今まで王道のVTやVTIやVOOといった王道のETFを紹介してきました。
しかし、コロナショックを機に注目が集まっている米国株のETFとしてQQQがあります。
QQQはコロナショックから一早く立ち直り、今や最高値を更新しています。
本日はQQQについて以下の点をお伝えしていきたいと思います。
【今回の内容】
- QQQはどんなETFなのか?
- QQQの構成銘柄上位は?
- QQQとVGTは何が異なるのか?
- QQQを用いた戦略とは?
Contents
QQQはどのようなETFなのか?
まずはQQQがそもそもどのようなETFなのかという点について紐解いていきたいと思います。
QQQが連動を目指すインデックスはナスダック100
ETFは基本的に連動を目指すインデックスが存在します。
QQQの場合はナスダック100指数に連動するよう作られたETFです。
Invesco QQQ is an exchange-traded fund based on the Nasdaq-100 Index®. The Fund will, under most circumstances, consist of all of stocks in the Index. The Index includes 100 of the largest domestic and international nonfinancial companies listed on the Nasdaq Stock Market based on market capitalization. The Fund and the Index are rebalanced quarterly and reconstituted annually.
参照:Invesco
重要部分をまとめると以下の通りとなります。
based on the Nasdaq-100 Index®
QQQはナスダック100指数に連動することを目的としたETF
The Index includes 100 of the largest domestic and international non financial companies
ナスダック100指数は米国内外の非金融機関100社で構成された指数
based on market capitalization
ナスダック100指数は時価総額加重平均指数
rebalanced quarterly and reconstituted annually.
リバランスを四半期に1回行い、構成銘柄見直しを1年に1回実施している
ナスダックは1971年に世界で初めて「電子株式」での売買を取り入れて設立された証券取引市場です。
日本でいうマザーズのような新興株、中堅企業中心の証券取引所ですが規模はNYSEについで世界第二位となっています。
では、次にQQQの構成上位銘柄をみてきましょう。
QQQの構成上位銘柄
Ticker | 銘柄 | 構成比率 |
AAPL | Apple Inc | 11.90 |
MSFT | Microsoft Corp | 11.63 |
AMZN | Amazon.com Inc | 10.35 |
FB | Facebook Inc | 4.40 |
GOOGL | Alphabet Inc | 3.82 |
GOOG | Alphabet Inc | 3.73 |
INTC | Intel Corp | 2.48 |
NVDA | NVIDIA Corp | 2.29 |
ADBE | Adobe Inc | 2.06 |
NFLX | Netflix Inc | 2.01 |
GAFAM合計 | 45.83% | |
上位10銘柄合計 | 54.67% |
GAFAMはGoogle、Apple、Facebook、Amazon、Microsoftといった巨大IT企業群の総称です。
近年の米国株のリターンを牽引している銘柄群でありコロナショックの中でも株価は堅調に推移しています。
QQQのセクター別比率
以下はQQQのセクター別構成比率です。
セクター名(左:英語 右:日本語) | 構成比率 | |
Information Technology | 情報技術 | 47.96% |
Communication Service | 通信サービス | 20.29% |
Consumer Discretionary | 一般消費財 | 16.86% |
Health Care | ヘルスケア | 7.27% |
Consumer Staples | 生活必需品 | 4.92% |
Industrials | 資本財 | 2.01% |
Utilities | 公益 | 0.69% |
情報通信セクターETFのVGTとは何が違う?
テクノロジー系の企業に投資を行おうと思った時にQQQと同様に候補にあがるETFがバンガード社が提供しているVGTです。
VGTは情報技術セクター銘柄のみを切り出したMSCI USインベスタブル・マーケット・情報技術25/50インデックスに連動するよう組成されています。
以下は構成上位10銘柄ですがGAFAMの中で被っているのはAPPLEとMICROSOFTのみとなります。
VGT | QQQ | ||
Apple Inc. | 18.15 % | Apple Inc | 11.90 |
Microsoft Corp. | 17.27 % | Microsoft Corp | 11.63 |
Visa Inc. Class A | 4.05 % | Amazon.com Inc | 10.35 |
Mastercard Inc. Class A | 3.51 % | Facebook Inc | 4.40 |
Intel Corp. | 3.51% | Alphabet Inc | 3.82 |
NVIDIA Corp. | 2.81% | Alphabet Inc | 3.73 |
Cisco Systems Inc. | 2.64% | Intel Corp | 2.48 |
Adobe Inc. | 2.43% | NVIDIA Corp | 2.29 |
PayPal Holdings Inc. | 2.25% | Adobe Inc | 2.06 |
salesforce.com Inc. | 1.92% | Netflix Inc | 2.01 |
コラム:ETF同士の重複を確認するツール
ETF同士の重複を確認するツールとして以下の海外サイトがあります。(無料登録で誰でも簡単に使用できます。)
QQQとVGTの重複部分を調べると以下のように47%となっており、重複銘柄は38銘柄となっていました。
以下左図はQQQがVGTに対してOverweightしている銘柄、右はQQQがVGTに対してUnderweightしている銘柄を示しています。
QQQのリターンとは?栄光の10年を振り返る
ではQQQのリターンと配当金の推移をみていきましょう。
YTD | 1yr | 3yr(年率) | 5yr(年率) | 10yr(年率) | 運用開始来 | |
QQQ | 9.85% | 35.16% | 19.21% | 17.29% | 18.94% | 8.10% |
NASDAQ100指数 | 9.89 | 35.45 | 19.44 | 17.54 | 19.20 | 8.32% |
NASDAQ総合指数 | 5.76% | 27.33% | 15.25% | 13.36% | 15.44% | 6.68% |
Russell 3000 Index | -5.63% | 11.46% | 9.54% | 9.17% | 12.80% | 6.50% |
市場全体の動きを表すRussell3000を大幅にアウトパフォームしているだけでなく、ナスダック総合指数すらも大幅にアウトパフォームしています。
低い配当利回りで二重課税を極力回避
年間配当金 | |
2003 | 0.01358 |
2004 | 0.37858 |
2005 | 0.13586 |
2006 | 0.13269 |
2007 | 0.1429 |
2008 | 0.13846 |
2009 | 0.21118 |
2010 | 0.36063 |
2011 | 0.46252 |
2012 | 0.82278 |
2013 | 0.89304 |
2014 | 1.4529 |
2015 | 1.10457 |
2016 | 1.25326 |
2017 | 1.30136 |
2018 | 1.40527 |
2019 | 1.58159 |
QQQの2020年6月24日現在の約250ドルの水準から考えると、配当利回りは0.6%程度という水準になります。
米国株やETFでの配当には米国で10%の源泉課税に加え、日本側でも20.315%の二重課税をくらい合計30%の課税となってしまうのです。
成長著しいナスダック100指数銘柄においては配当を出さずに有効な事業投資を行い利益を伸ばして株価を高め株主還元してくれた方が嬉しいですね。
QQQをVGT・VOOと比較する
他のETFとも比較していきましょう。以下はVGTとS&P500に連動するVOOとの比較です。
QQQ:青色
VGT:赤色
VOO:橙色
年率リターン | 標準リスク | Best Year | Worst Year | |
QQQ | 17.93% | 14.98% | 38.96% | -0.12% |
VGT | 17.93% | 15.99% | 48.61% | 0.56% |
VOO | 12.09% | 13.13% | 32.39% | -5.00% |
QQQを活用した戦略
それではQQQを活用した投資戦略について紹介していきたいと思います。
戦略①:GAFAMを始めとしたテクノロジー企業に賭けるならQQQ一本攻め
先ほどお伝えした通りQQQは約5割をGAFAMを組み入れています。
一つずつGAFAM銘柄を購入するのは手間がかかるし、流石にもう少しテクノロジー企業で分散させたい方もいるでしょう。
そのような方はQQQに投資を行い高いリターンを目指すのも一つの戦略です。
コラム:QQQに入っている銘柄は殆どS&P500指数にも入っている
先ほどのツールを用いてQQQとS&P500指数に連動するVOOとの重複を調べた結果が以下です。
QQQの103銘柄のうち84銘柄はVOOにも含まれています。
ですから、QQQとVOOをポートフォリオに組み入れる場合は重複を加味して組み入れましょう。
戦略②:配当貴族銘柄と組み合わせて攻守兼ね備えたポートフォリオを組成
QQQは高いリターンを狙う攻めのETFです。
ただ、攻め一方の場合は暴落時に怖いという方もいらっしゃると思います。
そのような方におすすめなのが配当貴族銘柄との組み合わせです。
過去の検証でも大型の連続増配銘柄に関しては高いリターンを低いリスクで出せることをお伝えしてきました。
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以下は増配年数が長い銘柄順にS&P500指数の平均時価総額である450億ドルを超える銘柄を選んだリストです。
名前 | Ticker | 増配年数 |
Procter & Gamble Co. | PG | 64 |
3M Company | MMM | 62 |
Johnson & Johnson | JNJ | 58 |
Coca-Cola Company | KO | 58 |
Colgate-Palmolive Co. | CL | 57 |
Target Corp. | TGT | 52 |
Altria Group Inc.. | MO | 50 |
Becton Dickinson&Co | BDX | 48 |
Kimberly-Clark Corp. | KMB | 48 |
PeosiCo & Co | PEP | 47 |
この銘柄を10%ずつ組み入れたポートフォリオを大型増配銘柄PFとします。
大型配当貴族銘柄PF:青
大型配当貴族銘柄PF50%+QQQ50%:赤
QQQ:橙
S&P500:緑
2000年1月〜 | 年率リターン | 標準リスク | Best Year | Worst Year |
大型配当貴族銘柄PF | 9.70% | 11.82% | 29.25% | -20.95% |
大型配当貴族銘柄PF50% + QQQ50% | 8.16% | 14.65% | 40.10% | -31.34% |
QQQ | 5.40% | 23.60% | 54.68% | -41.73% |
S&P500 | 5.55% | 15.04% | 32.18% | -37.02% |
2010年1月〜 | 年率リターン | 標準リスク | Best Year | Worst Year |
大型配当貴族銘柄PF | 11.46% | 11.09% | 29.25% | -5.34% |
大型配当貴族銘柄PF50% + QQQ50% | 14.84% | 12.28% | 33.14% | -2.73% |
QQQ | 18.14% | 15.83% | 38.96% | -0.12% |
S&P500 | 12.27% | 13.77% | 32.18% | -5.02% |
戦略③:QQQとVIGを組み合わせる
上記のような配当貴族銘柄を組み合わせるのが面倒な方は増配ETFであるVIGで代用するのも有効です。
VIGは増配歴が10年以上の銘柄で構成されており若干ものたりませんが安定したリターンをもたらしています。
VIG:青
VIG50%+QQQ50%:赤
QQQ:橙
S&P500:緑
2010年1月〜 | 年率リターン | 標準リスク | Best Year | Worst Year |
VIG | 11.53% | 12.26% | 29.62% | -5.16% |
VIG50% + QQQ50% | 14.87% | 13.56% | 34.29% | -1.10% |
QQQ | 18.14% | 15.83% | 38.96% | -0.12% |
S&P500 | 12.27% | 13.77% | 32.18% | -5.02% |
ちなみに2007年からの大型配当貴族銘柄PFとVIGのリターンは以下の通り大きな差がでてきています。
QQQとVIGの重複銘柄はわずか18銘柄ですのでだぶりが少なく投資できるのもメリットですね。
まとめ
【QQQとは?】
- ナスダック市場の代表的な100銘柄の時価総額加重平均指数
- GAFAMを含んでおり、GAFAMだけで約半分を占めている
- リターンは過去10年卓越するも、ITバブルを含めると市場平均に劣後
- 毎年配当金を増額しているが配当利回りは低く二重課税の影響は少ない
【VGTとの違いとは?】
- VGTは情報技術セクターETF
- VGTはGAFAMのうちAPPLEとマイクロソフトのみを含んでいる
- 過去リターンはQQQと類似しているが構成銘柄は結構異なる
【QQQを活用した戦略】
戦略①:
GAFAMに簡易的に一括で投資をし銘柄分散をして高いリターンを狙う攻めの姿勢でQQQ100%で挑む。
戦略②:
攻撃をQQQ、守備を大型配当貴族PFとして50%ずつ組み合わせて常に市場平均に対する優位を狙う
戦略③:
戦略②をお手軽に行う戦略。QQQと増配ETFであるVIGを50%ずつ組み合わせる。