将来に備えて、投資信託を検討してみたときに「ゼウス投信」という商品を耳にしたことがある人は少なくないと思います。
ゼウス投信の正規名称は「新光US-REITオープン(ゼウス)」となっています。
「リートとはそもそも何か」については以前のコンテンツを参考にしてください。
今回はゼウス投信とはどんな商品なのか?
購入するとどんなメリットがあり、今後の見込みはどうなのか?
この2点について、解説していきたいと思います。
目次
Contents
ゼウス投信とは
「ゼウス」というのは、アメリカの不動産投資信託証券に投資をする投資信託のことです。
「ファンズ・オブ・ファンズ」という仕組みとなります。
そもそも不動産投資信託とは、投資家からお金を集めていろいろな不動産を管理・運営。
そして、その家賃収入や売買益などで収益をあげ、その一定額を投資家に分配金として還元する。
このような金融商品です。
「米国のUSリート」に分散投資を行い、市場平均よりも高い水準の配当収益を確保しつつも、キャピタルゲイン獲得を目指して運用する商品となっています。
つまりは、投資家としてはアメリカの景気動向、日本との為替レートの推移だったりも収益に影響する指標となります。
「投資信託」というものは、プロの人間に運用を任せることが出来る代わりに、一定のコストを支払う必要があります。
つまり、運用の実績が自身の支払ったコストを超えることが大前提となります。
ゼウスでの手数料は以下の3階建となっています。
これらの手数料も加味したうえで購入を検討すべきであると言えます。
ゼウスの投資方針から、USリートの市場平均を超える運用を目指していくことからアクティブ型の投資信託といえます。
長年の歴史上、インデックス型投信はアクティブ型投信を上回る成績を出しています。
その点は以下のコンテンツで論じていますので参考にしてみてください。
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ゼウス投信の現状
2004年からはじまったゼウス投信は、少額から始められる手軽さと、分配金が毎月高い割合で支給される配当利回りの高さから人気を博し、これまで10年以上も続く人気商品となりました。
しかし、以前は75円と高かった分配金の設定金額が、2017年には50円に下げられました。
さらに2018年4月からはそのまた半分の25円に引き下げられてしまいました。
これは、毎月の分配金を支給できるほどの収益が上がらなくなってしまい、商品の存続のために設定金額を引き下げざるを得なかったということです。
現状としてはあまり良い兆しである商品だとは言えないでしょう。
また基準価額を見てみても、2019年2月1日現在で2,464円となっており、これは非常に低い価格であると言えます。
ゼウス投信の運用パフォーマンスの悪化も要因のひとつであるかもしれません。
しかし主因としてはこの商品が「タコ足分配型」の商品であることが影響しているでしょう。
「タコ足分配型商品」というのは、分配金の支給の仕方に特徴があります。
運用の結果、獲得した利益から一定割合を分配金として支給するのが、本来の投資商品のあるべき形であると思います。
しかしタコ足分配型では、たとえ運用の収益がない場合であっても純資産を食い潰す形で決められた分配金を支給し続けます。
よって分配金以上の収益があげられない場合は、純資産を減らし続けることになります。
つまり、基準価額もどんどん下がっていってしまうのです。
■ タコ足分配型をもう少し詳しく:
タコ足配当とは、企業が原資となる十分な利益がないにもかかわらず、過分な配当金を出すことをいいます。
見た目には配当金が高いため魅力的に感じられますが、実際は資産を売却したり、積み立て金を取り崩したりして配当金に回しているだけで、業績や財務状況に難点がある可能性があります。
タコが自分の足を食べるのに似ていることから、このように表現されます。
(引用:SMBC日興證券「タコ足配当」)
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ゼウス投信の今後の見通しを予想する
このように現状、低調気味のゼウスですが、今後もこのままの様子で下がり続ける方向へ向かうのではないかと予想されます。
理由について2点お伝えしていきたいと思います。
毎月分配金で下落しつづける基準価格
まず、先述した通りこの商品がタコ足分配型で、毎月純資産を食い潰してしまうことが挙げられます。
こういったタコ足分配型商品を金融庁が批判しました。
また、購入時手数料や信託報酬が高いことも相まって、既存客の解約が進んでいるのです。
運用内容が同じ投資信託において、年1~2回の決算分配型のものがあるにもかかわ らず、経済合理性に欠ける毎月分配型による再投資を行わせている事例(毎月分配型投資信託は、分配頻度の少ない投資信託よりも、信託報酬が高くなる場合があるほか、 毎月分配型投資信託を再投資した場合、分配金にかかる税金の分、複利効果が悪くなる。)
(引用:金融庁「金融レポート」)
この流れが止まる兆しが、今のところ見当たらないため、低調が続くという予想に繋がりました。
〜コラム〜配当金再投資後の成績(リターン)の罠
通常分配金をだすと20.315%の税金が発生します。
つまり1万円の分配金をもらっても結局手元に入るのは7,968円となるのです。
さらに再投資を行うと再び高い購入手数料が徴収されることとなります。
一方、上記の図で表示されている税引前分配金再投資前提でのチャートは税金も購入手数料も発生しない前提でのチャートです。
上記の通りの成績にはならないことは事前に理解しておきましょう。
米国リート市場の天井懸念
以下はゼウス投信が投資している米国REIT市場の価格推移です。
リーマンショック以降の10年間は米国REIT市場が堅調に推移してきたことが分かります。
ゼウス投信がプラスの成績を残せたのは市況要因が最大かつ唯一の要因になります。
しかし、米国REITの栄華が継続する保証はどこにもありません。
「米国リート市場においても」、価格の上下動が大きく、価格下落は8年-10年ごとに起きていることがわかります。
現在すでに10年目に突入していることからも、リスク期間に該当する領域ともいえます。
最終的に、手数料も高い点からも市場平均より高いパフォーマンスを出していれば問題はありません。
しかし、成績自体も芳しくありません。
米国リートに投資をするべきか?と言われると、現状は正直おすすめできません。
上記のような商品を、金融機関の勧められるがままに投信を購入してしまわないよう、気をつけましょう。
高い手数料だけ支払ってカモにされてしまいます。
年金問題で老後の雲行きも怪しい今、全国民がしっかりとした知識を持って判断基準を養う必要があります。
適切な、魅力的な商品に投資をしていく選球眼を身につけることが、我々には求められています。
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まとめ
以前は人気を博した投資信託ゼウスも、今は上記のような様々な理由により、先行きが怪しいと思われます。
これから投資信託に挑戦しようと考えてらっしゃる方は、それも踏まえた上でしっかりと判断する必要があります。
また、現在すでにゼウス投信を保有している方は、どこを売り時として設定し、タイミングをはかるべきか慎重に考える必要があります。
気づかないうちに値下がりをつづけ、思った以上に損してしまったなんてことがないように、注意しましょう。
以上、【新光US-REITオープン】愛称:「ゼウス」投信の概要と今後の見通しと売り時をわかりやすく解説。…の話題でした!
長期投資に適した投信については以下のコンテンツ内で選定しておりますので、参考にしてみて下さい。