株式投資において「好材料」や「悪材料」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか?
好材料や悪材料は、株価の流れを変える「ゲームチェンジャー」となり得る重要な情報になります。
このコンテンツでは、株式投資における好材料や悪材料というものがどのようなものがあるのか?
それぞれの好悪材料にどう向き合えばよいのか?という点をわかりやすくお伝えしていきたいと思います。
目次
Contents
【好材料例①】上方修正
四半期決算時や適時に企業は「上方修正」を出す時があります。
売上高や各種利益といった「損益計算書項目(PL)」が従来発表より上振れる時に上方修正が発表されます。
上方修正と聞けば、問答無用で株価は上昇しそうですが、一筋縄ではありません。
通常は上方修正で株価が上昇
当然、業績の上方修正が発表されれば通常は「EPS」と株価への期待である「PER」の上昇を通じて株価は上昇します。
十分に上方修正が織り込まれていると上昇しないばかりか「Sell the Fact」の可能性も
株価は期待で先に動きます。
株式市場の投資家が「どうやら業績が好調らしい」との判断から既に株価が上昇していた場合、上方修正が「織り込み済み」となります。
株式市場に限らず、既に期待で上昇しているものは、期待が実現しても上昇はしません。
場合によっては「期待で買って事実で売る」(=Sell the Fact)となって減少する可能性もあります。
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【好材料例②】自社株買い
「自社株買い」は株価を上昇させるニュースです。
「自社株買い」は市場に出回っている発行済み株式数が減少します。
つまり、「1株あたりの利益」(=EPS)は上昇します。
EPS↑ = 純利益 / 発行済株式数↓
自社株買では分母の発行済株式数が減少するため、純利益が上昇します。
株価はEPSとPERの掛け合わせとなります。
【株価=EPS×PER】
つまり、素直に株価の上昇に寄する好材料となります。
直近では「ソフトバンクグループ(SBG)」が2020年3月23日に、2兆円もの自社株買いを発表しました。
ソフトバンクグループ(SBG)は23日、自己株式取得と負債削減に向けて4.5兆円の資産を売却または資金化すると発表した。
中国・アリババ集団や国内通信子会社ソフトバンクなど投資先の上場株が主な対象になるとみられる。
調達した資金は最大2兆円の自社株買いのほか、負債圧縮に充てることで財務を強化する。
SBGの巨額の自社株買いを受けて、同社の株価はストップ高となりました。
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【好材料例③】配当金の増額発表(増配)
企業が予定していた「配当金」の金額を引き上げることを増配と言います。
配当利回りが上昇するので「インカムゲイン」の獲得に動く投資家からの「買い」が入りやすくなります。
例えば、株価が1000円の企業が従来30円の配当金拠出を表明していました。
これは配当利回り3%になります。(30円÷1000円)
この企業が、50円の配当金に増額したことを発表。
配当利回りは5%となります。
配当金が50円になると、株価が減少したときに配当利回りが上昇します。
利回りが改善(事業環境改善とはまた別)することにより、投資家からの買いが入ります。
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【好材料例④】大量保有報告書の発表
機関投資家が全株式の5%以上保有する場合は、「大量保有報告書」を提出する必要があります。
特に大規模な資金力を有する「機関投資家」が大量保有報告を出す場合は、市場では以下の観測が生まれます。
- さらに大型機関投資家が買い進める可能性があるのでは?
- 大量に購入するポジティブな理由があるのではないか?
大量保有報告書が提出された場合は、報告した主体によっては株価に大きくプラスに働く場合がありますので注視しましょう。
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【好材料例or悪材料例?】買収発表 (M&A)
「企業買収(M&A)」が発表されることで株価は大きな変動を見せます。
買収される側は上昇する可能性が高い
100%の子会社にする場合、被買収企業は上場廃止となります。
しかし、100%買収ではない場合は上場された状態が続きます。
買収される側の企業は、「買収する企業からの評価が高い」ということを意味します。
また、買収側企業が買収される側の企業の株式を「TOB(株式公開買付け)」で購入しない場合。
純粋に株式市場で、買収企業が株を大量に購入することになります。
買収される側の企業は株を大量に買われることになるため、当然、株価は上昇します。
その上、買収する企業との事業シナジー(良い相互作用)が期待される場合は、個人投資家も売買に大いに参戦します。
さらに、株価の上昇に弾みがつきます。
TOBとは株式公開買付けのことで、不特定かつ多数の者に対して買付価格や期間などの公告等を通じて、その保有する株券等を売ってくれるように勧誘し、取引所外でそれらの株券等を買い付けることをいいます。
企業を買収する場合や合併・子会社化など企業再編の際、またはMBO(経営陣による買収)で非上場化する場合などに利用されることが多く、投資者保護の観点に立った所要の要件の下に株式を買付けすることになっています。
(引用:カブドットコム証券)
買収する側の株価が上昇する場合
買収する側の企業は以下の場合、株価が上昇します。
- シナジー効果が見込める
- 日本電産のように買収で実績を上げてきた企業による買収
買収(M&A)によって買収する企業の「本業の補強」。
また「新技術の獲得」などにより、将来的に利益が拡大することが見込まれた場合。
市場では企業価値がポジティブに捉えられます。
しかし、あまりに高い金額での買収となってしまうと上昇するとは限りません。
また例えば、日本電産のように買収を成功させ続けている企業の場合は、買収自体がポジティブに評価されます。
買収する側の株価が下落する場合
一方、買収によって株価が下落するのは以下のような時です。
- シナジー効果があまり見込めないと投資家に考えられている
- 巨額の買収すぎて資金繰りに疑念を持たれる
- 高い金額で買収し多額の「のれん」が乗っている場合
買収した結果、シナジー効果がでないにも関わらず、高値で買収してしまった場合はネガティブに捉えられます。
また、買収企業の財務的な体力に比して無理した買収金額の場合を株価が下落する場合があります。
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【悪材料例①】下方修正
上方修正とは反対に、業績の「下方修正」は悪材料となります。
上方修正同様に、下方修正だからといって株価が絶対に下落するとも限りません。
下方修正を市場が織り込んで、十分に株価が下落している場合。
反対に悪材料出尽くしで、株価が上昇する場合もあります。
どれだけ織り込まれているか?
ということを考えた上で、投資判断を下す必要があるのです。
以下のコンテンツで、下方修正で株価が上昇する場合と下落する場合について事例を交えて解説しています。
参考にしてみてください。
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【悪材料例②】不祥事の発生
企業で「不祥事」が発生し、場合によっては国家的な機関から罰則金が課される場合もあります。
不祥事が発生すると当然、企業のブランドイメージが毀損されます。
イメージが悪くなると、消費者が離れていく可能性が高まります。
これは、長期的な業績に重くのしかかってきます。
例えば2016年に発覚した「三菱自動車」の燃費不正問題があります。
三菱自動車は燃費値測定試験を長年不正に行なっていたことを認めて大きな話題を呼びました。
結果として株価は大幅に下落しました。
三菱自動車は過去にも大規模なリコール問題などもあり度重なる不正で信用も毀損したことが尾をひきました。
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【悪材料例③】配当金の減額(減配)
増配が好材料であるのとは反対に配当金の「減配」は基本的に、悪材料として捉えられます。
配当金が減額されると、今まで配当金を目当てに投資していた投資家が資金を引き上げるからです。
25年以上連続で増配している「配当貴族」や50年以上増配している「配当王銘柄」であれば、企業のプライドにかけて配当金の減額を阻止するでしょう。
「減配する銘柄への投資は避けたい」という方は、配当貴族や配当王への投資も考えてみるとよいでしょう。
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まとめ
株価にプラスに働く「好材料」や悪く働く「悪材料」で株価は大きく動きます。
好材料であっても株価が下がる場合や、反対に悪材料であっても株価が上がる場合もあります。
「現在事業環境はどのような状況なのか?」
「悪材料・好材料は織り込み済みなのか?」
材料だけで取引をするのではなく、材料が出た銘柄のリアルな状況を意識しながら、投資判断を下していきましょう。
以上、株式投資における「好材料」と「悪材料」とは?期待される株価の動きを事例も含めてわかりやすく解説!…でした。