21世紀に入って、世界経済はグローバル化の一途を辿り、日本経済もその影響を受けて、グローバル化が進展しています。
そんな日本経済のグローバル化を根底から支えているのが、「輸出関連企業」です。
今回は、この輸出関連企業の株について、代表例や特徴を解説していきます。
目次
「輸出」と「輸入」とは?
まず初めに、「日本経済のグローバル化を支える!輸出関連株をご紹介!」と「輸入」の定義を確認しておきましょう。
輸出とは「外国に向けて商品を送り出す取引」です。
輸入は「外国から日本に向けた商品を受け取る取引」を指します。
輸出と輸入は、外国の経済と自国経済をつなげるインフラと言えます。
輸出入の歴史は古く、紀元前の世界から地域間で行われていました。
日本も隣国の中国、朝鮮と貿易を行い、利益を出していきます。
輸出、輸入を行う際はそれぞれ「関税」が課されます。
各国は「関税自主権」と呼ばれる権利をもっており、自国の商品を保護するために関税率を設定することが可能です。
関税の設定によって、自国の製品を保護したり、海外の商品を締め出すこともできます。
例えば、現在、日本の市場で「外国産の米」があまり流通していない理由は「米」の関税が高い為です。
輸出入は「為替」と密接な関係をもっています。
為替とは自国通貨と外国通貨の交換比率を指します。
一般的に、自国通貨が「安い」ときは「輸出」が有利になり、反対に自国通貨が「高い」ときは「輸入」が有利となります。
円とドルを例にして具体的に確認していきましょう。
為替が「1ドル=110円」のレートの際、日本製品1,000ドル分をアメリカに輸出すると。
売上は「110円×1,000ドル=110,000円」となります。
反対に「1ドル=90円」のレートの際、日本製品1,000ドル分をアメリカに輸出すると。
売上は「90円×1,000ドル=90,000円」になります。
上記2つのうち、輸出企業が得をするのはどちらでしょうか?
為替レートが「1ドル=110円」のときですね。
両者のレートを比較すると「1ドル=110円」の方が「円安(1ドル交換するのに円が多くかかる)」になります。
「1ドル=90円」は「円高(1ドル交換するのに円があまりかからない)」となります。
輸出入の売上は、為替変動によって額が大きく変わってきますので、常に「為替リスク」を負うことになるのです。
外国にモノを売って稼ぐ輸出企業が多い日本経済にとって、円高は「天敵」。同じ1億ドル稼いでも、1ドル=100円換算なら100億円を計上できるところ、1ドル=80円の円高下では80億円に目減りする。トヨタ自動車の営業利益が「1円の円高で400億円違ってくる」というのは有名な話だ。
(引用:日経新聞「決算探偵団」)
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輸出関連株の代表例
日本の輸出関連株は、主に「製造業」となります。
いわゆる「メーカー」と呼ばれる企業ですね。
日本のメーカーは世界的に見ても高い技術力をもっており、世間ではあまり知名度の高くない企業でも、業績が好調な場合が多々見られます。
以下は、東証一部上場の代表的な製造業メーカーです。
どの企業も、日本企業を代表する企業ですので、それぞれが強みを持っています。
中には、アマダHDのようにそこまで知名度が高くない企業もありますが、業界内での評価はトップクラスです。
ちなみに、アマダHDは金属加工機を製造・販売しているメーカーで、業界内で上位シェアを誇っています。
東証一部上場企業となると、単元株で購入する際に10万円~100万円以上の費用が必要になってきます。
それだけ市場で評価されているという証でもありますね。
証券会社によっては、単元株未満(ミニ株)で購入できるところもあります。
以下のネット証券では、単元株未満で株の購入が可能です。
■ SBI証券:
SBI証券では、単元株未満(S株)というミニ株が扱われています。
S株では、100株単位の銘柄でも1株単位から買うことが可能です。S株の対象は、東証一部・二部、マザーズ、ジャスダックとなっています。
名古屋証券取引所(名証)、福岡証券取引所(福証)、札幌証券取引所(札証)の銘柄は売却のみ可能となっています。
■ マネックス証券:
マネックス証券では、ワン株と呼ばれるミニ株が扱われています。
こちらのミニ株も、100単位銘柄を1単位から購入することが可能です。ワン株の対象は、東証、名証の上場銘柄です。
福証、札証の銘柄は売買のみ可能です。
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輸出関連株購入の際に把握しておきたいこと
輸出関連株の特徴は、大きく以下の3点が挙げられます。
- 外需に依存している可能性が高い
- 外国為替の影響を受ける
- 外交、軍事、地域情勢に影響する
まず、輸出して売上をあげるには「外国からの需要」が無いと難しいです。
当然ですが、外国の需要を上手く取り入れば輸出の売上は高くなります。
日本メーカーの製品に対する需要の高低によって、株価にも影響が出てくるのです。
また、輸出関連株は外国為替の影響を直に受けます。
これは、円高傾向の時に特に顕著で、円高の状態だと「輸出関連企業が儲けられない」と市場が判断する傾向にあります。
「リーマンショック」の後、日本円が急速に買われて、日本が円高に苦しんでいるとき、軒並み輸出関連株は株価を落としていきました。
輸出の際は、船もしくは飛行機によって製品を輸出していきます。
物理的に運んでいく以上、常に製品がダメージを受けたり、奪われてしまうリスクが生じます。
軍事、地域情勢が不安定な地域では、そのようなリスクが高くなります。
世界的に、地域情勢の不安定化が顕著になると、リスクを嫌って輸出を控える企業もでてきます。
こうなると、勿論売上も落ちていく訳で、株価も低下していきます。
軍事、地域情勢はある程度前触れはあるものの、突発的に起こることも多く、予想がしづらい点が難しいところです。
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まとめ
輸出関連株は、外部要因の影響を受けやすい分、株価の予想には詳細なリサーチ、情報収集が必要です。
実際に会社で海外営業など、経験を踏んでおり国際感覚を持っている。
また、細かく海外情勢を調べることが苦でない人におすすめの銘柄と言えます。
外部の環境変化を観察しながら、じっくり売買するタイミングを伺うのが大切です。
以上、【輸出関連株】円安メリットのある代表銘柄!トヨタ自動車は「1円」の円高で営業利益が400億円変動?…でした。