TOPIX(東証株価指数)は日経平均株価と並んで日本の代表的な株価指数です。
TOPIX連動の投資信託やETFも数多く組成されております。
そこで本日は、TOPIXとはそもそもどのような指数なのかという点を日経平均株価との比較を通じながらお伝えしていきたいと思います。
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いまさら聞けない!TOPIXとは何かわかりやすく解説
株取引を考える際に外せない情報が、TOPIXです。
しかし、「実はTOPIXが何なのかよくわかっていないけれど、いまさら聞けない」という方も意外と多いのではないでしょうか?
ここでは、TOPIXについて、わかりやすく解説していきたいと思います。
TOPIXとは東証株価指数のこと!
TOPIXとは、東証株価指数のことです。
一方、株価指数とは、取引所全体、または、まとまった銘柄の株価を数値化したものです。
つまり、TOPIXとは、東証一部に上場しているすべての銘柄を対象とした株価指数のことです。
TOPIXの数値を見ることで、東証一部に上場している株価の推移を知ることができます。
東証一部は日本経済の中心ですから、TOPIXにより日本経済の動向を知ることができるということになります。
なお、新たに企業が東証一部に上場した場合、翌月の最終営業日などの決まった日時にTOPIXに組み入れられます。
同じように主要な株価指数に、日経平均株価があります。
これは、日本経済新聞が東証一部の上場企業の中から独自に選んだ、225の銘柄の株価指数です。
つまり、TOPIXと日経平均株価は、対象銘柄や銘柄数が全く違うということになります。
日本全体の景気動向を見たいならTOPIXを主要企業の動向を知りたいなら日経平均株価を見るなどと使い分けて投資に役立てましょう。
TOPIX(東証株価)の成り立ちと歴史
東京証券取引所(現在は東京証券取引所と大阪証券取引所が合併して日本取引所グループ)によって1969年7月1日に公表が開始され、
1968年1月4日の時価総額を100として基準値としています。
東京証券取引所は日経平均株価の元となる『東証一部修正平均株価』を1949年から発表していますが、
TOPIXの算出公表にともなって1970年に東証一部修正平均株価を日本経済新聞社に引き継いでいます。
以下はTOPIXの算出当時からの値動きです。
1990年までは化学の時間のPHジャンプのような動きをしていましたがバブル崩壊以降は高値を切り下げながら下落していきましたが、
直近はアベノミクスによって徐々に勢いを取り戻しつつある状況です。
また日経平均株価が○○○円という形で表されるのに対してTOPIXは○○○ポイントという形で表現されます。
TOPIXインデックスシリーズとは?
TOPIXには、7種類に銘柄の分類があり、「TOPIXインデックスシリーズ」と呼ばれています。
これらのインデックスシリーズの中で特に重要なのが、「TOPIX Core30(トピックス コア30)」です。
30の銘柄には、ソニーやトヨタ自動車、NTTドコモ、三菱地所など、一流企業の名前が挙がっています。
TOPIXの中でも最も重要なインデックスシリーズなので、株取引をするなら知っておくとよいでしょう。
TOPIX連動型ETFとは?
ETFとは「上場投資信託」のことで、TOPIXや日経平均株価、NYダウなどと連動させて運用する投資信託の一種です。
ETFの大きな特徴として複数の銘柄への投資ということがあり、分散投資でリスクを分散させることが可能です。
TOPIXの算出方法〜浮動株時価総額加重平均とは?〜
日経平均は平均株価指数であったのに対して、TOPIXは東証一部上場企業の浮動株時価総額加重平均指数です。
この違いの影響は下の項目で詳しく紐解きます。
時価総額加重平均指数とは?
時価総額とは企業をいくらで購入することができるかという指標で以下の算出で表されます。
時価総額 = 株価 × 発行済株式数
現在日本の時価総額のトップは約20兆円のトヨタ自動車です。
TOPIX以外に世界的には有名なS&P500指数も同じ時価総額加重平均指数で、株式市場全体の成長を表すことができるという特徴があります。
時価総額加重平均指数では各企業の時価総額を足し合わせて基準時価総額(具体的算出法で説明)で割り、
基準値100を掛け合わせることによって算出されます。
そのため時価総額が大きい企業の値動きがTOPIXの値動きに大きく影響を及ぼすということになります。
浮動株とは?何故TOPIXは浮動株時価総額加重平均なのか
TOPIXは『浮動株』時価総額加重平均なのですが、『浮動株』については聞きなれないワードだと思います。
安定した株主が保有している簡単に売りに出すことができない株式ではなく、市場で幅広く流通し、毎分毎秒、常に売買が行われている株式を指します。
つまりは、株式市場の参加者(投資家)がキャピタルゲインやインカムゲインの獲得を主な目的とし、
株式市場で日々売買されている株式のことをいいます。
株式には浮動株と、創業者や関係会社による株式持ち合いや金融機関が保有しており簡単に売買ができない『特定株(固定株)』の二種類があります。
世界的に時価総額加重平均指数は浮動株時価総額加重平均指数に移行する動きが1990年代から活発になってきたことを受け、
TOPIXも2006年6月から浮動株時価総額加重平均指数に移行しました。
一つ目はTOPIXに連動するETFや投資信託などが連動を目指すために一斉に購入した時に
、浮動株比率が低い株式は売買できる数量がすくないので需給の関係で価格が吊り上がってしまうのを防ぐためです。
たとえば単純のために10,000株発行している企業で特定株が9,000株の企業があったとすると、浮動株はたったの1000株となってしまいます。
このような状況でTOPIX銘柄全体が大幅に購入され状況となれば、
取引できる銘柄に対して大量の買がはいるので需要超過となって実質以上に株が大きく上昇してしまうことになりかねないためです。
二つ目は株式持ち合いの場合は時価総額が重複カウントされてしまい企業の実力を正確に反映しにくいためです。
例えばある企業Aと企業Bが存在していたとして、A社が100億円のB社の株を保有して、
代わりにB社が100億円分のA社の株を保有し株式持ち合いをしたとします。
すると、100億円払って100億円資本を受取ります。
A社、B社ともに特に事業活動を行なっているわけでもお金を使っているわけでもないのに時価総額が100億円ずつ増やすことが可能となります。
TOPIXの具体的な算出方法
TOPIXの具体的な算出手順については正直難しいことは興味ないな、という方は読み飛ばしていただければと思うのですが、
日本証券取引所グループが発表しているTOPIX算出の手順を元に概要を解説していきたいと思います。
- TOPIX = (算出時指数用時価総額①/基準時価総額③) × 基準値100
- ①算出時指数用時価総額=(各銘柄の指数用株式数② × 株価)を東証1部全銘柄を足し合わせた合計
②の各銘柄の指数用株式数は上場株式数に先ほど説明した浮動株の率を掛け合わせたものです。
算出された算出時指数用時価総額を破る基準時総額ですが、
基準時価総額はTOPIXの指数を100として算出した1968年1月4日時点での基準時価総額です。
つまり分かりやすい例で説明していきますと(わかりやすさの追求のため実際の数値とは異なります)
TOPIXが100として算出された時点での時価総額が10兆円だったとします。
現時点での東証一部の時価総額が200兆円だとすると、以下のようにTOPIXは算出されます。
TOPIX = (200兆円 / 10兆円 ) × 100 = 2,000ポイント
また当然東証一部は新規上場銘柄もありますし、倒産する銘柄等々ありますので基準時価総額は日々修正が加えられています。
〜コラム〜日本と世界の時価総額ランキング
時価総額は日本でトップはトヨタ自動車とお伝えしましたが、トップ10はどうなっているのか?
また世界のTOP10を1ドル110円で換算してお伝えしていきたいと思います。
2019年1月現時点の日本の時価総額TOP10は以下の顔ぶれとなっています。
順位 | 企業名 | 時価総額 |
1位 | トヨタ自動車 | 21,8兆円 |
2位 | NTTドコモ | 9.8兆円 |
3位 | ソフトバンクグループ | 9.3兆円 |
4位 | NTT | 9.1兆円 |
5位 | 三菱UFJ銀 | 7.9兆円 |
6位 | ソニー | 6.9兆円 |
7位 | KDDI | 6.9兆円 |
8位 | 武田 | 6.9兆円 |
9位 | キーエンス | 6.8兆円 |
10位 | ソフトバンク(2位の通信子会社) | 6.4兆円 |
ちなみに世界でみると米国・中国のテクノロジー系企業が圧倒しており、日本で最大のトヨタ自動車は42位に沈んでいます。
順位 | 企業名 | 時価総額 |
1位 | マイクロソフト(米) | 85.8兆円 |
2位 | アップル(米) | 82.5兆円 |
3位 | アマゾン(米) | 80.3兆円 |
4位 | アルファベット(元Google)(米) | 79.2兆円 |
5位 | バークシャー(バフェットの運用会社)(米) | 55.0兆円 |
6位 | テンセント(中国) | 41.8兆円 |
7位 | FACEBOOK (米) | 41.3兆円 |
8位 | アリババ (中国) | 38.7兆円 |
9位 | Johnson & Johnson | 38.0兆円 |
10位 | JPモルガン (米) | 35.6兆円 |
TOPIXと日経平均株価の違い
それでは結局のところ日経平均とTOPIXは何が異なるのかについてまとめていきたいと思います。
■ TOPIXと日経平均株価の違い:
日経平均株価について特化して解説している記事は「日経平均(NIKKEI225)とは?歴史や特徴を徹底解説!算出方法で必要となる『みなし額面』や『除数』もわかりやすく解説する。」となりますのでこちらも参考にしてみてください。
組入銘柄の違い-TOPIXは東証一部全銘柄、日経平均は大型株225銘柄-
TOPIXは東証一部に上場している全ての銘柄を組み入れ銘柄としておりますが、
日経平均は東証一部のなかの日本を代表する大型銘柄225銘柄に限定されています。
TOPIX | 日経平均 | |
対象銘柄 | 東証一部に上場している全ての日本企業約2,200銘柄 | 東証一部に上場している銘柄のうち日本を代表する225銘柄 |
つまり日経平均は大型株のみを組み入れておりますが、TOPIXは大型株だけに止まらず中型株や比較的小型な銘柄も含めて全てを組み入れています。
また組入銘柄数が多いと各個別銘柄の影響が極小化されるのに対して、
日経平均は銘柄数が少ないので各銘柄の個別要因が影響しやすいという特徴の差があります。
算出方法の違い-TOPIXは時価総額加重平均、日経平均は平均株価
TOPIXは浮動株時価総額加重平均指数である時価総額が大きい企業が大きい企業の構成比率が高いのに対して、
日経平均株価はユニクロやファナックなどの時価総額は10位以内に入らないものの株価自体が大きい銘柄が指数に占める割合が大きくなっています。
TOPIX | 日経平均株価 | |
算出方法 | 浮動株時価総額加重平均指数 | 平均株価指数 |
構成上位銘柄、業種別ウェイトの違い
組入銘柄や算出方法の違いが影響してTOPIXと日経平均では構成上位銘柄と業種別ウェイトに大きな違いがあります。
また構成比率は銘柄数が多いということもありTOPIXは1位のトヨタ自動車でも3.38%であるのに対して、
日経平均では1位のファーストリテイリングは8.85%という高いウェイトになっています。
順位 | TOPIX構成上位 | 構成比率 | 日経平均構成上位 | 構成比率 |
1位 | トヨタ自動車 | 3.38% | ファーストリテイリング | 8.85% |
2位 | 三菱UFJ | 1.75% | ソフトバンクグループ | 4.54% |
3位 | ソニー | 1.69% | ファナック | 3.26% |
4位 | NTT | 1.42% | KDDI | 2.90% |
5位 | ソフトバンクグループ | 1.42% | 東京エレクトロン | 2.78% |
6位 | キーエンス | 1.29% | ユニファミリーマート | 2.26% |
7位 | 三井住友 | 1.20% | テルモ | 2.00% |
8位 | ホンダ | 1.16% | 京セラ | 2.17% |
9位 | みずほ | 1.08% | ダイキン工業 | 2.09% |
10位 | KDDI | 1.07% | 信越化学工業 | 1.63% |
日経平均はTOPIXに対してソフトバンクや東京エレクトロンの影響力が高いこともあり、
情報・通信や小売業であるファーストリテイリングの影響で小売業が大きくなる一方、
銀行や卸売業などのウェイトが小さくなっています。
TOPIX | 日経平均株価 | |
電気機器 | 14.71% | 17.70% |
輸送用機器 | 8.31% | 6.80% |
銀行業 | 6.51% | 1.03% |
情報・通信 | 7.50% | 11.80% |
化学 | 7.50% | 8.61% |
機械 | 4.83% | 5.48% |
医薬品 | 4.90% | 7.82% |
食料品 | 4.54% | 5.01% |
小売業 | 5.27% | 10.42% |
卸売業 | 5.10% | 2.21% |
その他 | 30.83% | 23.12% |
TOPIXの方が全体として業種別の偏りが少ないといえます。
TOPIXと日経平均株価の値動きの違い
両者の値動きを横並びで比較するためにTOPIXの算出が始まった1968年初の100に合わせて、
1968年初の日経平均株価の価格を100円に合わせて比較したものが以下となります。
結局のところ同じような値動きとなっていますが、大型銘柄が多い分日経平均は下落のスピードも、
上昇のスピードも若干ではありますが激しいという特徴があります。
まとめ
TOPIX(東証株価)は東証一部全上場銘柄の浮動株時価総額加重平均であり、時価総額が高いトヨタ自動車のような企業の構成比率が高くなります。
TOPIXと日経平均の違いについてわかりやすくまとめたものは以下になります。
TOPIX | 日経平均 | |
対象銘柄 | 東証一部に上場している全ての日本企業約2,200銘柄 | 東証一部に上場している銘柄のうち日本を代表する225銘柄 |
算出方法 | 浮動株時価総額加重平均 | 平均株価 |
構成銘柄上位 | トヨタ自動車、NTTなどの時価総額が高い企業 | ファーストリテイリング、ファナックなどの株価が大きい銘柄 |
構成業種 | 各業種バランスが良い | テクノロジーや電気機器などに偏りがある |
値動き | ほぼ同様の値動きであるが、若干日経平均の方が値動きが大きくなりがちな特徴がある。 |
以上、TOPIX(東証株価指数)とは?日経平均株価とは何が異なるかを比較とその概要をわかりやすく解説します。…でした。