コロナショックで米国の失業率が14.7%と過去最大の数値を記録したにも関わらず株価は上昇しています。
これは米政府の躊躇ない財政支出とFRBの金融緩和の影響で作られている政策相場です。
しかし、政策相場では人々の政策を支えることはできますが、結局コロナが収束し経済活動が正常化しない限りは企業収益も上昇しません。
コロナ騒乱が長期化すると、いずれ株価は再び下落に転じることも十分考えられます。
そこで現在筆者としては金に注目しています。
実際、現在金の現物を250万円分、金ETFを約50万円分、金鉱株を約50万円分保有しています。
◾️今回の概要:
【金の投資ポーションを増加させた理由】
- 米国の財政・金融政策でマネタリーベースが拡大しドルが溢れている
- コロナ収束後に米国でインフレが訪れ金の価格上昇が見込める
- 米国債金利の低下で相対的に金の魅力がましている
- チャートもコーヒーカップ型でうわ抜けると跳ねる形をしている
- 株との値動きに相関が少なく株式との分散が見込めるのも魅力
【投資対象としての金ETFと金鉱株】
- 金ETFはダイレクトに金価格との連動を手軽に目指すことができる
- 採掘コストとの関係で金鉱株は金城商事にレバレッジをかけたリターンを狙える。
- 反対に金鉱株は金価格下落時には大幅に下落する可能性がある
- 資金拘束を少なく済ませるのであれば金鉱株が有効
- 金鉱企業といえど銅や銀などの資源も採掘している
- 金鉱株はあくまで株式なので株式市場の煽りもうける
【どの金鉱株が魅力的?】
- 採掘コストが高い企業の方が金上昇時のリターンは莫大
- 南アフリカ系の金鉱株は新興国株としての特徴をもつ
- そのためショック局面では金価格と関係なく下落するリスクがある
- 金にレバレッジをかけた動きを狙うならカナダのバリックゴールドか米国のニューモントが妥当
- 両者とも楽天証券のADRを用いて購入可能
今回は、金鉱株と金ETFを紹介しますが、世の中には様々な金融商品が存在します。
自分の人生プラン、趣向によって選択すべき商品は変わってきます。
本当に投資信託がそもそも正解なのか、株式投資が良いのか、それとも金などの安全資産が良いのか。
商品を見極め、高いリターンを獲得するには、やはり資産運用の本質的な知識(マネーリテラシー)がマストです。
資産運用の勉強をするには、書籍やセミナーに参加する、学校に通うなど様々な選択肢がありますので、自分にあった勉強方法を模索していきましょう。
目次
コロナ禍の今、何故金を魅力的な選択肢と考えるか?
まず、何故金が魅力的と考えるのかの根拠を考えていきたいと思います。
米国のマネタリーベースの拡大で相対的に金の価格が高くなる
米国は既に2.7兆ドル(約300兆円)の経済対策を行い、更に今後3兆ドル(約330兆円)を用意していることを発表しています。
また、実際に以下は最初の2.2兆ドルの内訳ですが、国民や失業者、中小企業に実際に配布している状況となっています。
実際、米国中央銀行のFRBのバランスシートは9兆ドルつまり約1000兆円のレベルにまで拡大しています。
日銀の金融緩和とは異なり、実際に国債引き受けの対価として発行したドル紙幣を国民に使っています。
一方、金は配当金を生むことはありませんが金のままです。
ドルの総量が増えて、金は増えてはいますが増加速度は緩やかですので当然相対的に金の価値が高くなることが見込まれます。
国債金利の下落で金利の魅力が上昇
配当や金利を生まない金と、利息を生む国債には以下の通り逆相関関係があります。
赤:金貨各区
青:米10年債金利
今も金融緩和が継続となり、更に市場はマイナス金利も織り込みはじめ2年債金利は過去最低を更新しています。
あまりにも急激に金利が下落したため、まだ金価格に反映されていませんが時間を追って金に流れ込んでいく可能性が高いとみています。
ゴールドのチャートがテクニカル的に上昇が見込める水準
以下が過去48年間の金のチャートです。
上記は超長期チャートなのですが、以下直近では高値に近づいており上抜け目前という水準にまで来ています。
株式との分散を効かせることができる
金は株と相関が低く、同じポートフォリオに組み込むことで資産分散を効かせることができます。
■:1970年代の金強気相場
▷ ニクソンショックを受けた金の現物相場
■:1980年代中盤から2000年代前半の金弱気相場
▷ 金バブルの崩壊
▷ アジア通貨危機等の経済危機で各国政府の金の備蓄売り
■:2000年代の金強気相場
▷ 金ETFの組成で金に投資資金が流入
■:2010年代の金弱気相場
▷ 景気の一貫した拡大
▷ 米国債金利の上昇で金の相対的魅力の減少
金は不況期・混乱期にやはり強い動きを行う傾向にあります。
コロナショックで不透明性が高くなる現状において金をポートフォリオに組み込むことでポートフォリオ全体の安定性が増すことが期待されます。
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金ETF(GLD)と金鉱株への投資の違いとは?
金鉱株はレバレッジをかけることができる
金ETFは単純に金の価格に連動して上昇並びに連動していきます。
しかし、金鉱企業はそれぞれ採掘コストがあります。
現在、金の価格は1オンス1700ドル近辺ですが、金鉱企業の産出コストが1500ドルだとします。
すると現在の採掘による利益は200ドルになります。
一旦、金が上昇する局面では金鉱株は金の価格以上に急騰することが見込まれるのです。
金鉱株は金以外の影響も受ける
金鉱株は確かに金を採掘している企業なのですが、金だけを採掘しているというわけではありません。
例えば一番採掘コストの低いカナダのバリックゴールド社は金の他にも銅を生産しています。
また、米国の金鉱会社のニューモントも金の他に銅、銀、亜鉛の生産を行なっています。
更に南アフリカ系のアングロゴールド(AU)、ゴールドフィールズ(GFI)、ハーモニー(HMY)も金以外の銅や銀の生産も行なっています。
以下はバリックゴールドとニューモントと金ETF(GLD)の値動きです。
金は2008年のリーマンショック時に堅調に推移しましたが、金鉱株は株式市場全体の煽りを受けて大幅に下落しています。
全体としてみると金鉱株は弱いように見えますが、金が上昇する局面では金以上に力強い動きをします。
上記に金が局所的に上がっている2015年から2017年を見てみましょう。
金は僅かしかあがっていませんが、金鉱株は大幅に上昇しています。
更に、金が再び上昇に転じた2018年からの動きをみてみましょう。
金ETFを選ぶべきか?金鉱株を選ぶべきか?
【金ETFを選ぶ方が良い人】
- 金の値動きに純粋に投資したい
- レバレッジをかけたくはない
- ポートフォリオの安定性を高めたい人
【金鉱株を選ぶ方が良い人】
- レバレッジをかけて大きなリターンを得たい
- 資金拘束をできる限り少なく済ませたい
- 金相場に強気の見通しを明確にもっている
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金鉱株を選ぶならどの銘柄を選ぶのが良い?
金鉱株が低ければ低いほど投資妙味があるわけではない
まず金鉱株で重要になってくるのが金を生産するのにいくらの費用がかかるかという採掘コストです。
以下は金鉱株の採掘コストです。
カナダのバリックゴールドが最も低い採掘コストとなっており、南アフリカのハーモニーが最も高い採掘コストとなっています。
銘柄名 | 銘柄コード | 国 | 産出コスト($) |
バリックゴールド | GOLD | カナダ | 894 |
ニューモント | NEM | 米国 | 966 |
アングロゴールド | AU | 南アフリカ | 992 |
ゴールドフィールズ | GFI | 南アフリカ | 1098 |
ハーモニー | HMY | 南アフリカ | 1207 |
【現在】
金価格:1700ドル
金鉱株A:採掘コスト1500ドル→利益200ドル
金鉱株B:採掘コスト1600ドル→理系100ドル
【1年後金価格上昇】
金価格:2040ドル (+20%)
金鉱株A:採掘コスト1500ドル→利益540ドル (+170%)
金鉱株B:採掘コスト1600ドル→利益440ドル (+340%)
確かに採掘コストが高い銘柄は金が上昇する局面では株価が高騰する可能性が高いです。
実際、この1月の値動きですと金ETFとゴールドフィールズ(採掘コスト1098ドル)とニューモント(採掘コスト966ドル)の値動きは以下となります。
4月20日近辺の金が上昇する局面では採掘コストが高いGFIが金はおろかニューモントを大幅に凌駕する動きを見せていますね。
ただ、当然金価格が下落する時には大損失となることを覚悟しなければいけません。
南アフリカの金鉱会社は新興国株としてのリスクがある
南アフリカの金鉱会社は金鉱会社としての性格だけではなく新興国株としての性格が色濃くでます。
以下は直近1年の金鉱株の三つの株価の動きの比較です。
ニューモント(米国) :採掘コスト966ドル
ゴールドフィールズ(南ア):採掘コスト1098ドル
ハーモニー(南ア) :採掘コスト1207ドル
情勢が安定しており金価格が上昇することが見込まれる局面においてのみ南アフリカの金鉱株への投資は正当化されそうですね。
レバレッジをかけながら金にベットしたいのであれば、カナダのバリックゴールドか米国のニューモンとが良い選択肢となるでしょう。
ニューモント(米国) :採掘コスト894ドル
バリックゴールド(カナダ):採掘コスト1098ドル
金ETF (GLD) :採掘コスト1207ドル
金価格の値動きを増幅させた値動きをしており金にベットしたいのであれば良い選択肢となるでしょう。
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まとめ
【金の投資ポーションを増加させた理由】
- 米国の財政・金融政策でマネタリーベースが拡大している
- コロナ収束後に米国ではインフレが訪れる可能性が高いとみる
- 国債金利の低下で金の魅力がましている
- チャートもコーヒーカップ型でうわ抜けると跳ねる形をしている
- 有事の金と言われるとおり株式との分散が見込めるのも魅力
【投資対象としての金ETFと金鉱株】
- 金ETFはダイレクトに金価格との連動を目指すことができる
- 金鉱株はレバレッジをかけたリターンを狙うことができるがリスクも大きい
- 資金拘束を少なく済ませるのであれば金鉱株が有効
- 金鉱企業といえど銅や銀などの資源も採掘している
- 金鉱株はあくまで株式なので株式市場の煽りもうける
【どの金鉱株が魅力的?】
- 採掘コストが高い企業の方が金上昇時のリターンは莫大
- 南アフリカ系の金鉱株は新興国株としての特徴をもつ
- そのためショック局面では金価格と関係なく下落するリスクがある
- 金にレバレッジをかけた動きを狙うならカナダのバリックゴールドか米国のニューモントが妥当
- 両者とも楽天証券のADRを用いて購入可能
今回の金鉱株と金ETFのように、世の中には様々な金融商品が存在しますが、自分の人生プラン、趣向によって選択すべき商品は変わってきます。
本当に投資信託がそもそも正解なのか、株式投資が良いのか、それとも金などの安全資産が良いのか。
商品を見極め、高いリターンを獲得するには、やはり資産運用の本質的な知識(マネーリテラシー)が必須です。
資産運用の勉強をするには、書籍やセミナーに参加する、学校に通うなど様々な選択肢があります。
自分にあった勉強方法を模索していきましょう。
以上、金の相場到来か!?金鉱株と金ETFのどちらで投資する方がよい?金投資の魅力とおすすめ銘柄を含めてわかりやすく解説!…でした。