近年、証券会社各社が「SOR注文」という新しいタイプの注文方法を導入しています。
株式投資をする上で、SOR注文について知っておくことは重要です。
「SOR注文ってどんなものかわからないから使ったことが無い」
「もっとお得な注文方法が知りたい」
このような方はぜひこのコンテンツを最後まで読んで参考にしてください。
それでは、SOR注文とはそもそもどういった注文方法なのか、活用するメリットなどについて紹介します。
以下は今回のポイントです。
■ 今回のポイント:
- SOR注文は証券取引所の他にPTS市場なども活用したシステム
- SOR注文は証券取引所の価格より有利な価格で取引できる可能性がある(メリット)
- SOR注文をすることで場合によっては売買手数料が安くなる(メリット)
- SOR注文は一部の証券会社で利用でき全ての銘柄がSOR注文できるわけではない(デメリット)
それでは、内容に入っていきましょう。
目次
Contents
SOR注文とは?
SORとは「スマート・オーダー・ルーティング」の略語です。
「SOR注文」とは株式売買の注文をより有利な価格で行うための方法です。
通常、国内で株式取引を行う際は「東京証券取引所」を通じて取引を行います。
しかし、東京証券取引所(以下、東証)以外でも株の取引は行われております。
東証以外の市場の方が安く株式を購入できる場合もあるのです。
ただし、取引したい瞬時のタイミングで複数の市場売買価格を確認することは容易ではありません。
注文タイミングが遅れてしまえば、却って不利な価格で約定するかも知れません。
こういった問題があり、複数の市場を跨いで取引を行うということは現実的ではありませんでした。
しかし、SOR注文を利用すれば、自動的に複数の市場から最も有利な価格で売買することができます。
SOR注文は、IT技術の進歩により誕生した注文サービスです。
SOR注文は複数の市場から最も有利な価格で約定させるというサービス。
しかし、複数の市場とはどういったものがあるのでしょうか?
つづいてSOR注文で株式を売買する市場について紹介します。
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東京証券取引所(東証)
東証は日本取引所グループの一つで日本最大の金融商品取引所です。
株式売買の多くは東証を通じて行われます。
売買システムも随時改修が行われております。
現在では1日当たり2億7,000万件の注文を処理できる高い処理機能を持っているのが特徴です。
このように東証の取引は安定しており市場参加者も多いことから、国内の株式売買の99%以上を占めています。
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PTS市場
PTSとは「Proprietary Trading System」の頭文字を取った略語です。
日本語では「私設取引システム」とよばれています。
一般的に株取引は東証などの証券取引所を通じて行います。
PTS取引の場合は証券取引所を介さずに取引を行うことが可能です。
PTS市場とは証券取引所とは無関係な市場であり、各証券会社が独自に開設している市場を言います。
PTS市場では各証券会社に口座を保有している投資家同士がPTS市場を通じて売買することになります。
現在、日本国内のPTS市場は以下の2つです。
- チャイエックスPTS
- ジャパンネクストPTS
SOR注文を利用すれば、東証などの証券取引所の他にこのようなPTS市場での売買価格を含めて有利な価格で取引できるようになります。
証券取引所での取引とPTS市場での取引の違いは何でしょうか?
つづいてPTSのメリットを紹介します。
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PTSのメリット①:取引時間が長い
証券取引所での株式売買取引時間は現在9時~11時半、12時半~15時と定められております。
この時間内に、取引を行う必要があります。
会社員の場合は勤務時間と重なっておりリアルタイムの取引が難しい方も多いでしょう。
一方PTS市場の取引は夜間も可能です。
22時や23時でも取引ができます。
企業が15時以降に重要な発表をした場合や、夜間に海外で経済指標が発表された場合など。
その情報を分析した上で取引を行うことができます。
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PTSのメリット②:場合によっては有利な価格で売買できる
PTS市場の取引は各証券会社の顧客同士が行います。
東証などでの取引に比べて圧倒的に参加者が少ないため、売買価格が証券取引所での価格と大きく異なる場合もあります。
そういったチャンスをものにできれば有利な価格で売買することが可能です。
時には価格を誤って発注している場合もあり、そういった場合は格安で株式を購入することもできます。
東証での取引は市場参加者が多く、売買価格と大きく離れた価格で注文してもほとんど約定することはありません。
しかし、PTS市場は参加者が少ないため売買価格から離れた価格でも約定する可能性があります。
ただし、有利な価格で約定できる可能性があるということは、不利な価格で約定する可能性もあるということです。
発注の際には注文価格に注意が必要です。
SOR注文は東証とPTS両方の市場で最も有利な価格を自動的に判断し取引することができます。
PTS市場の方が不利な価格の際はPTS市場価格では約定しませんので、前述のような心配はありません。
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SOR注文のメリット
SOR注文のメリットの大きな点は、有利な価格で売買できる可能性があるという点です。
証券取引所とPTS市場の価格を比べて買い注文であればより安い方を、売り注文であればより高い方を自動的に選んで発注してくれます。
投資家はただ単にSOR注文を選べば良いだけです。
それだけで、安く買うあるいは高く売る可能性があるのですから、基本的にはSOR注文を利用した方が良いでしょう。
特にPTS市場では、低位株でも小数点以下での取引がされており株価が東証より細かく刻まれています。
ある程度PTS市場でも取引がされている銘柄であれば有利な価格で取引できる可能性が高いです。
さらに、SBI証券など一部の証券会社ではSOR注文を利用してPTS市場で取引が成立した場合は売買手数料が通常より安くなります。
PTS市場で売買が成立するということは、東証より有利な価格で約定したということです。
約定価格と手数料という2つの面で得ということです。
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SOR注文のデメリット
SOR注文のデメリットとしては、取引できる銘柄が限定されるという点があります。
SOR注文を行うには、取引銘柄がPTS市場でも取引されていることが必要です。
取引が活発でなく需要が無い銘柄はPTS市場で取引がされておらず、その結果SOR注文で注文することができません。
一部の銘柄にしか対応していないという点はデメリットです。
また、SOR注文では逆指値注文のように複雑な注文ができません。
基本的には成行注文と指値注文のみ対応しています。
SOR注文の最大のメリットは有利な価格で売買できる可能性があるという点です。
しかし、この点についても完璧なものではありません。
株式取引は注文してから約定するまでに、ほんの少しではありますが時間がかかります。
SOR注文を発注した際には、PTS市場の方が有利だったとしても約定するまでのわずかな時間の間に、東証の売買価格の方が有利になってしまう可能性はあります。
ただし、売買システムは進歩し続けており処理能力も大変高いので、実際にSOR注文をすることで不利な価格での売買になるということは大変まれです。
デメリットの最後としてはSOR注文に対応している証券会社が少ないという点があります。
現在SOR注文に対応している主な証券会社は以下のとおりです。
- 楽天証券
- SBI証券
- マネックス証券
SOR注文をするのであれば上記証券会社のようにSOR注文に対応している証券会社を選ぶ必要があります。
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まとめ
今回はSOR注文について紹介しました。
最後に重要点をまとめると以下の通りです。
■ 今回の総括:
- SOR注文は証券取引所の他にPTS市場なども活用したシステム
- SOR注文は証券取引所の価格より有利な価格で取引できる可能性がある(メリット)
- SOR注文をすることで場合によっては売買手数料が安くなる(メリット)
- SOR注文は一部の証券会社で利用でき全ての銘柄がSOR注文できるわけではない(デメリット)
ぜひこのコンテンツを参考にSOR注文を活用して株式投資をしてみてください。
以上、SOR注文(スマート・オーダー・ルーティング)とは?有利な価格で株を売買!特徴と活用するメリット・デメリットを解説。…でした。
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