株式投資を通じて「一攫千金」を目指す。
このように考える個人投資家は少なくありません。
このコンテンツに辿り着いた読者のあなたも、そのように考えているのではないでしょうか?
一攫千金を目指す投資家が選ぶ手段として、「小型株」への集中投資が多い傾向にあります。
しかし、安易に小型株に集中投資をしてしまっては、大事な資金があっという間に溶けてしまいます。
事前に小型株投資のリスクについて把握し、着実に成果を積み上げていきましょう。
このコンテンツでは、小型株に投資する上で把握すべきリスクとデメリットを、過去の小型銘柄の株価暴落事例と併せて解説していきます。
目次
Contents
小型株とはなにか
東証一部に上場している銘柄は、大型株・中型株・小型株の3つに分類されます。
「小型株」とは、大型株・中型株に含まれない全銘柄を指します。
- 大型株:時価総額と流動性が高い、上位100銘柄(TOPIX100の算出対象)
- 中型株:大型株についで時価総額と流動性が高い、上位400銘柄(TOPIX Mid400の算出対象)
TOPIX(東証株価指数)を補完する「規模別株価指数」の算出において、東京証券取引所市場第一部銘柄(内国普通株式)の中から、時価総額と流動性が高い、上位100銘柄(TOPIX100の算出対象)を「大型株」、大型株についで時価総額と流動性が高い、上位400銘柄(TOPIX Mid400の算出対象)を「中型株」、大型株・中型株に含まれない全銘柄(TOPIX Smallの算出対象)を「小型株」と呼び、これらの分類に基づいて株価指数を算出しています。
(引用:野村證券「証券用語解説集」)
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小型株投資のリスクとは
それでは小型株投資のリスクをみていきましょう。
株価の変動が激しい(ボラティリティが大きい)
最大のリスクはやはり、株価のボラティリティの高さです。
1日の取引時間の中で、東証マザーズの銘柄などは数十パーセントの株価上昇、下落を起こす銘柄も存在します(東証一部は〜20%程度)。
このようなボラティリティの高い小型株に集中投資して、大幅な株価暴悪を起こしてしまったら大変です。
資金がなくなってしまい、生活にも支障が出てきた・・・。
流動性が低い(デメリットともいえる)
小型株の場合は、株式発行数、売買取引(出来高)が少なく、売りたい時、買いたい時に即座に取引ができない。
このようなことが起こり得ます。これを「流動性リスク」と言います。
小型株銘柄には、空売りなど「信用取引(信用銘柄・貸借銘柄)」ができない小型株も存在し、これも流動性を低くする要因となっています。
これらのリスクを加味した上で、ハイリターンが出せるのがまた、小型株の特徴とも言えるのです。
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〜コラム〜小型株投資で成り上がった投資家・遠藤洋氏(著書:「10万円から始める! 小型株集中投資で1億円」)の銘柄選定法
小型株への集中投資で富を築いたとして、有名なのが遠藤洋氏です。
「10万円から始める! 小型株集中投資で1億円」という書籍も出しています。
遠藤氏の銘柄選定手法として、メディアでは以下のように答えています。
「まず大切なのは、皆が欲しいと思う商品を提供しているかどうか。最近だと、音声翻訳機のポケトーク。これは発売開始のニュースを見て株を購入しました。近年のインバウンド消費の増加に伴い、必ず需要があると判断したからです。肝となるのは、どれだけ早く目をつけられるか。有名になってからでは高値摑みのリスクが高まります。その後の決算を見比べて、自分の感覚が世間と一致していたか、の答え合わせに使うくらいのスピード感が重要です」
「もうひとつ大切なのは、株価だけでなく時価総額を見て市場規模をしっかり把握しておくこと。例えば、ほぼ同じ領域を扱っている時価総額1兆円の大企業Aと時価総額100億円の無名企業Bがあったとします。仮にBが10%でもAのシェアを奪うことができれば1000億円もの市場を手にすることになり、単純計算でBの時価総額は10倍となります。
『無名企業の小型株は不安定で危ない』『有名企業の大型株は安定して儲かる』というのは間違った認識で、むしろ無名企業はちょっとしたシェア拡大で爆発的に儲けられる潜在能力があると考えたほうが合理的。僕は、基本的には時価総額が300億円以下の企業を狙って投資を行っています」
(引用:エキサイトニュース「分散できるほど資金に余裕がない人必見。「小型株集中投資」で億超えを果たした男の手法に迫る」)
簡単に要約すると、大企業から市場規模を把握し、無名企業がシェアを奪えるかに着目。
また、自身の生活などから、伸びるであろう企業を予測するというものです。
同氏の2020年2月時点のテンバガー候補銘柄(グッドライフカンパニー、エードットなど)も掲載されていました。
しかし、こちらは新型コロナウィルス感染拡大騒動もあり、世の中の人々の「価値観」そのものが変わってしまったので、参考なりません。
2020年、働き方はリモートワークが進みました。
また、多くの人が「おうち時間」とSNSでタグ付けし、在宅の様子を頻繁に投稿しています。
このような、「Stay Home」を充実させていく価値観が人々の中に生まれました。
そして、企業はそんな新たなる需要のシフトに日々悩んでいます。
この「変化」についていける、または「予測できていた」企業の株価が軒並み上昇し、そして成長を続けていくでしょう。
例えば、米国株ではアマゾンやマイクロソフト、グーグル、ネットフリックスなど、株価上昇がとどまるところを知りません。
今後はどのような銘柄に集中投資していけば良いのでしょうか?
これは勉強しなければ、良い銘柄選定ができる境地には辿り着きません。
学習方法としては、具体的な銘柄選定の方法や、株価が上昇する企業の特徴、本質などを教える株式投資スクール主催のセミナーなども存在します。
積極的に外に情報を取りに行きましょう。(在宅オンラインセミナーもあり、こちらは外に出る必要すらないですね)
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小型株の大暴落事例
それでは事例をみていきたいと思います。
今回は「ヤフー(現:Zホールディングス)」、アンジェス、ミクシィの3つを取り上げます。
(旧:ヤフー)Zホールディングス<4689>
今でこそ、私たちの生活の中でも大きな存在感を放つポータルサイト、「Yahoo!Japan」の運営元である「ヤフー」。
今ではLINEとも経営統合し「Zホールディングス」として新たな船出をし、日本では名実ともに大企業と認識されていますね。
そんな順風満帆に見えるヤフーは、1997年11月4日にIPOを果たしました。
ITバブルに華麗に波乗りしたヤフーの株価は快進撃を続け、わずか2年余りで50倍以上という急成長。
多数の個人投資家が億万長者になりました。
しかし、話には続きがあり、ITバブルは崩壊、ヤフーの株価は最高値から1年半程度で約20分の1の価格へ。
その後は株価も持ち直し、Zホールディングス<4689>として2020年7月の現在は株価も安定しています。
しかし、過去には上記のような非常にボラティリティの高い時期もあったのでした。
マザーズ上場の創薬ベンチャー、アンジェス<4563>
「アンジェス」に関しては、2020年の新型コロナウィルス感染拡大騒動で一躍有名になった銘柄となります。
コロナワクチン開発のニュースに期待した投資家が積極的に売買し、大きな株価のボラティリティを見せています。
【ワクチン開発】新型コロナウイルスのワクチンの開発に大阪大などと着手。20年8月にも臨床試験を開始。21年の早い時期の供給を目指し、年20万人分の準備を進めるが、売り上げへの寄与は先になる見通し。遺伝子治療薬「コラテジェン」の販売が伸びるが、研究開発費の増加などで最終赤字続く公算。
(引用:日経新聞「アンジェス<4563>」)
このような「トレンド」に思い切り乗った小型株は特に注意が必要です。
ボラティリティの大きさが通常の小型株銘柄をはるかに凌駕します。
また、随時報道されるニュースにより株価が大きく動きますので、長期で保有する前提でない場合は情報に翻弄されることになります。
アンジェスに関しては、10年に一度あるかないかの大相場だったのも事実です。
このようなボラの大きい銘柄は暴落とリバウンドを繰り返すので、タイミングを間違えなければ大きなリターンを獲得できます。
….が、やはり、どこで暴落が止まらなくなるのかの恐怖との戦いにもなりますので、あまり安易に手を出してはいけない銘柄といえるでしょう。
(ヘッジファンドがアルゴリズムを使ってアンジェスを短期売買を繰り返した、とも言われています)
5月の売買代金ランキング(人気株)
売買代金トップは3カ月続けてアンジェス。そのアンジェスの流動性(25日移動平均売買代金)はさらに拡大。3月末時点では66.5億円だったのが、4月末時点で214.4億円と3倍以上に膨張。これでもすごい金額でしたが、5月末時点ではナント660.2億円! これ、正直見たことないですね…東証1部でも、25日移動平均売買代金が660.2億円を上回るのは、ソフトバンクグループ(9984)だけ。全上場銘柄中でも2位でした。
ミクシィ<2121>
2020年に東証マザーズから東証一部へ昇格したミクシィ。
東京証券取引所市場第一部への上場市場変更承認に関するお知らせ
本日、当社は株式会社東京証券取引所の承認を受け、2020年6月23日をもちまして、当社株式の上場市場が東京証券取引所マザーズ市場から東京証券取引所市場第一部へ市場変更されることとなりましたのでお知らせします。 これもひとえに、これまで当社をご支援くださいました株主様をはじめ、すべてのステークホルダーの皆さまのご厚情の賜物であると心より感謝申し上げます。
ミクシィグループは、「エンタメ×テクノロジーの力で、世界のコミュニケーションを豊かに」することを中期経営方針としております。世界中のユーザー様へ豊かなコミュニケーションを届けていけるよう一層努力してまいりますので、引き続きご支援を賜りますようお願い申し上げます。
東証一部昇格なるも、その株価のボラティリティの高さは有名なところです。
以下は2017年中の株価変動ですが、2018年12月には2,174円をつけ、2020年のコロナショックで1355円をつけました。
しかし、現在は東証一部に市場変更との発表が買い材料とされ、株価は続伸しています。(2020年7月8日現在の株価:2,047円)
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まとめ
小型株への集中投資は以下のリスクがあることがわかりました。
- 株価の変動が激しい(ボラティリティが大きい)
- 流動性が低い
小型株集中投資で大切なのは、「適切な銘柄選定」と「損切り」です。
上記のリスクを把握した上で、小型株で高いリターンを狙っていきましょう。
小型株に関するコンテンツは他にもありますので、ぜひ参考にしてみてください。
以上、小型(成長)株集中投資のリスクとデメリットとは?Yahoo、マザーズ創薬ベンチャー・アンジェスなど過去の暴落銘柄事例と共にわかりやすく解説。…でした。