【VT】全世界株式に投資できるバンガード・トータル・ワールド・ストックETFを紐解く!VTIとどちらが魅力的か比較考察する。

【VT】全世界株式に投資できるバンガード・トータル・ワールド・ストックETFを紐解く!VTIとどちらが魅力的か比較考察する。

今までETFとして米国株に投資をするVTIやVOO、VIG等を紹介してきました。

しかし、株式市場は米国だけではありません。

本日は全世界の株式に一括で投資をすることができるETFであるVTについて取り上げたいと思います。

 

信太郎
世界が成長するのは間違いないことじゃからの!
淀姫
世界の株で何がよいのか見極めるのは難しいですからね。。一括で投資できるのは嬉しい限りですね!

 

本日は全世界の株式に投資ができるVTについて以下の点をお伝えしていきたいと思います。

 

【今回お伝えすること】

  • VTはどんなETFなのか?国別構成はどうなっているのか?
  • VTの過去成績とは?
  • VTとVTIはどちらが魅力的なのか?

 

「VT」(=バンガード・トータル・ワールド・ストックETF)とは?

VTはご存知の通り全世界への株式に投資できるETFですがどのような内容なのか詳しく見ていきましょう。

連動するインデックスはFTSEグローバル・オールキャップ・インデックス

ETFは基本的には連動目標となるインデックスに連動することを目標として組成されています。

 

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2019年2月16日

 

例えばS&P500指数に連動するETFであればバンガード社のVOOが有名ですね。

 

VTが連動を目指すインデックスは「FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス」になります。

同指数の説明原文は以下となります。

The FTSE Global All Cap Index is a market-capitalisation weighted index representing the performance of the large, mid and small cap stocks globally. The index aggregate of around 8,000 stocks cover Developed and Emerging Markets and is suitable as the basis for investment products, such as funds, derivatives and exchange-tradedfunds.

参照:FT

 

信太郎
重要な赤字部分を日本語で噛み砕くぞ!

 

market-capitalisation weighted index

時価総額加重平均指数という意味で時価総額が高い銘柄ほど構成比率が高くなる指数のことです。

TOPIXS&P500指数が時価総額加重平均指数の代表例ですね。

 

large, mid and small cap stocks globally

全世界の大型株だけでなく中型株や小型株についても組み入れる指数としています。

例えばS&P500指数は米国の大型株のみで構成されている指数となっていますが、大型株に限らず組み入れているのです。

 

8,000 stocks cover Developed and Emerging Markets

先進国と新興国の8000銘柄で構成されている指数となっています。

米国株全体に投資できるVTIが4000銘柄でしたので、VTIの倍の銘柄数で構成されていることになります。

 

国別の比率:米国が60%以上の比率を占めて圧倒的

 

信太郎
全世界の株式なのじゃが、米国株式市場が約60%を占めておる!(2020年5末時点)
淀姫
半分以上米国なんですね。日本はそれでもまだ2位なのじゃな。

 

VTの国別構成比率

参照:Vanguard

 

VTの国別構成比率
United States 57.60%
Japan 7.70%
United Kingdom 4.20%
China 4.10%
Switzerland 2.70%
Canada 2.50%
France 2.50%
Germany 2.40%
Australia 2.00%
Taiwan 1.60%
Korea 1.40%
Netherlands 1.10%
India 1.00%
Hong Kong 0.90%
Sweden 0.90%
Italy 0.70%
Spain 0.70%
Brazil 0.60%
Denmark 0.60%
Finland 0.40%
Russia 0.40%
South Africa 0.40%
Belgium 0.30%
Malaysia 0.30%
Saudi Arabia 0.30%
Singapore 0.30%
Thailand 0.30%
Indonesia 0.20%
Israel 0.20%
Mexico 0.20%
Norway 0.20%
Other 0.20%
Austria 0.10%
Chile 0.10%
Ireland 0.10%
Kuwait 0.10%
New Zealand 0.10%
Philippines 0.10%
Poland 0.10%
Portugal 0.10%
Qatar 0.10%
Turkey 0.10%
United Arab Emirates0.10%

 

先進国と新興国の比率

以下は地域別の構成比率です。

信太郎
韓国・台湾・香港を先進国に含める場合、先進国比率は90.9%となっておるな。含めない場合でも87%と約90%となっておる。
淀姫
いくらBRICSが大きくなっても株式市場に占める比率は小さいんですね。殆ど先進国のインデックスということになりますね。

 

VTの地域別比率
地域別比率
北米60.1%
日本7.70%
豪州2.10%
欧州17.10%
韓国・台湾・香港3.90%
BRICS6.50%
ASEAN1.20%
その他新興国1.40%

 

VTの今までのリターンとは?

肝心なのはリターンだと思います。当項目ではVTの過去リターンと配当金についてみていきたいと思います。

VTの年率リターンは9%程度

以下がVT単体でのリターンです。

 

信太郎
十分な数値じゃが、あくまで過去10年のリターンじゃからな。景気循環によって10年単位では大きく異なる結果になることを前もって心得ておいた方がよいぞ!長期投資するなら最低でも20年以上を見ておく必要がある!(→参照)

 

From 2009/01年率リターンリスク(=標準偏差)年間最大リターン年間最大損失
VT9.58%16.1%32.65%▲9.76%

 

VTのトータルリターン

 

信太郎
リスクとは価格がぶれる可能性の高さのことを意味しておる!分からぬ衆は以下で復習しておくがよいぞ!

 

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2019年4月26日

 

あくまで上記の図は配当金を税金を差し引かれる前に再投資した場合のリターンです。

米国株の配当金については原則、現地で10%源泉徴収されたあとに日本で20.315%課税される二重課税の影響を被ります。

そのため、配当利回りも重要になってくるのです。

 

VTの分配金推移

以下がVTの四半期毎の配当金の推移です。

VTの分配金の推移

わかりにくいとおもいますので、年間ベースでの配当金の推移を表にしたものが以下となります。

年間分配金
2011年$0.92
2012年$1.02
2013年$1.22
2014年$1.46
2015年$1.41
2016年$1.46
2017年$1.56
2018年$1.66
2019年$1.88

 

淀姫
着実に分配金も増えておりますね!
信太郎
ただ、株価も上昇しておるからの!配当利回り自体は2%未満という水準じゃ。VTIとほぼどう水準じゃな。

 

ただ、VTの年間配当利回りは2%未満ではあるので配当金拠出による税的な影響は0.6%未満となります。

年率リターンに0.6%程度の下押し圧力がかかるものの9%近い高いリターンを叩き出していますね。

 

VTとVTIとの比較

では米国全体に投資できることで人気のVTIとの比較をおこなっていきたいと思います。

 

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2020年5月24日

 

VTとVTIの過去リターンの比較

まずは過去のリターンの比較となっています。

赤:VTI
青:VT

From 2009/01年率リターンリスク(=標準偏差)年間最大リターン年間最大損失
VT9.58%16.10%32.65%▲9.76%
VTI13.60%15.17%33.45%▲5.62%

 

VTIとVTのリターンの比較

 

淀姫
圧倒的にVTIの成績が良くなっていますね!
信太郎
うむ。まあ特に米国株が堅調じゃったからの。今後どうなるかは神のみぞしるが、わしは後でお伝えするがVTIの方が魅力的じゃと思っておる。

 

PER・PBR・ROE・EPS成長率等の指標関連の比較

以下は各種ファンダメンタル指標関連の比較です。

2020年5末時点VTVTI
PER18.221.9
PBR2.03.0
ROE15.20%17.40%
5年EPS成長率12.20%14.0%
構成銘柄数84013493

 

信太郎
VTIの方が割高にはなっておるが、EPS成長率やROEが高いので一概にVTの方が割安度から魅力が高いと言い切ることもできんよの。

 

VTとVTIのセクター別の比較

以下はVTとVTIのセクター別の比較です。

ご覧いただくとわかる通り、VTIのテクノロジー比率が明らかにVTを上回っていることがわかりますね。

 

淀姫
巨大IT企業群であるGAFAMの影響が大きいじゃろうな!

 

VTとVTIのセクター比較
VTVTI
テクノロジー19.40%25.20%
金融18.40%16.60%
資本財13.00%12.00%
ヘルスケア12.60%14.60%
消費サービス12.30%14%
消費財10.70%7.90%
素材4.20%2.00%
石油ガス3.70%2.70%
公益3.30%3.20%
電気通信2.50%1.80%

 

 

VTよりもVTIが魅力的と考える理由

 

信太郎
上記では定量的かつ定性的にVTIとVTを比較してきたが、わしはVTIの方が魅力的じゃと思うておる!その理由についてお伝えしていくぞ!

 

米国株は過去200年の実績がある

以下はジェレミーシーゲル教授の「株式投資」の中でしめされた米国株の長期リターンです。

米国株の超長期リターン

 

信太郎
米国株は超長期で実質リターンは年率6.5%-7.0%の間に収斂しておるの!インフレを加味しない名目リターンじゃと8%-9%といいうことになるの。

 

米国の株式のリターンは一時的なブレはあるものの、数十年という単位で見るとリターンは安定しているのです。

シーゲル教授も指摘していますが、産業構造の変化や戦争を幾度も乗り越えてリターンの平均回帰性は素晴らしい実績です。

最も歴史のある株式市場で実績を出し続けている米国株は信頼に値すると考えています。

 

覇権国としてプラットフォームを握っている

確かに経済の成長率は新興国の方が高いかもしれませんが、米国は先進国で最も今後も成長が見込まれる国です。

さらに、現在は経済のグローバル化によって世界経済の連関性が高まっています。

 

世界経済が成長すれば覇権国でありプラットフォームを有している米国企業の収益は米国経済の成長以上に進展します。

 

信太郎
とくにGAFAMを中心としたテクノロジー企業は世界の基盤になりつつあるからの!

 

アップルが提供しているiPhoneは既に世界中で使用されています。

アマゾンのサービスは日本にも浸透し、今後世界にも順次拡大していきます。

アマゾンやマイクロソフト、グーグルが提供するクラウドサービスは今後市場規模拡大とともに世界のクラウド市場を席巻します。

FACEBOOKは世界最大のSNSとして広がり、SNS事業を起点としていくらでも収益を拡大させることができます。

 

GAFAMだけでなく、NetflixやZoomなど世界中で使用されるサービスを提供する企業が続々と現れています。

 

信太郎
古くはIBM、GE、GMから常に次代を切り開くサービスを提供する製品やサービスを生み出し続けておるからの!イノベーションの文化が今後もなくなることはないと考えておる!

 

日本株と欧州株に期待が持てない

もう一度、VTの地域別のポートフォリオを見てみましょう。

VTの地域別比率

欧州株と日本株だけで24.8%と約4分の1を占めています。

以下はVTI(米国株)VGK(欧州株)IJIAX(日本株)の推移です。

 

淀姫
日本や欧州は圧倒的に米国の後塵を拝しておりますね。。

 

米国株と欧州株と日本株の比較

 

まず、米国は人口増加国ですが日本と欧州は人口減少国家ですので内需が成長しません。

つまり経済成長率がそもそも米国に対して低いのです。結果として米国の成長に対して日本と欧州主要国の成長率は劣後しています。

 

日米欧の成長率推移

参照:IMF Databeaseより管理人作成

 

更にイノベーションを起こす基盤が少なく、過去20年でも米国のGAFAMのような企業は芽吹きませんでした。

筆者も日本と欧州で働いた経験がありますが、熱気というものも感じませんし飛躍する気配がありません。

先進国においては成長する覇権国である米国にベットした方が良いと考えているためです。

 

信太郎
また、欧州は通貨統合をしてしまっていることによる非効率も発生しておる。

 

欧州は統一の中央銀行であるECBが通貨ユーロの発行権を保有していますが、各国政府に通貨発行権はありません。

そのため、経済が沈み込んでいる時に経済を不要させるために財政政策を自由に行うことができないのです。

また、過度なユーロ建の借金を行うとギリシャのように返済不能となりデフォルトとなってしまいます。

 

信太郎
一方、米国や日本は通貨発行権を国が保有しているのでデフォルトの心配もないし、独自の財政支出を行うことができるんじゃ!

 

そのため、欧州はPIIGSを始めた諸国の財政問題が度々燻りつづけます。

通貨統合したことによる弊害に今後苛むことになると考えており、欧州株へ投資する気には到底なれないのです。

期待の新興国も中国が占める比率が高い

VTに投資する方の中には、新興国の成長も取り込みたいと考えている方も多いと思います。

しかし、先ほどお伝えしたように韓国・台湾・香港を先進国に含める場合、新興国比率は9.1%、含めない場合は13%となります。

 

信太郎
そもそも少ない上で新興国の中でも大きなポーションを占めるのは以下のような国なんじゃ。以下7カ国だけで8.8%を占めておる。

 

VTの国別構成比率
China 4.10%
Korea 1.40%
India 1.00%
Hong Kong 0.90%
Brazil 0.60%
Russia 0.40%
South Africa 0.40%

 

上記の国の中でインドは今後成長が見込まれる超大国となり得る国ですが、その他の国は残念ながら魅力的な国ではありません。

 

淀姫
2019年でみると中国とインド以外2%未満の成長率になっておるの。。とても新興国とは思えぬ成長率じゃ。米国より低いではないか。。
信太郎
うむ。2020年はコロナでマイナス圏に沈む、反動が2021年で高い成長率となるように見えるが、あくまで反動増じゃ。更に中国の成長率も流石に怪しいからの。。期待できるのはインドくらいじゃ。

 

新興国各国の成長率

参照:IMF Database

 

中国は人口ボーナスも終了し、過剰債務、過剰生産性に苦しんでおりかつての急激な成長は見込みにくくなってきています。

ブラジルや南アフリカは政治的な混迷、ロシアは人口増加終了にくらべ原油に依存した不安定な経済構造となっています。

新興国株に賭けたいのであれば、インドなどの有望な新興国の個別株や連動率は低いですがETF購入を考えた方がよいでしょう。

 

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2019年6月27日

 

まとめ

 

信太郎
今回のまとめは以下じゃ!

 

■:VTとは?

  • 全世界の大型株〜小型株の約8000銘柄を時価総額順に組み入れている指数に連動を目指すETF
  • 全体の約60%が米国と圧倒的
  • 先進国比率は約90%で新興国比率は僅か10%
  • 2009年1月からのリターンは年率約9%で配当利回りは約2%

 

■:VTとVTIの比較

  • 過去リターンはVTIが圧倒的にアウトパフォーム
  • VTIの方が割高だがEPS成長率やROEも高い
  • テクノロジー比率がVTIの方が明確に高い

 

■:筆者がVTIの方が魅力と考える理由

  • 米国株の長期リターンは実質で7%近辺を200年間維持(名目だと9%-10%)
  • 経済のグローバル化でプラットフォームを提供している米国企業の成長力は今後も高いと考えている
  • 米国以外の25%を占める日本株や欧州株に対して高い期待も持てない。
  • 新興国比率はそもそも少なく大半は潜在成長力が低い銘柄で構成されている。

 

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2019年7月2日

[お金の学校特集]

 

昨今の2000万円問題もあり、投資による自助努力で、老後資産を築き自身の身を守る必要が出てきてました。

 

しかし、焦って投資を進めてしまうのはおすすめしません。 必ず失敗します。

 

知識をしっかり仕入れた上で投資は実践していく必要があります。

 

 

その知識を学ぶにあたり、近年「お金の学校」への注目が高まっています。

 

長年、資産運用を学んできた編集部が、お金を専門としたスクールについての特集コンテンツを作成していますので、ぜひ参考にしてみてください。

 

お金の学校特集

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マネリテ!編集部は東京大学経済学部卒の証券アナリストを中心とした金融知識が豊富なメンバーが株式投資初心者に向けて有益な情報を提供しています。株式投資を行う意義から基本用語、おすすめのネット証券・投資先情報をお伝えするメディアです。日本人の金融リテラシーの向上と明るい未来を目指しています。