THEOはウェルスナビよりも早く2016年2月から運用が開始されたロボアドバイザーです。
本日は簡単にロボアドバイザーとは何かを説明した上で、テオの特徴とメリット・デメリットについてお伝えしていきたいと思います。
以下ロボアドバイザーをランキング形式でまとめていますので参考にしてみてください。
目次
ロボアドバイザーとは?
ロボアドバイザーという名前から分かる通り、ロボット、つまりAIが自動で運用を行ってくれるという便利なツールです。
ロボアドバイザーといえば投資に関する一連のプロセスをロボアドバイザーは自動で行ってくれるというイメージがあるかと思います。
しかし、実際にはロボアドバイザーにも二種類のタイプがあります。
皆さんが思い浮かべる全てを自動で行ってくれるタイプは投資一任型と言われています。
一方、提案だけを行って運用は自分で行うタイプのロボアドバイザーも存在しています。
全てを行ってくれる投資一任型のロボアドバイザーのサービスの人間版であるラップ口座については証券会社や銀行が提供しています。
しかし当然専門の人間が運用を行うということもあり手数料が高いという欠点があります。
ラップ口座の管理手数料年率1.5%-2.0%に加えて運用商品の手数料も加えられ2.5%-3.0%程度の手数料が必要となります。
一方投資一任型のロボアドバイザーは年率手数料は1.0%程度で抑えられます。
手軽さと安さを兼ね備えた注目の運用サービスとなっているのです。
今回のテオ(THEO)のほかに以前お伝えしているウェルスナビや楽ラップも投資一任型のロボアドバイザーです。
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THEO(テオ)の特徴をWhite Paperから紐解く
各ロボアドバイザーは投資信託でいうところの見積書のような運用手法を示したWhite Paperを出しています。
THEO(テオ)もWhite Paperを公表しておりますが、内容が難しいので噛み砕いて説明していきたいと思います。
運用方針-市場平均より高いリターンを目指すスマートベータ戦略-
THEOでは投資する地域と資産(株・債券・商品・不動産)と時間分散を行いリスクを最小化させています。
時間分散だけ理解しにくいと思いますが、一気に購入するわけでなく複数回にわけて購入し価格変動のリスクを分散することをさします。
さらにTHEO(テオ)で特徴的な戦略としてスマートベータという最新の運用手法を採用していることです。
一方投資一任型のロボアドバイザーは年率手数料は1.0%程度で抑えられます。スマートベータとは、市場の動きに連動して得られるリターン(マーケットリターン連動部分のリスクプレミアム)だけではなく、サイズ(小型)やバリュー(割安)といったその他の要因がもた らすリスクプレミアムも獲得しようとする運用手法です。
機関投資家、いわゆるプロ向けの資産運 用には多く採用されています。たとえば、全米教職員保険年金協会・大学退職年金基金(TIAA)、 カリフォルニア州教職員退職年金基金(CalSTRS)などの世界最大級の年金基金はもとより、
日本の年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)も採用しています。
(引用:THEO『White Paper』)
要は例えば『TOPIX』や『S&P500』のような市場平均だけでなく、以下の点を加味して、市場平均よりも高いリターンを求めるようにポートフォリオを構築します。
過去の値動きを分析できるAIだからこそできる芸当ですね。
市場平均に対してはプラスのリターンを求める一方、組み入れる金融商品は市場平均に連動したETF(後述)となっています。
ではTHEO(テオ)が組み入れるETFについて詳しく見ていきましょう。
組み入れるのは米ドル建の豊富なETF
THEO(テオ)では各分類毎に30種類以上のETFをポートフォリオに組み入れています。
ETFはExchange Trade Fund (上場投資信託) のことで株式市場が開場している間に、通常の株式のように売買できる特殊な投資信託です。
頻繁に構成銘柄については変更となりますが、2019年5月時点の主な組入対象のETFは以下となります。
先ほど運用方針でお伝えしたスマートベータ戦略で、単純な全ての株の平均指数だけでなく、以下の細かい分類の指数に連動するパッシブ型のETFを組み合わせて市場平均よりも高いリターンを叩き出す運用を目指しているのです。
- バリュー株指数
- グロース株指数
- 小型株指数
- 大型株指数
大分類 | 小分類 | 名前 | 略称 |
グロース | 先進国株 | I シェアーズ MSCI パシフィック(除 日本) | EPP |
I シェアーズ MSCI ドイツ上場投資信託 | EWG | ||
I シェアーズ MSCI ジャパン上場投資信託 | EWJ | ||
バンガードFTSEヨーロッパ | VGK | ||
Vanguard Mid Cap Value | VOE | ||
バンガードバリュー上場投資信託 | VTV | ||
Vanguard Small Cap Value | VBR | ||
SPDR S&P 500 Growth | SPYG | ||
SPDR S&P 500 Value | SPYV | ||
新興国株 | バンガードFTSE エマージング | VWO | |
ウィンズダムツリーインド | EPI | ||
iシェアーズ 中国大型株上場投資信託 | FXI | ||
インカム | ハイイールド債 | SPDR CLACKSTON/GSO SEN LOAN | SRLN |
SPDRバークレイズ・ハイイールドボンド | SJNK | ||
投資適格債券 | iシェアーズ米ドル建投資的会社債 | LQD | |
米国MBS上場投信 | MBB | ||
先進国国債 | iシェアーズ米国国債7-10年 | IEF | |
iシェアーズ世界国債(除米国)上場投信 | IGOV | ||
iシェアーズ米国国債20年超 | TLT | ||
インフレヘッジ | コモディティ | iシェアーズ ゴールドトラスト | IAU |
iシェアーズ シルバートラスト | SLV | ||
リート・不動産 | iシェアーズ米国不動産叙情投信 | IYR | |
REAL ESTATE SELECT SECT | XLRE | ||
先進国株 | INFRASTRUCTURE | IGF | |
先進国債券 | iシェアーズ米国物価連動国債上場投信 | TIP |
ウェルスナビが7個のETFの組み合わせであったことを考えると、THEOのETFの数に驚かされます。(上記は一部)
組み合わせる証券数を増やせば増やすほどリスクは低下することが確認されているのでTHEOの証券数の多さは魅力的ですね。
質問に答えるだけで個々人其々のオーダーメイドポートフォリオを構築
THEO(テオ)も他のロボアドバイザーと同様に簡単な複数の質問に答えるだけで個々人に最も適したポートフォリオで運用を開始してくれます。
THEO(テオ)で答える質問は簡単な以下の5つです。
- 年齢 (入力方式)
- 現在の年収 (入力方式)
- 毎月の貯金額 (入力方式)
- 現在の金融資産 (入力方式)
- そのうちの一部でTHEOをはじめとすると(入力方式)
他のロボアドバイザーは5個から6個のプランに皆さんを振り分けます。
しかしTHEO(テオ)は各人にそれぞれのプランをオーダーメイドでカスタマイズしています。
全ての質問に回答すると10年後に元本と運用結果の予想についてのデータが出てきます。
今後の市場の下落をAIが判断して対処するTHEO AI アシスト機能
THEOの大きな特徴として投資対象が今後大きく下落するかどうかを判断するTHEO AIアシスト機能が付いていることです。
THEOではThomson Reuters MarketPsych Indices(TRMI)と市場データをインプットして下落の可能性があるかどうかを判断します。
下落の可能性があると判断した場合にTHEO(テオ)ではポートフォリオの株式の割合を小さくするなどの対処を行います。
株式は市場下落局面で他の資産よりも大きく下落するので、債券等に割合を移し替えるのです。
【THEO公式ページ】 https://theo.blue
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THEO(テオ)のメリット
THEO(テオ)の特徴についてみてきたところでメリットについて整理していきたいと思います。
世界水準のスマートベータ運用を享受できる
THEO(テオ)はアカデミックアドバイザーとして加藤康之京都大学客員教授の監修をうけています。
THEOで運用することで機関投資家や世界的な年金基金(CalPERS)や日本のGPIFが実践している前述のスマートベータ戦略を享受することができます。
また人間特有の感情等の要因を排除して、定量的な分析に裏打ちされた『クオンツ運用』を行なっているのも魅力的な点です。
運用方針の先進性という観点において他のロボアドバイザーより一歩進んでいるといえます。
THEOでは1ヶ月-3ヶ月に一回最適なポートフォリオの見直しを実施しており、常に最新に近いデータを元にポートフォリオの改善を行い続けているのです。
さらに特徴の欄でもお伝えしている通り、下落を予測した場合に機動的にポートフォリオを保守的に組み替えるというのもTHEOならではの運用となります。
質の高い米ドル建運用で通貨分散が可能に
THEOがポートフォリオを構成する上で組み入れているETFは世界的なETF組成会社となっています。
- バンガード社
- iShare社
- SPDR社
世界最先端レベルの運用手法をバフェットも認めるバンガード社組成のETFで支えています。
運用結果としては円価で表示されていますが、実際の運用は米ドル建でドル円レートを掛け合わせて評価額を計算しています。
もちろん、米ドルで運用しているので為替レートの変動によって資産評価額が変化します。
しかし、そもそも日本円だけを保有しているのは令和の時代では危険となってきます。
現在の政府の債務は日本円の価値を小さくする、つまり急激な円安を発生させることでしか解決できません。
更に、日銀の金融緩和も限界を迎えており、いつヘリコプターマネーからの円安を伴った急激なインフレが発生してもおかしくありません。
米ドル建で運用できていたら将来円安を起点とした急激なインフレが発生した場合でも、影響を受けることはないのです。
通貨分散を行いながら運用できるのは寧ろ大きなメリットなのです。
1万円から投資可能
ウェルスナビでは10万円から投資が可能でしたらTHEOでは更に手軽に1万円から投資が可能となります。
お試しで初めてみて、調子が良ければ増額したいという方にはありがたい敷居の低さとなっています。
THEO Color Paletteで2019年4月から手数料割引制度スタート
THEOの手数料は従来、運用残高が3000万円未満の運用分については年間1%の運用手数料。
運用残高が4000万円の場合、3000万円を超過した1000万円分については年間0.5%の運用手数料となります。
運用残高3000万円未満 | 年間1.0% (税別) |
運用残高3000万円超過分 | 年間0.5% (税別) |
ETF売買手数料 | 無料 |
出金手数料 | |
為替手数料 |
さらにETF売買手数料や出金手数料、更に米ドル建ETFを購入するための日本円→米ドルへの変換手数料も全て無料になります。
THEOはColor Palette Planを4月に発表しました。
同プランでは毎月積立を実施し、対象期間(後述)で出金をしていない人に対してカラー基準額(後述)に応じて最大35%手数料をOFFする割引制度となっています。
ウェルスナビは最大でも割引率が0.1%であったことを考えると最大0.35%の割引率は驚異的ですね。
対象期間は以下の4つで期間中の基準額によって翌月から3ヶ月間のカラーが確定して手数料が変更となります。
対象期間A:4月〜6月
対象期間B:7月〜9月
対象期間C:10月〜12月
対象期間D:1月〜3月
カラー基準額は運用開始から対象期間内の各月末までの入出金総額の平均で算出されます。
【THEO公式ページ】 https://theo.blue
リバランスを月1回という頻度で実施
運用時間が経過すると、元々最適な比率として組成していたポートフォリオのバランスが崩れてしまいます。
以下の例のように元々株式と債券を半々で組み込んでいたとしても時間が経つにつれて株式の価格が上昇した場合、ポートフォリオのバランスが株式60%、債券40%になってしまいます。
そこでTHEOでは1ヶ月に1回、最適なポートフォリオとなるように調整するリバランスを実施しています。
1ヶ月に1回というのは他のロボアドバイザーに比しても高い頻度であり、常に計算上最適であると判断されたポートフォリオで運用することができるのが魅力ですね。
THEOはスマートフォンアプリを提供
THEOはスマホアプリを提供しています。
手元で現在の運用結果と資産推移更にポートフォリオを確認することができます。
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THEO(テオ)のデメリット
次にTHEO(テオ)のデメリットについて見ていきましょう。
元本割れのリスクがある
元本保証型の資産運用ではないので、当然元本割れとなることもあります。
しかし、長期投資を前提にした場合ほぼ間違いなく資産を増幅させることができます。
以下は金融庁の調査なのですが、20年間運用した場合は年率リターンが平均して5%程度となることが分かっています。
【参考:金融庁「平成27事務年度金融レポート」】
さらに相場見通しが悪化したら機動的にポートフォリオを保守的にする機能がついているので、安心度は通常の資産運用よりも高いといえるでしょう。
出金は10万円からでないとできない
THEOは1万円から開始することはできますが、出金は10万円以上からしか行うことができません。
10万円以下で出金したいという方はTHEOを解約する必要があります。
長期投資をする前提であれば10万円以上の金額になると思いますので、大したデメリットにはなりませんね。
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まとめ
THEO(テオ)は2016年2月から運用を開始した日本でのロボアドバイザーの先駆けです。
運用手法は機関投資家や年金基金が採用している方法を採用している戦略を用いており、個人でも世界最先端レベルの資産運用を体感することができます。
【THEO公式ページ】 https://theo.blue
■ テオ(THEO)のReview:
- 運用手法は米ドル建ETFを用いたスマートベータ戦略
- 地域分散、資産分散、時間分散でリスクを抑制
- 組み入れETFは30種類以上で通貨分散も同時に可能
- 1万円から投資が可能
- 手数料は1%未満で0.65%まで割引を受けることができる
- 相場下落を予想してポートフォリオを自動で組み替える機能つき
- スマホ版アプリで手元で推移を確認可能
以上、【THEO】スマートベータ運用で評判のロボアドバイザー『テオ』で投資を行うメリット・デメリットを解説!…でした。