投資の中で最も代表的なものが「株式投資」です。
株式投資は日本でも1878年の『株式取引所条例』制定後から取引が開始されている歴史のある伝統的な投資手法です。
みなさんも、投資と言って真っ先に頭に思い浮かぶのは株式投資なのではないでしょうか。
実際、米国の1800年代前半からの投資リターンは他の投資を大きく凌いで株式投資が圧倒的な結果を残しています。
1802年に$1を投資していれば現時点で$704,997になっています。
あくまでインフレ率を加味した金額なので、インフレを加味しない名目ベースではさらに増加しています。
このコンテンツでは、株式投資を行う上で考えておくべきリスクについて解説していきたいと思います。
目次
Contents
リスク1:元本割れする可能性がある(価格変動リスク)
最も代表的且つ有名なリスクは元本割れする可能性があることです。
元本割れが発生するのは価格変動リスクに起因
何故、元本割れが発生するかというと価格自体が変動するからです。
価格変動とは具体的に何を指すのか、より詳しく知りたいという方は以下の記事を参考にしてみてください。
こみいった内容ですが標準偏差という具体的な指標の見方についてわかりやすく解説しています。
価格変動が発生しない投資としては債券の保有があります。
国債や社債は国や企業がデフォルトしない限り額面を満期に受け取り投資期間中は利息を受け取ることができます。
利息収入のことをインカムゲインといいます。
株式投資でも配当金はインカムゲインです。
一方、価格変動による値上がり益のことをキャピタルゲインといいます。
しかし、最初の図でも見ましたとおりキャピタルゲインが主導の株式投資のリターンの方が長期的に大きくなっています。
価格変動リスクを避けて大きな利益を得るという両取りは難しいのです。
価格変動リスクを抑えたいのであれば分散投資
『卵を一つに盛るな』という格言がある通り価格変動リスクを抑えたいのであれば分散投資を行うのが有効な手段となります。
実際以下の通り証券数が多くなればなるほど価格変動リスクが抑えられるというデータが出ています。
S&P500指数は、米国の大型の500銘柄の加重平均指数。
TOPIXは、東証一部上場の約2000銘柄の加重平均指数です。
個別銘柄選択が難しいという方は指数へ連動を行う投資信託に投資するのがよいでしょう。
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リスク2:会社が倒産すると株式価値は0になる可能性も(信用リスク)
株式投資を行うということは基本的には上場している株式会社の株を購入するということを意味します。
株の保有ということは『企業の部分的な保有』を意味します。
つまり、企業自体が倒産してしまったら最悪の場合株式価値は0になってしまうこともあるのです。
上場廃止になるまでの道程
上場企業が業績の悪化や不祥事などで事実上の倒産状態となり、会社更生法などを申請すると、証券取引所は『整理ポスト(整理銘柄)』に入れます。
「整理銘柄」に指定された後、即上場廃止になるわけではなく一ヶ月間は取引することができます。
しかし、当然株価は暴落して1桁になることも珍しくありません。
1桁になるとマネーゲームの対象になることもあります。
整理銘柄になってしまった時点でできる限り早く売却することがおすすめです。
上場廃止後も保有をしていたらどうなるの?
実際に上場廃止後も株価を保有していた場合どうなるか気になった方もいらっしゃると思います。
上場廃止となった後も株を保有している場合は『企業の財産を受け取る権利』である残余財産分配請求権を行使することができます。
しかし、倒産をするということは債務超過に陥っている企業ということになります。
倒産した場合に返済する順番としては『借入金』→ 『社債』→ 『株主』という順番になります。
債務が超過しているということは借入金と社債だけで資産の価値を上回っている状態です。
つまり株主には基本的にはお金は1円も戻ってこないと考えた方がよいでしょう。
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〜コラム〜会社の負債を株主が負担する必要はあるのか?
債務超過に陥った企業の株を保有したら企業の部分所有者である株主も債務を負うのではと考えられた方もいらっしゃると思います。
株主は投資した金額以上の責任を負うことはない有限責任者です。
つまり例えば10万円分投資していた場合、最大損失は投資元本の10万円となります。
しかし、後でお伝えしますが信用取引を行なっている場合は借金を背負ってしまう可能性があります。
しっかりと毎回の決算で財務情報をみていれば倒産に追い込まれるまで株を保有する理由がありません。
しっかりと財務諸表の分析をしたい方は以下の記事も参考にしてみてください。
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リスク3:取引したい時に取引出来ない可能性がある(流動性リスク)
東証一部に上場しているような大型株の場合はいつでも取引したい時に売買ができます。
しかし東証マザーズやJASDAQ、更には地方証券取引所の中には取引したい時に取引できない銘柄も存在しています。
そもそも東証一部銘柄になるためには以下の三つの条件を満たす必要があります。(参照:日本取引所グループ)
- 流通株式数 2万単位以上
- 流通株式時価総額 20億円以上
- 流通株式数(比率) 上場株券等の35%以上
つまり最低でも2万単元の35%なので7000単元以上が取引できる可能性があります。
特に時価総額が低く取引できる流通株式比率が低い銘柄は取引したい時に適時に取引できない流動性リスクを抱えていることを理解しておきましょう。
株式の保有状況は各社の有価証券報告書に記載されているので気になる方は確認されるとよいでしょう。
以下は筆者が現在保有している『ケア21』の有価証券報告書です。
二番手の吉田さんや最後の川合さんは定かではありませんが、他は企業の持ち合いや創業一族で占められています。
上記に記載されている方は殆ど株を通常時には売却しない方でしょうから、流通株比率は20%未満ということになりますね。
小型株の場合は有価証券まで確認した方がよいでしょう。
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リスク4:信用取引は資金が全て溶けることも…!!(レバレッジリスク)
株式投資では3倍程度のレバレッジをかけることが出来る信用買や、売りから入る空売りを行うことができる信用取引があります。
レバレッジをかけると投資資産を全て失う可能性がある
信用取引を行い信用買を利用すると自分の資金の約3倍の取引を行うことができます。
例えば100万円の資産を持って300万円分銘柄Aを購入したとします。
銘柄Aに悪いニュースがでて33%下落してしまうと300万円分の投資資金が約200万円になってしまいます。
つまり損失は▲100万円となります。
借金を背負う可能性がある
信用取引を行う場合は損切り注文を予め設定している方もいらっしゃると思います。
しかし、危機が発生した場合は誰も買う人が存在せず株価が一気に下落して損切り注文通りの執行がなされない場合があります。
例えば以下図の通り100万円分の資金で信用取引で300万円分の取引を行う場合を考えます。
300万円分の資金を株価が300円の時に投資し、250円の時に損切注文を入れていたとします。
ある時に企業に非常に悪いニュースが発表されたとします。
すると誰も買う人がおらず売り注文だけが集中し、次についた価格が180円だったとします。
すると損切り注文の250円は執行されず180円での執行となります。
180円で執行されると300万円分投資した株の価値が180万円まで下落して120万円分の損失が発生します。
元々の資金は100万円なので20万円分以上を証券会社に差し入れなければいけないのです。
仮に全財産で信用取引を行なっていた場合は借金を背負うこともありうるのです。
空売りを行うと損失は青天井
空売りは株価が高い時に売りから相場に入って、株価が下落した時に買いもどすことで利益を得ようとする手法です。
株を購入する場合は一番大きい損失は企業が倒産した場合です。
株主は有限責任ですので投資金額以上の損失を被ることはありません。
空売りの場合は売った価格より株価が上昇した時は損失となります。
株価の下値には0円という底がありますが、株価の上昇に天井はありません。
際限のない上昇を記録するテンバガーのような銘柄では損失が膨らみ続けるのです。
また好決算が発表され翌日の寄り付きがストップ高のような場合は要注意です。
あらかじめ入れておいた損切りのレベルを上回り同様に借金を背負ってしまう可能性もあるのです。
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まとめ
株式投資のリスクには大きくわけて四つあります。
- 価格変動リスク:ただし、キャピタルゲインの源泉!
- 会社倒産リスク:早い段階で売却して損失を確定させよう!
- 流動性リスク:小型銘柄は有価証券報告書で流通比率を確認しよう!
- 信用取引のリスク:経験を蓄積してから利用しよう!
上記のリスクを補ってあまりある魅力が株式投資にはあります。
株式投資を活用して大きな資産を形成していきましょう!!
以上、株式投資の基本的なリスク4選をわかりやすく解説!株は本当に怖いのか?…でした。