「非正規雇用者の増加」
「年金支給額の減額」
「支給年齢の引き上げ」
「消費税増税」
毎日のようにメディアで報じられている通り、私たちの将来にはさまざまな不安要素があります。
今あるお金を少しでも増やしたい、将来安定した生活を送りたいと願うのは当然のことでしょう。
そのために多くの人が資産運用を始めています。
しかし、当然ながら、資産運用は必ずしも元本が保証されたものではありません。
資産運用を始める場合は、まず「リスクを最小限に減らすこと」を頭にいれておきましょう。
資産形成をする際、株式や債券など何かしらの金融商品に投資することになります。
しかし、これらの金融商品には必ず、値下がりするリスクがあります。
このリスクを最小限に抑えて、安定して収益をあげるのに利用するのがポートフォリオと呼ばれるものです。
今回は、このポートフォリオについて、概要と作成方法をまとめていきます。
目次
Contents
資産運用の基本・分散投資、「卵は一つのカゴに盛るな」
「卵は一つのカゴに盛るな」ということわざは、株式相場の先人の格言ですが、資産運用の世界でも頻繁に使われます。
しかし、いくつかのカゴにたまごを盛るとたまごが割れるリスクを減らせるということなのです。
資産運用でもこれは同様です。
もし一つの金融商品だけに投資をしていた場合、それがダメだった時に大きなダメージを受けます。
いくつかに分散投資をした場合はリスクを免れ、または軽減できるのです。
資産形成をする際、株式投資を選択する人もいれば、債券に投資する人もいます。
株式投資をするにしても、1つの企業の株式銘柄のみ集中して買うと、その企業が倒産した際に大きな損失がでてしまいます。
資産形成は、常にリスクを考えながら行わなければいけません。
そこで、資産形成の際に、収益と損失のリスクのバランスを取るために考案されたのが、「ポートフォリオ」です。
ポートフォリオとは、様々な種類の株式、債券などの金融商品を組み合わせて、リスクを分散。
長期的に利益がでるよう調整された構成を指します。
例えば、株式のポートフォリオを作る場合、外国為替が円安のときに株価が上がる銘柄と円高の際に上がる銘柄をそれぞれ組み込んでおけば、どちらに転んでも大きな損失を免れることができます。
現在の日本は円安志向なので、円安に強い銘柄を多めにいれ、円高に強い銘柄を少なく配置すれば、長期的に利益を上げやすくなります。
(目次に戻る)
分散投資をおすすめする理由と3つの分散投資
分散投資をする最大の理由。
それは、投資を実行して資産を保有している最中に大きな損失を抱えて強制終了されることがないこと。
そして長期投資ができるようにするためです。
資産運用の本来の目的は、複利効果を活かしながら長期的に運用していくことです。
一つに投資をして大きな損失を出してしまうと、そもそも資産運用を続けることができなくなります。
資産運用で重要なことは「大儲け」をすることではなく「大きく損をしないこと」なのです。
資産レベルでの分散投資は、投資の基本であり世界中の機関投資家が取り入れている世界標準の投資法なのです。
さて、分散投資には3種類の方法があります。
■ 地域の分散:
国内、国外など複数の種類の資産に投資することで、急激な為替の変動や投資先の情勢が悪化してもリスクを分散できます。
■ 時間の分散:
投資するタイミングを1か月に1回、半年に1回、1年に1回、など複数回に分散しタイミングを分散します。
集中投資をしていた場合、これらのリスクを1点に受けてしまうため損失金額が大きくなる危険があります。
分散投資は、リスクが1点に集中する危険を回避できるため、いざという時の損失金額を最小限に減らすことができるのです。
(目次に戻る)
分散投資をするメリット・デメリット
分散投資をするメリットは、売買のタイミングを意識する必要がない点でしょう。
分散投資をすれば、短期的なリターンを見込むのではなく、長期的なリターンを見込むため売買のタイミングを意識する必要がありません。
特に持株や投信積立のような投資手法といったドルコスト平均法の投資を行うことで、保有コストを平均化することができます。
分散投資は、長中期的に資産を保有するため、仕事をしていたり、経営者など多忙な人にもおすすめの投資法なのです。
一方で集中投資をすることで得られるであろう利益が少なくなってしまう側面もあります。
例えば保有している銘柄の一部が10倍になったとして、資産全体で見ると10~20%程度の伸びしか望めません。
また、ポジションの管理に手間がかかるというデメリットがあります。
■ 分散投資のデメリット:
- 集中投資をして得られる利益が少ない
- ポジション管理に手間がかかる
「本当にしっかりと銘柄について分析し、理解しているのであれば過度な分散を行わなくてもよい」
世界有数の投資家である、ウォーレン・バフェット氏はこのように伝えています。
(目次に戻る)
資産ポートフォリオの作成方法
それでは、実際にポートフォリオを作成方法について、確認していきましょう。
長期運用・短期運用のどちらかを決定
資産ポートフォリオを作成する際に、最初に決めておかなければならないことは「長期的」に運用するのか。
それとも「短期的」に運用するのかという点です。
長期的が短期的かでポートフォリオに組み込む金融商品が異なってくるためです。
ここでいう長期保有とは、3年、5年〜10年保有する前提です。
下落相場でも追加投資していき、「インカムゲイン」を得ながらも、長期的には「キャピタルゲイン」を狙っていく投資スタイルを指します。
短期投資は基本的には遅くとも1年以内に売却する前提で株式を購入することを指しています。
■ 長期運用の場合:
長期運用を考えている場合、短期的な利益は見込めない代わりに、長期保有によって堅調に利益が得られる金融商品を選択します。
インデックス型の投資信託や東証一部上場の大手企業株や社債、先進諸国が発行する国債などが候補になります。
■ 短期運用の場合:
短期運用の場合は、損失が出るリスクを踏まえた上で、短い期間で値上がりが期待できる金融商品をポートフォリオに組み込みます。
新興市場の株式や発展途上国の国債など、値動きが激しい金融商品が候補となります。
長期運用と短期運用は、それぞれ相対するメリット、デメリットを持っています。
自身の投資スタンスに合ったものを選びましょう。
投資額に応じて、中心とする金融商品を選択する
投資に使える資金が多い場合は、低い利率でも多額の利益を出せることが多いので、国債など堅実な金融商品に投資するのも1つの手です。
極端な例ですが、10億円を投資に回せる場合、10億円で期間10年の日本国債を購入すれば利回り2%で毎年2,000万円の利子を得ることができます。
投資資金がそこまで多くない場合、国債に投資しても多額の利益は得られません。
比較的値動きの大きい株式に投資した方が期待値が高いですよね。
新興市場の株式や上昇中の業界の株式を組み込むと、短期的に利益を出せる可能性な高まります。
資金が少ない場合、FXも1つの候補ですが、こちらは現物の金融商品ではありません。
投資金以上の損失を被る可能性があります。
短期トレードの場合、大手のヘッジファンドが莫大な資金を投入して為替市場に影響を与えています。
投資額が少ない個人投資家は食い物にされてしまいます。
そのため、ポートフォリオを組む上では、FXはお勧めではありません。
為替商品をポートフォリオに組み込みたい場合は、外貨預金の方がリスクが低いので、こちらを組み込んだ方が無難です。
資金が少ない人は本多静六式貯蓄法でまずは雪だるまの芯を構築してから、長期投資を行なった方がよいでしょう。
同じ動きをする(=相関係数)が高い商品同士を組み合わせるのは避ける
ポートフォリオを構築するときに気をつけないのはいけないのは『同じ値動き』をする金融資産を避けることです。
現在の日本株の値動きは前日の米国株の値動きを見れば、下落して始まるか上昇してはじまるか殆どの確率で知ることができます。
値動きの連動具合を数値化したものが相関係数です。
相関係数が1に近ければ全く同じ動きで、0に近づくと相関がなく、-1に近づけば逆相関ということになります。
資産Aと資産Bの相関係数が-1であれば、資産Aが10%上昇すると資産Bは▲10%となります。
なるべくプラスでもマイナスでも相関係数の絶対値が小さい資産を組み合わせてリスクを分散しましょう。
以下は三菱UFJ国際投信が発表している各資産の相関係数ですので参考にしてみてください。
新興国株、先進国株の間の相関係数だけではなく、REITと株式にも相当程度相関があることが読み取れるかと思います。
自分で作るのが難しかったら、ツールの力を借りる
実際に、どの企業の株式が長期運用、短期運用に適しているか、探し出すのが難しい場合はツール利用するのも1つの手です。
ポートフォリオの作成ツールを利用すると、株式を保有した際の自分の資産状況が手軽に確認が可能です。
自分でエクセルで管理するのが実際には内容が頭に入りやすいです。
せっかくの機会なのでそれで資産管理を始めるのをおすすめです。
(目次に戻る)
まとめ
分散投資はハーバード大学基金やイェール大学基金など、米国の名門大学もポートフォリオを作成し、運用に成功しています。
ポートフォリオは、安定して資産形成をするのに必須のものです。
投資の世界では投資商品のリスクの度合いや、今後の予測を測るのが難しく、情勢の悪化などは誰にも予想できないからです。
ここでご紹介した分散投資の方法をぜひ実施しながら、リスクを最小限に減らし長い目で資産を増やしていきましょう。
以上、【分散投資】資産形成において必須とされる「分散投資」のメリットとデメリット。リスクを縮小する投資ポートフォリオの作成方法を解説します..でした!