アメリカ企業と聞くと、GoogleやMicrosoftなどのIT企業を連想しがちです。
しかし、これら大企業も最初は小さなベンチャー企業から始まりました。
アメリカのベンチャー企業が上場しているのが「ナスダック」と呼ばれる株式市場です。
ナスダックは、独自の取引監視システムである「SMARTS」を仮想通貨取引に技術提供していることでもニュースになりました。
このナスダックをもとに算出されている指標が「ナスダック総合指数」になります。
今回はこのナスダック総合指数について、徹底解説していきます。
ナスダック総合指数とは?
ナスダック総合指数はアメリカの新興企業市場である「ナスダック」に上場している企業の株価動向を反映した指標です。
ナスダック上場企業の株価すべてを対象としており、時価総額加重平均を算出してナスダック総合指数が出されます。
アメリカの株価指標の中で今もっとも注目されている指標と言っても過言でないです。
1971年2月5日の算出時点における終値を100としています。
以下はナスダック総合指数の値動きです。
2019年11月27日時点では8705ポイントと9000ポイント間近という水準まで上昇してきています。
ナスダック総合指数の特徴
ナスダックに上場している企業は、ITなどのハイテク関連企業が多数を占めています。
そのため、ナスダック総合指数の動きは、「アメリカのハイテク産業」の動向を如実に示していると言えます。
ナスダック総合指数の過去からの値動きの推移
ナスダック総合指数が最初に盛り上がったのはITバブルの時です。
1500ポイント程度であったナスダック指数が1年足らずで4800ポイントまで3倍以上に急騰しました。
その後、ITバブルの崩壊に伴ってナスダック総合指数は4800ポイント近辺から1300ポイントまで7割ほど下落しました。
2008年あたりから2019年にかけて、ナスダック総合指数は右肩上がりに上昇してきました。
これは、GoogleやMicrosoftなどIT企業の業績が良かったことが要因です。
ただ、目下のナスダック総合指数は2020年2月中旬から本格化したコロナショックの影響をもろに受けています。
ここで耐えることができるのか今後非常に注目ですね。
仮に暴落となったとしても今までもナスダックそごう指数は乗り越えてきました。
長期的にみると今後も堅調に伸びていくことが予想されます。
それだけ、アメリカのハイテク企業にかかっている期待が大きいということもでもありますね。
ナスダック100指数とダウ平均株価とS&P500指数と値動きを比較
それではナスダック総合指数と他の米国指数とを比較していきたいと思います。
以下は1998年以降の以下の指数の比較です。
NASDAQ総合指数
NASDAQ100指数
ダウ平均株価
S&P500指数
上位100銘柄を集めたナスダック100指数はS&P500指数の2.5倍、ナスダック総合指数も約2倍となっています。
ナスダックとNYダウやS&P500の関係
上記にも名前が挙がっているとおり、アメリカの証券市場にはいくつかの指標が存在します。
ここでは、それらの関係や違いについて解説します。
【ダウ平均株価とナスダックとの関係】
ダウとは、アメリカの出版社であるダウジョーンズ社が計算している指標です。
ダウ社が独自に厳選した銘柄の平均を、ダウ平均としています。
ナスダックからは現在、アップルやマイクロソフトなどが組み込まれています。
ナスダック総合指数は時価総額の大きさ毎に銘柄の構成比率を決める時価総額加重平均指数です。
ダウ平均と同様の指標が日本の株式市場にもあります。
日経新聞社が算出している日経平均株価です。
日経平均とダウ平均は株価の大きさで組み入れ比率を変える平均株価方式の指標です。
【S&P 500はナスダックやダウより広い範囲】
S&P 500とは、ニューヨーク証券取引所に上場している500社の株価から計算された指標です。
より多くの分野や企業の株価から計算されます。
ひとつの企業の株価の変動が与える影響が少なく、アメリカ全体の経済指数として注目されます。
ナスダック上場基準
上記のとおり、長期にわたり成長を続けており、3,000以上の企業が上場を果たしているナスダック。
上場をするためにはいくつかの基準をクリアしなくてはいけません。
ここでは、ナスダック上場にける基準について解説します。
ナスダック上場には、3つの基準が設けられており、それぞれにさらに細かい基準が設定されています。
3の基準というのが、以下のとおりです。
- 資本基準
- 時価総額
- 利益基準
上記の3つの基準の中に、資本金の額や事業期間、時価総額など様々な基準が設けられているのです。
主な基準は以下となります。
資本基準 | 時価総額基準 | 利益基準 | |
時価総額 | – | $50mil | – |
浮動株時価総額 | $15mil | $15mil | $5mil |
株主資本 | $5mil | $4mil | $4mil |
事業継続期間 | 2年 | – | – |
税引前利益 直近年度 または 過去3年のうち2年 | – | – | $0.75mil |
上記の設定されている基準をクリアした企業は、ナスダックに上場を行う権利が与えられることになります。
ナスダック株の購入方法
ナスダック株はアメリカの企業だからといって、アメリカの証券口座を開設する必要はありません。
日本にいながらも、ナスダック株を取り扱っている証券会社から取引は可能です。
主な証券会社は、マネックス証券、SBI証券、楽天証券です。
それぞれ取り扱っているナスダック株に若干の違いがあります。
購入を希望している銘柄を取り扱っているかどうかの事前確認が必要になります。
ナスダック総合指数の構成上位銘柄
ナスダック総合指数の対象銘柄は、ナスダックに上場している全企業です。
この中から、特に時価総額の大きい企業をピックアップして紹介していきます。
以下は2019年11末時点での構成上位10銘柄です。
構成銘柄 | 時価総額 |
アップル | 1.18兆ドル |
マイクロソフロ | 1.15兆ドル |
アルファベット | 0.90兆ドル |
アマゾン | 0.89兆ドル |
フェイスブック | 0.57兆ドル |
インテル | 0.25兆ドル |
コムキャスト | 0.20兆ドル |
シスコシステム | 0.19兆ドル |
ペプシコ | 0.19兆ドル |
アドビシステムズ | 015兆ドル |
上位10銘柄で5.7兆ドルでありNASDAQ時価総額17.1兆ドルの約34%を占めています。
上位のFAANGとマイクロソフトはナスダックに限らず、世界の時価総額1位〜5位に君臨する巨大企業群です。
この10年の米国並びに世界の株式市場を牽引してきた企業が名を連ねています。
アップル
日本でもおなじみのアップルは、ナスダック上場企業です。
今や大企業ですが、ナスダックへの上場を継続しています。
iPhoneやiPadなど、独自のIT機器、ソフトウェアを開発して、他のIT関連企業と差別化を図ってきました。
アップルを語る上で欠かせないのが創業者のスティーブ・ジョブズです。
スティーブ・ジョブズは、かなり破天荒な人生を歩んでおり、紆余曲折を経て、アップル創業に至ります。
スティーブ・ジョブズが亡くなってから、独創的なアイディアが中々出てこなくなったというのも要因と言えます。
とはいえ、まだまだITソフトウェアの市場ではトップクラスの業績を出していますので、侮ることはできません。
直近ではウォーレンバフェットも巨額の投資を行なっており注目を浴びています。
Microsoft (マイクロソフト)
アップルと並び、ITソフトウェア企業の二大巨頭として君臨しているのがMicrosoftですね。
日本での知名度は、アップル程ではないかもしれませんが、「Windows」と聞けば知らない人は少ないと思います。
Microsoftは、このWindowsをリリースして、世界的なITソフトウェア企業にのし上がりました。
創業者であるビル・ゲイツは、世界長者番付トップ10以内に毎回ランクインする富豪です。
ただ、ビル・ゲイツ自身は得たお金を寄付や財団設立に使っており、自身が贅沢な暮らしをすることはないようですね。
ビル・ゲイツとアップルの創業者スティーブ・ジョブズは互いに友人であり、ライバルである関係でした。
このライバル関係が、今の二大IT企業を作りあげたのかもしれません。
現在ではクラウドサービス「アジュール」を主要な事業として構造改革を行なっています。
Amazonドットコム
世界最大の通販サイトであるAmazonも実は、ナスダック上場企業です。
Amazonは初期の頃は書籍のみを扱っていたのですが、業績好調にともなって、事業規模を拡大していきます。
巨大IT企業群の中で過去5年で最も高いパフォーマンスとなっています。
アマゾン(青)
グーグル(赤)
アップル(緑)
フェイスブック(橙色)
今では、Amazonの専用倉庫があるほどになり、世界中どこでも迅速に配送できる状態が整えられています。
日本ではまだ実用化されていませんが、アメリカのAmazonでは「ドローン」を使った配送が実験段階に入っており、
早ければ今年中にドローン配送が実現する模様です。
無人機が家の前まで商品を配送してくれる時代になるとは、100年前の人たちは想像していなかったでしょうね。
大企業になっても、新たな試みを行うベンチャー精神を忘れずにビジネスを行っている点が市場から高評価を得ています。
先ほど述べた通りマイクロソフトとクラウド事業で競争が激化しており今後が注目されます。
アルファベット (Google)
Googleは言わずと知れた検索サイトのドンですね。2000年代前半は、ヤフーとシェアを争っていました。
Googleは検索サービスの他に、企業の「広告」を配信するサービスも展開しています。
これが「Googleアドセンス」と呼ばれるものです。
YouTuberたちが収入を得られているのも、このGoogleアドセンスのおかげです。
YouTuberは、自身の動画にGoogleアドセンスを組み込んで、動画の途中に企業のCMを流します。
再生回数に応じて、YouTuberサイドに報酬が入る形式です。
Googleアドセンスが無ければ、多くのYouTuberたちはお金を稼ぐことができない訳です。
加えて、Googleは「Googleアース」と呼ばれる3Dの地図を無料でリリースしています。
Googleアースを使えば、まるでその場を歩いているような感覚になります。
家にいながら、海外旅行ができる感覚です。
様々なネットワークサービスを通じて、他のネットワーク企業の追随を許さない、確固たる地位を築いています。
フェイスブック(Facebook)
フェイスブックはドラマ『ソーシャルネットワーキング』でも取り上げられたマークザッカバーグ氏が創業した世界最大のSNSを運営していう会社です。
ちなみに現在、日本で大流行しているInstagramもフェイスブック社が運営しています。
現在はSNSからの広告収入が99%をしめており事業を多角化しようと奮闘しています。
Costco(コストコ)
最近、日本の雑誌はバラエティ番組でも取り上げられるようになったコストコもジャスダック上場企業です。
コストコは、飲食料品や生活用品全般を販売する小売企業です。
日本の場合、コストコは都心部から離れた郊外に店舗を構えているところが多いですね。
コストコといえば、何といっても「コストパフォーマンスの良さ」です。
アメリカンサイズの商品が、とても安い値段で販売されています。
コストコは「会員制」をとっており、コストコの会員にならなければ買い物をすることができません。
小売業で会員制を採用しているのは、日本ではコストコぐらいではないでしょうか。
会員制にすることで、リピート率を増やし、売上の安定化を図っています。
アメリカでは、ウォールマートと並び、全米最大規模の小売企業です。
今後も堅調な国内消費支えられて、業績を伸ばしていくことが予想されますね。
ナスダック株のメリット・デメリット
数多くの企業が上場しており、日本でもなじみのある企業が散見されるナスダック市場。
ナスダック株の取引には、メリットとデメリットが存在します。
- 大きな市場規模
ナスダック市場は、日本と比較しても大きな市場規模を持っています。
上場企業数も日本では東証1部2部合計で2,600社程度ですが、ナスダックは3,400社を超えています。
- 大企業の株を購入できる
上記でも紹介したとおり、世界レベルの企業が多く上場しているナスダックでは、それらの株を購入することができます。
- 情報収集のハードルが高い
海外の企業のため、リアルタイムな情報収集が困難になってしまいます。
大きなニュースであっても若干のタイムラグは発生してしまうため、常に目を光らせておる必要があります。
まとめ
ナスダック総合指数は、ナスダックに上場する全企業を対象にした株価指数です。
ナスダック自体、新興企業、とくにIT企業が中心に上場しています。
ナスダック総合指数の推移を見れば、アメリカのハイテク産業の動向を知ることができます。
もちろん、新興企業以外にも、アメリカを代表する大企業がジャスダックに上場しています。
GoogleやMicrosoft、アップル、Amazonなど日本でもなじみの深い企業がジャスダックに名を連ねていますね。
これらの企業は時価総額が高く、ナスダック総合指数の推移に対して大きな影響力をもってます。
ナスダック総合指数は、2008年から右肩上がりで上昇してきています。
アメリカのIT企業の業績が好調であったことが伺えます。
ただ、直近のナスダック総合指数は横ばいの状態が続いており、ハイテク産業全体の勢いが若干弱まってきています。
長期的に見れば、上昇していくことが予想されますが、ナスダック総合指数がどのタイミングでブレイクするか、
注視していかねばなりませんね。
今後の動向からも目が離せません。
米国のその他の指数については以下でまとめていますので参考にしてみてください!