同じ10%の年率で投資をすれば50万円の利益が返ってきます。
年利回り10%以下の金利で400万円を借りれば、その差額がレバレッジによるリターンとなります。
5%の金利で借りていれば、25万円を貸主に、25万円を自分に分配することになります。
ここからは、株式投資、FX、企業活動、ローンなどにおけるレバレッジ取引について紹介していきます。
株式投資におけるレバレッジ
株式投資におけるレバレッジと言えば、「信用取引」です。
株式の信用取引は証券会社に「証拠金」を入金します。
「レバレッジ取引」でメジャーなのは株式投資の信用取引も然りです。
しかし実は「FX」におけるレバレッジが投資においては、その金額規模から最も注目されている取引なのです。
投資信託におけるレバレッジ
投資信託にも「レバレッジ型」の投資信託というものが存在しています。
例えば日経平均「ダブルブル」「ダブルベア」といった投資信託で、近年人気ランキング上位になっています。
相場が一方方向に動く局面では大きく上昇するため、相場の明確な方向性を確信している場合は有効となる投信です。
しかし、相場が停滞している状態でも、損失が発生してしまうリスクがある性質となっています。
FXにおけるレバレッジ
FXの仕組みとして、まずは投資家が証拠金を証券会社に差し入れます。
これは株式投資における信用取引と同様です。
これでレバレッジをかけることが可能になります。
FXにおけるレバレッジの効果はどうなのでしょう?
例えば、FXで100万円の自己資金で、「1USD=100円」の時に1万ドルを購入したとします。
「1USD=100円」が「1USD=110円」になると利益はいくらでしょうか。
ここで例えば100万円を証拠金に入れます。
そして、「1USD=100円」の時に10万ドルを購入します。
「1USD=100円」が「1USD=110円」になると利益はいくらでしょうか。
これは、元手ベースでなんと100%の利益率となることがわかります。
現在の日本ではFXにおいてレバレッジを25倍までかけることができます。
海外の規制が厳しくない国ではなんと4000倍のレバレッジを掛けることが可能です。
日本ではレバレッジを10倍に引き下げる動きが2018年にありました。
金融庁は2018年春にも外国為替証拠金取引(FX)の規制を強化する方針だ。個人投資家が預けたお金の何倍まで取引できるかを示す証拠金倍率(レバレッジ)を、現行の25倍から10倍に引き下げることを検討する。外国為替相場が急変動した際、個人投資家や業者が想定を超える損失を抱えるリスクを減らす。
2018年の5月、結果的に10倍のままで見送りとなりましたが、この話題はFX従事者には常にアンテナを張っておくべき話題でしょう。
金融庁は外国為替証拠金取引(FX)規制の一環で検討していた証拠金倍率(レバレッジ)を現行の25倍に据え置く方針を固めた。まずは業者任せになっているストレステストの精緻化などで決済リスクの監視を強化することを優先する。
企業活動におけるレバレッジ
企業活動におけるレバレッジ。
経営者にとっては基本中の基本です。
例えば、企業の資本金(自己資金)の他に、銀行からの借入をし、生産性を高めるというものです。
企業が行う借入金は、資本金のみでは事業活動が長期的に行えない場合。
また成長産業では機械設備や従業員数の拡大を賄うことが必要になる場合に実行されます。
「借入」といえばネガティブなイメージも強いですが、前向きに事業を発展させようという試みなのです。
例えば、ソフトバンクの有利子負債は巨額ですよね。
株式投資で企業研究をする際に、「財務諸表」の「BS(バランスシート)」の「負債」項目に注目しましょう。
どれだけ有利子負債を抱え、事業はどれくらい利益(リターン)が出ているのかを把握しておく必要があります。
一般家庭におけるレバレッジは「住宅ローン」
サラリーマンの方であれば、会社に入社、結婚、出産、とくれば次にイメージするのは「住宅ローン」なのではないでしょうか?
この住宅ローンは所属する会社の信用力と個人の貯金額。
そしてこれから購入する住宅を担保にして銀行からお金を借りるというものです。
貯金がそこまでなくても活用できる、個人ができるレバレッジの一つです。
住宅ローンに加え、自動車ローンも同様の考え方です。
ここからはこの魅力的に見えるレバレッジ取引にかかるリスクについて紹介していきます。
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レバレッジにかかるリスク
レバレッジの種類とその効果について解説してきましたが、ここからはそのリスクについて解説していきます。
株式投資
株式投資におけるレバレッジ取引は「証拠金取引」とも呼ばれています。
証拠金が10万円でレバレッジを10倍に設定すると、注文可能額は10倍の100万円となります。
他にも、例えば、10万円の証拠金でレバレッジ10%設定で取引を行うとします。
100万円分の取引を行い、結果、60万円の回収となった場合、40万円が損失として発生します。
この差額分は、「追加で」口座に振り込まなくてはなりません。
10万円の元手で始めた信用取引でした。
しかし、その金額の3倍もの損失が一瞬にして発生してしまったことがわかります。
投資信託
レバレッジ型投信は、相場が停滞局面でも価格が下落する性質を備えています。
詳しくは「レバレッジ投信の罠」で説明していますが、以下の指数(青)が5日後元の価格に戻ったとしてもレバレッジ投信は下落してしまう性質をもっています。
あくまでレバレッジ型投信を購入するときは、明確な方向性を確信している時のピンポイントでの活用に留めておきましょう。
FX
FXのレバレッジ取引では、自分が予想した方向に為替レートが動けば多額の利益を獲得できます。
しかし、予想がいつも当たるとは限りません。
予想とは反対の方向に為替レートが動けば、レバレッジをかけている分大きな損失を被ります。
100万円の証拠金を証券会社に差し入れて、「1USD=100円」の時に10万ドルを購入したとします。
為替は予想とは裏腹に、5%反対に動きました。
損失はいくらになりますでしょうか?
10万ドルは日本円で1000万円、そこから5%の下落ですので損失は50万円です。
自分のお金は100万円だったことを思い出しましょう。
100万円に対して50万円の損失は50%の損失です。
50万円の元本で、100万円に戻すには100%(50万円×100%)の利益が必要になります。
レバレッジ取引は、莫大な利益を瞬く間に積み上げることが可能です。
しかし、元本を毀損してしまうとそこからの巻き返しが非常に難しいのです。
「プロスペクト理論」を思い出してみましょう。
人間は損をすればするほど大きな賭けに出てしまう人は相場には多く、毎日のように退場者が出ている状況です。
その点を理解した上で、FXのレバレッジ取引は実施していきましょう。
企業活動
企業が借入を実行すると、業態拡大、設備拡大、雇用の拡大とできることが増えます。
しかし、肝は「利益は本当に出るのか?」です。
安定した利益が見込めないのであれば、そもそも銀行からお金を借入れることは非常に難しいです。
突然の市場環境の変化などで、利益が出なくなることがあるからです。
「リーマンショック」など「世界経済恐慌」などが起これば、参入していた市場が縮小していき、利益が減少することは十分にあり得ます。
金利を払えなくなれば、銀行も強固な姿勢で返済を要求し、設備、雇用拡大していた企業は瞬く間に倒産していきます。
「市場環境の急激な変化」が企業経営者にとっては一番のリスクとも言えるでしょう。
株式投資で企業研究をする際は、市場環境について企業は「IR(インベスターリレーションズ)」で公表していますので、そこにも目を通しておきましょう。
例えば「トヨタ自動車」の2018年Annual Reportsは以下のようになっています。
株式投資を検討している会社のIRは必ず読み込むようにしておきましょう。
住宅ローン、自動車ローン
個人のローンについては変動金利で借り入れている場合の将来の金利の高騰が挙げられます。
将来的に支払利息が増えればその分、家計を圧迫します。
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まとめ
レバレッジの効果とそのリスクについて、代表的な投資の種類ごとに解説をしてきました。
FXや株のレバレッジは、大きな利益を獲得できる可能性があります。
しかし、時として、一瞬にして取り返しのつかない損失を被る可能性があることも頭に入れておきましょう。
以上、「レバレッジをかける」とは?その意味と効果・リスクをわかりやすく解説。…の話題でした。