近年低コストで長期的に高いリターンを残すことが実証されているインデックスに連動する成果を望めるETFに注目が集まっています。
このコンテンツでは、人気のETFの中でも特に評判の高い『VTI』と『VOO』を取り上げます。
どちらも米国株のインデックスに連動するETFです。
同じ米国株に投資をするETFとして、どちらが魅力が高いのかを概要をお伝えした上で分析していきたいと思います。
今回は、「VOO」と「VTI」を紹介しますが、世の中には様々な金融商品が存在します。
自分の人生プラン、趣向によって選択すべき商品は変わってきます。
本当に投資信託がそもそも正解なのか、株式投資が良いのか、それとも金などの安全資産が良いのか。
商品を見極め、高いリターンを獲得するには、やはり資産運用の本質的な知識(マネーリテラシー)がマストです。
資産運用の勉強をするには、書籍やセミナーに参加する、学校に通うなど様々な選択肢がありますので、自分にあった勉強方法を模索していきましょう。
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目次
Contents
バンガード社のETFが注目されている理由
VTIとVOOの比較に入る前に何故、バンガード社のETFが注目されているのかご存知でしょうか?
きっかけは投資の神様『ウォーレン・バフェット』の運営するBerkshireHathawayの年次レポートでの以下記述にあります。
My advice to the trustee could not be more simple:
Put 10% of the cash in short-term government bonds and 90% in a very low-cost S&P 500 index fund. (I suggest Vanguard’s.)
I believe the trust’s long-term results from this policy will be superior to those attained by most investors
上記はバフェットが遺言として妻に遺している内容です。
バフェットは妻に自身の死後に低コストのS&P500指数へ90%、米国の短期国債に10%を投資することを進言しています。
そしてカッコ内にある通り、ETFの組成会社としてバンガード社がよいとバフェット自身が記載しています。
バンガード社は米国ペンシルバニア州に本拠を置いています。
現在、413本のETFを運営し、運用総資産は549兆円という日本の国家がGDPと同じ金額となっています。
大きな資産を運用しているということもあり、運用手数料は0.1%未満のものも数多く存在しています。
特に今回紹介するVOOとVTIは購入手数料は無料で年間の信託手数料は年率0.03% と非常に低い金額となっています。
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VTI (バンガード・トータル・ストック・マーケット)とは?
まずはVTI(バンガード・トータル・ストック・マーケット)です。
トータル・ストック・マーケットという名前から全世界の株式と誤解されがちです。
しかし、トータル・ストックの意味するところは、あくまで米国の株式市場全体です。
VTIについて詳しくは『VTIとは?』で詳しくお伝えしていますが、簡単にお伝えしていきたいと思います。
VTIは「CRSP USトータル・マーケット・インデックス」という米国のほぼ全ての銘柄を組み入れています。
ちなみに2019年末での構成銘柄数は3592銘柄となっています。
約4000銘柄の時価総額加重平均指数に連動することを目標とした「インデックス型」の投資信託です。
時価総額というのは会社を丸々購入するのにいくら必要かという金額です。
株式会社は全ての株を購入することで、会社の完全な支配権を得ることができますので、
『時価総額 = 発行済株式数 × 株価』で算出されます。
ここで例えば時価総額が100億円の企業Aと時価総額が50億円の企業Bが尊愛していたとします。
すると時価総額加重平均指数ではA社とB社を『2:1』の割合で組み入れることにします。
VTIはバンガード社の旗艦ファンドともいえるETFで2001年5月から運用が開始されています。
2019年末現在の運用資産総額は8745億ドル(=約9.5兆円)と巨額となっています。
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VOO (バンガードS&P500ETF)とは?
一方のVOO(バンガードS&P500ETF)は名前の通りS&P500指数に連動することを目標としたETFです。
S&P500指数はTOPIXの米国版で大型の500銘柄の時価総額加重平均指数となっています。
2019年末時点での構成銘柄数は512銘柄となっています。
VOOは2010年9月から運用開始とVTIより後発とはなっていますが運用資産額は5200億ドル(約6兆円)と成長しています。
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VTIとVTOの性質の比較
成績を紐解くに前にVTIとVOOの性質の比較について以下3点から比較していきたいと思います。
- 構成業種比較
- 構成上位10銘柄比較
- 手数料比較
構成業種比率を比較
2020年1月8日時点の業種別の構成比率の比較は以下の通りです。
業種構成に関してはVOOの区分に合わせてVTIを組み替えています。
業種別構成比率 | VTI | VOO |
通信サービス | 1.90% | 10.40% |
一般消費財 | 13.40% | 9.80% |
生活必需品 | 7.80% | 7.20% |
エネルギー | 3.90% | 4.20% |
金融 | 19.70% | 13.10% |
ヘルスケアー | 13.0% | 14.20% |
資本財 | 13.40% | 9.30% |
情報技術セクター | 21.50% | 22.80% |
素材セクター | 3.20% | 2.70% |
不動産セクター | 1.0% | 3.00% |
公共事業セクター | 3.2% | 3.30% |
(参照:VTI業種別構成比率, VOO業種別構成比率)
両者ともやはりFAANGの存在感が大きく情報技術セクターの構成比率が高くなっています。
一方、VTIの方が金融セクターの比率が大きくなっています。
大小含めると依然として米国株全体での金融セクターんぼ占める存在感は大きいとみることができるでしょう、
構成上位銘柄を比較
VTIとVOOの構成上位10銘柄は全く同じです。
VTIが米国株全体を対象としているのに対して、VOOがS&P500のみを対象としています。
そのため、上位10銘柄が占める割合はVOOの方がVTIよりも高くなっています。
構成上位10銘柄 | VTI | VOO |
Microsoft Corp | 3.70% | 4.40% |
Apple | 3.50% | 4.30% |
Alphabet | 2.50% | 3.00% |
Amazon | 2.40% | 2.90% |
1.60% | 1.90% | |
Berkshire Hathaway | 1.40% | 1.60% |
JP Morgan | 1.30% | 1.60% |
Johnson&Johnson | 1.20% | 1.40% |
VISA | 1.00% | 1.20% |
Procter & Gamble | 1.0% | 1.20% |
上位10銘柄合計 | 19.60% | 23.50% |
上位10銘柄の構成比率から逆算すればわかる通り、S&P500指数の構成銘柄の米国株式市場全体に占める割合は83%となります。
それにしても、巨大テクノロジー企業がTop5を独占しているのは圧巻ですね。
手数料水準を比較
バフェット氏がバンガード社を推薦する理由として手数料の低さが挙げられます。
ETFは指数に連動する成績を目指すため、銘柄の分析をする必要がありません。
そのため、指数との連動性と手数料の低さが重要となります。
連動性が高く、手数料が低くなるためには運用資産総額が巨額である必要があります。
先ほどお伝えした通りVTIとVOOともに運用総額は5兆円を超えて10兆円に迫る規模となっています。
結果的にVTIとVOOともに購入手数料は無料で信託報酬は運用額の年率0.03%という驚異的な手数料の低さを実現しています。
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VTIとVOOの成績を比較〜小型株効果が期待できるVTIに魅力あり〜
VTIとVOOは8割以上同じ構成であることについて触れてきました。
しかし、実際のところどちらの方が成績が良いのか?
ここから分析していきましょう。
VTIとVOOを直接比較
まず、「VTI」と「VOO」の直接的な比較です。
「VTI」は2001年から運用を開始しています。
対して、「VOO」は2006年からしか運用を開始していません。
2006年からのチャートを見てみましょう。
青色はVTIで赤色はVOOとなります。
青色はVTIで赤色はS&P500指数となります。
では秀次郎の疑問に答えていきたいと思います。
伝統的に大型株より中型・小型株の成績がよい小型株効果
VTIは8割型はS&P500指数を構成している大型銘柄で構成されていますが、残りに2割は中型・小型銘柄で構成されています。
一方のVOOは100%大型銘柄で構成されています。
以下は米国の大型銘柄(青)、中型銘柄(赤)、小型銘柄(橙色)の1972年からの約50年間のリターンの推移です。
データとしてみると大型株、中型株、小型株のリスク・リターンは以下のようになります。
平均リターン | リスク(標準偏差) | |
大型株 | 10.13% | 15.08% |
中型株 | 11.80% | 17.11% |
小型株 | 11.56% | 19.36% |
歴史的に大型株より中型株・小型株のリターンが高い成績を残す事象を『小型株効果』として株式市場では有名なアノマリーとなっています。
小型株インデックスに連動するETFに投資するのも一つの手ですが上記のデータの通り価格の上下動も大きくなります。
VTIは程よい比率で中型株・小型株を取り入れており安定して高いリターンをだすことを期待できるでしょう。
投資は知識を持っているかどうかで将来の資産の構築度合いに大きな差が出てきます。
投資に関する全てのことに限らず、年金、保険、不動産、節税と『お金に関する知識』全般について勉強することができるのが「お金の学校」です。
老後に向けた資金を構築したいという方は参考にしてみてください。
VTIとVOOの配当金と配当利回りの比較
成績については小型株効果の影響もありVTIに軍配があがることをお伝えしてきました。
次に配当金について比較していきましょう。
以下の通りVTIとVOOともに基本的に配当金の拠出金自体の金額が増加企業となっています。
年間配当金推移 | VTI | VOO |
2010 | $1.15 | $0.54 |
2011 | $1.23 | $1.19 |
2012 | $1.56 | $1.42 |
2013 | $1.67 | $2.01 |
2014 | $1.87 | $3.49 |
2015 | $2.07 | $3.93 |
2016 | $2.22 | $4.14 |
2017 | $2.34 | $4.37 |
2018 | $2.61 | $4.74 |
2019 | $2.91 | $5.57 |
わかりやすく図にしたものが以下です。
投資家にとって重要なのは配当金そのものよりも投資金額に対していくら配当金が貰えるのかということでしょう。
そこで今度は配当利回りという指標を使って見ていきましょう。
配当利回り推移 | VTI | VOO |
2010 | 2.04% | – |
2011 | 1.90% | 1.03% |
2012 | 2.43% | 1.23% |
2013 | 2.28% | 1.54% |
2014 | 1.95% | 2.06% |
2015 | 1.95% | 2.09% |
2016 | 2.12% | 2.21% |
2017 | 2.03% | 2.13% |
2018 | 1.90% | 1.93% |
2019 | 2.28% | 2.42% |
配当金も増加していますが、株価自体も上昇しているので基本的には配当利回りは2%近辺で推移しています。
図にすると以下です。
先ほど申し上げた通りVOOの運用開始初期は利回りが低かったですが、両者とも近年は同水準で推移しています。
例えば2010年にVTIに投資した方の事例を考えて見ましょう。
2010年末のVTIの価格は$64.93でした。
2010年から2019年末までVTIを保有したとします。2019年の年間配当金は$2.91でした。
すると2010年の投資簿価ベースでの2019年の配当利回りは4.5%となっているのです。
長期投資を行えば高配当利回りも狙うことができるのも魅力的な点ですね。
VTIとVOOの購入方法
VTIとVOOは共に楽天証券から直接購入することができます。
楽天証券を口座開設後、以下の手順で簡単に銘柄を購入することができます。
まだ楽天証券を保有していないという方は、一番便利でサービスも充実しているネット証券ですので口座開設をしておくことをおすすめします。
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VTIとVOOを日本円建の投資信託として楽天証券でお得に購入する方法
ETFとして購入するのもよいのですが積立でドルコスト平均法で購入したい方におすすめなのが投信の購入です。
VTIとVOOは投資信託として日本円建で投資を行うことができます。
それぞれを投資信託として仕立てたものが以下となります。
- VTI :楽天・全米株式インデックスファンド (通称:楽天VTI)
- V00 : eMaxis Slim米国株式(S&P500)
VOOは直接投資信託に仕立てたものはありません。
しかし、S&P500指数に連動する投信で最も手数料が低い「eMaxis Slim米国株式(S&P500)」が有効となります。
VTIもVOOも年間手数料は0.03%に対して楽天VTIは0.1696%(年率)。
eMaxis Slim米国株式(S&P500)は0.1728%(年率)と若干割高となっています。
楽天証券では楽天カードのクレジット決済を行うことで、月額5万円(500ポイント)まで年間60万円(6,000ポイント)まで1%のポイント還元を受けることが出来ます。
さらに得られたポイントを用いて投資信託を追加で購入することが出来ます。
6年間分の手数料の割引を受けながら日本円建で投資ができるのは大きな魅力といえるでしょう。
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まとめ
バンガード社のETFはバフェット氏の遺言により大きな注目を集めている米国の人気の投資商品です。
その中の特に人気のVTIは全ての米国株式市場約4000銘柄の時価総額加重平均指数に連動、VOOはS&P500指数に連動するETFです。
両者は80%以上は重複しているETFですが、VTIが中型株・小型株が含まれていることにより長期的にパフォーマンスは高くなることが見込まれます。
楽天証券等から直接VTIやVOOを購入することも可能です。
しかし日本円建で積立投資を行いたい方は投資信託として組成されている商品を楽天証券で楽天カードクレジット引き落としで購入することで年間60万円分まで1%のポイント還元を受け取ることが出来ます。
楽天証券は一番おすすめできる投資信託ですが投資信託を購入する際に際立った優位性があります。
今回の「VOO」と「VTI」のように、世の中には様々な金融商品が存在しますが、自分の人生プラン、趣向によって選択すべき商品は変わってきます。
本当に投資信託がそもそも正解なのか、株式投資が良いのか、それとも金などの安全資産が良いのか。
商品を見極め、高いリターンを獲得するには、やはり資産運用の本質的な知識(マネーリテラシー)が必須です。
資産運用の勉強をするには、書籍を読んだり、セミナーに参加する、学校に通うなど様々な選択肢があります。
自分にあった勉強方法を模索していきましょう。
◾️ 学習参考コンテンツ:
以上、バンガード社の人気ETF「VOO」と「VTI」はどちらが良い?楽天証券を使ったお得な購入方法と共に解説する。…でした。