「iDeCo」は大前提として、60歳まで資金を引き出すことができません。
しかし、投資信託の「値上り益(キャピタルゲイン)」、または「配当益(インカムゲイン)」が非課税というメリット。
また、拠出額が住民税・所得税から控除される、老後の資産を形成できるお得な仕組みです。
iDeCoの口座は一つの金融機関でしか開設できないので、慎重に選択しなければなりません。
ポートフォリオを組むといっても、許容できるリスクは人それぞれだと思います。
今回はリスクが高い方、真ん中の方、低い方の順におすすめのポートフォリオを紹介していきたいと思います。
目次
若くてリスク志向高めの方におすすめのポートフォリオ!
長期的にみたら最も高いリターンを見込むことができるポートフォリオを、ここでは紹介していきます。
長期で大きな資産を築くためには株式投資が最良の選択肢
まず大前提です。
資本主義の歴史が始まってから最も高いリターンをあげているのは債券でも金でもなく「株式」であることを歴史が証明しております。
以下は1802年以降の、200年以上の米国の資産の成長の過程を表した図です。
1802年に米国株に$1を投じていれば「年率8.1%」で成長して「$1,136,042」(百十三万六千ドル)となっております。
一方Bond(債券)は二番目に高い成績とはなりますが、$1649にしかなりません。
株式とは一目瞭然の差となっております。
短期的な価格の上下動を気にせずに、タイムマシーンに乗ったつもりで放置しておけば、資産を飛躍的に増加させることができることがわかります。
「資本主義」では企業が利益を上げ、利益を事業の拡大のために設備投資や研究開発を行い、利益を拡大していきます。
利益の増加に伴って株価が一貫してきた歴史を辿ってきており、資本主義が崩壊しない限り継続していきます。
たしかに、2008年のリーマンショックや2015年のチャイナショック、直近では2020年のコロナショックのように資産価格が下落することはあります。
10年というスパンでみれば世界の時価総額は確実に成長しているのです。
現在日本はバブル以降、30年が経過していますが、日経平均はバブル期の半額程度になっています。
これを受け、株式投資に恐怖を抱いている方もいらっしゃると思います。
しかし、株価が超長期間にわたって低迷しているのは、日本特有の現象なのです。
SBI証券のiDeCo運用商品を用いたリスク志向の方向けの、おすすめポートフォリオは以下となります。
それでは各構成要素を詳しくお伝えしていきたいと思います。
eMAXIS Slim米国株式(S&P500):50%
「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」はSBI証券のiDeCo商品の最大の魅力ともいえる投資信託です。
米国の代表的な指数である「S&P500指数」に、年率0.1738%以内という非常に低い手数料で投資を行うことができる投資信託です。
投資の王様であるウォーレン・バフェット氏も、自身の死後は「S&P500指数に連動する投資信託」。
または、ETFに資産の90%を投資するように妻に遺言しています。
つまり米国株のインデックスは、最も基本的な投資先として中枢に添えるべき投資信託となります。
実際にS&P500指数は、以下のように幾多もの危機を乗り越え、10年単位でみると一貫して上昇。
目先の下落に狼狽するなく目を瞑って投資していけば、着実に且つ確実に資産を増やしていくことができます。
さらに強気の方はバフェットの推奨するように90%を当該投資信託に入れるのも良いと思います。
現在2019年4月時点で他の株式市場に対して米国株が若干割安度が高くなっております。
尚且つ時価総額ベースでみると、世界の半分程度を占めているということもあるため投資ポーションを50%としています。
仮に米国株が大きく崩れるということがあればチャンスとみて現金ポーションをeMAXIS 米国株(S&P500)のポーションに投じて増やしてもよいでしょう(後続で詳しく説明します)。
続いては国内株式です。
eMAXIS Slim国内株式(TOPIX):10%
次の10%のポーションは国内の「TOPIX」に連動する同じく「eMAXIS Slim国内株式(TOPIX)」です。
eMAXIS Slim国内株式(TOPIX)もeMAXISシリーズで手数料が非常に低く0.17172%となっております。
長期の資産形成に適した運用報酬となっております。
現在日本の株式市場の世界の時価総額に占める比率は7%〜8%ですが、次のひふみ年金と合わせて国内株式のポーションを20%としております。
理由は日本の企業業績が拡大の一途を辿っているにも関わらず、株価は低迷。
割安度の指標を測るPERが11倍台と過去最低水準となっているからです。
以下の図をご覧ください。
Earning Per Stock(EPS)、つまり『1株あたり利益』はリーマンショク以降拡大を続けバブル期を大きく超え過去最大を更新し続けています。
一方株価は足踏みが続いております。
先進国の中では、米国より圧倒的に割安でBREXITで揺れている欧州よりも割安な水準となっているのです。
正しい評価がなされれば、中長期的には大きく上昇することが期待されます。
よって、日本株のポーションを大きめに設定しております。
ひふみ年金:10%
基本的には長期の資産形成に関しては市場平均に対してプラスのリターンを求めるアクティブ型の投資信託。
そして、TOPIXやS&P500指数へ連動を目指すパッシブ型(インデックス)の投資信託があります。
しかし、例外的に運用開始以降ひふみ投信は市場平均を上回るリターンを上げ続けています。
運用責任者の藤野英人氏のカリスマ性もあることから、
日本株のポーションの半分をひふみ投信がiDeCo用に販売しているひふみ年金に投じてみるのも一つの手といえます。
次は成長著しい新興国の株式ポーションです。
eMAXIS Slim新興国株式インデックス : 20%
現在世界の経済規模を示すGDPベースでみると新興国の比率は世界全体の40%を占めております。
しかし、株式市場の時価総額という観点でみると30%にも満たない水準となっています。
(引用:World Federation of Exchangeより編集部作成)
当然新興国は今後の人口増加によって世界の成長を牽引していくことを考えると一定程度のポーションを組み入れるのは合理的な選択肢となります。
しかし、新興国株市場は一旦世界的な景気後退局面に陥ると先進国の資金が新興国から引き上げられ大きく下落するリスクが高いという難点があります。
現金:10%
金融商品を買うことだけが投資ではなく、市場が怪しい雰囲気を放っていたら投資をせずに一部待つということも投資の一つです。
仮に2019年以降に大きく市場が下落するという事態になった場合は、
待機してある現金10%をeMAXIS 米国株式に追加で投じて長期的に大きな利益獲得をとる原資としましょう。
■ 高リスク志向の方のポートフォリオまとめ:
- 株式投資は長期的にみれば経済成長に伴って右肩あがり
- 特に米国株式市場は200年間安定して年率8.1%で成長している
- 基本は指数に連動するインデックスファンドを中心に組み入れるべし
- 待つも相場。現金ポーションも残しておこう。
(目次に戻る)
中程度のリスク志向高めの方におすすめのポートフォリオ
株式市場のリターンが歴史的にみて高いことは理解しながらも、一時的とはいえ大きく下落するのは避けたい。
しかし、ある程度の利回りは欲しい、という方に向けて、おすすめのポートフォリオを紹介したいと思います。
レイ・ダリオ氏の『オール・シーズン戦略』を参考にした全方位型ポートフォリオ
レイ・ダリオ氏は運用総額17兆円の世界最大のヘッジファンドである「ブリッジウォーターアソシエイツ社」の創業者です。
また現在も同ファンドの運用を行っている偉大なファンドマネージャーとしてしられています。
レイ・ダリオ氏は経済には以下の四つの季節が存在しており、どの順番でくるかは分からないとしています。
■ 経済の四つの季節:
①:経済成長期
②:経済停滞期(いわゆるリセッション)
③:高インフレ期
④:低インフレ期
①:経済成長期
経済成長期では株式投資が有効であることは自明ですね。
②:経済停滞期(いわゆるリセッション)
経済停滞期は安定資産である債券が有効な投資戦略となります。
③:高インフレ期
高インフレが続く環境では金融政策が引き締めに走り、金利が高くなりますので設備投資が抑えられ企業業績が悪化しますので株価は低迷します。
また金利が高くなると額面債券価格も下落するので債券も有効とはなりません。
そこで金等の商品投資を有効な戦略としています。
④:低インフレ期
低インフレ下では金融政策が緩和され金利が低くなり、企業が積極的に借り入れを行い設備投資を拡充させ、企業業績が上向きます。
従い、株式投資が有効な戦略となります。
また現金のままで置いていても、金利がつきません。
高利回りを求めて、リスク性資産の株に資金が流入していくので株式投資が有効な戦略となってきます。
上記の観点を踏まえ、さらに債券に対して株式のリスクが高いことを加味した上で、SBI証券のラインナップからレイダリオ氏のオールシーズン戦略を出来うる限り再現したものが以下となります。
■ 擬似オールシーズン戦略:
- eMAXIS Slim米国株式(S&P500):30%
- eMAXIS Slim先進国債券インデックス:30%
- eMAXIS Slim国内債券インデックス:20%
- 三菱UFJ純金ファンド:20%
顕著な成績を残すことはありませんが、全方位型の安全策を取れるポートフォリオとなっています。
手軽に資産分散を実現できるバランス型の投資信託を活用する方法
上記でお伝えしたオールシーズン戦略は資産が成長する度に常に組み替えていく必要があります。
例えば株式市場が好調な市況が続けば株式ポーションの割合が大きくなるため、
適宜株式ポーションを他の債券・金投資信託に組み替えていく必要があります。
ポートフォリオの組み替えをあまり考えたくないという方もいらっしゃると思います。
そのような方に向けてeMAXISシリーズから日本や海外の株・社債・国債・REITの8資産に均等に投資ポーションを自動で組み替えてくれるeMAXIS Slimバランス(8資産均等型)。
世界の株と債券を50%ずつのポーションを保ちながら投資を実行。
リスクを抑えながら、地味ではありますが着実に資産形成を行なってきている「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」に一括で投資してしまうというのも有効な選択肢となります。
(目次に戻る)
低リスク志向高めの方におすすめのポートフォリオ
とにかく元本の安全性を重視したいという方、特にご年配の方に選好されやすいポートフォリオです。
現金で保有していてもよいのですが、日本円だけを保有するリスクを回避するために先進国債券(40%)と米国株式(10%)を織り交ぜています。
日本政府への信任が揺らぎ日本円の価値が下落して円安を伴ったインフレが発生する場合に備えて日本円建の資産のみを保有することは、むしろリスクとなります。
そのため、先進国通貨主に米ドルを多く保有できるポートフォリオを安全資産である債券を中心に組みました。
以下、プリンストン大学の清滝教授が財政破綻に備える必要について言及しておりますので、ご覧いただければと思います。
低リスクで、着実にリターンを得る投資をするのは、定期預金などを活用すれば難しくはありません。
しかし、それではリターンが低すぎます。
投資をしていく上では、リスクを低く、リターンを大きくしていく必要があります。
リスクが低いまま、リターンを大きくするのは「知識」です。
上記のポートフォリオを組むのも良いですが、さらにリターンを大きくしたいという方は、勉強をして知識をつけることも同時並行で必要になるでしょう。
そこで、検討に入れたいのが、「お金の学校」です。
「知識」は早く獲得すればするほど、新しい知識の吸収スピードも早くなり、活用できる知識の引き出しも加速度的に増えていきます。
着実な資産運用もしながら、お金の基本を学び、リターンを大きくしていきましょう。
(目次に戻る)
まとめ
SBI証券のiDeCoには多様の運用商品のラインナップが用意されています。
それぞれの年齢やリスク選好度によって自在にポートフォリオを組成することができます。
リスク選好毎に以下のことを意識してポートフォリオを組成すると良いでしょう。
🔹リスクをとり大きな資産を長期的に形成したい方 | 歴史的に最高のパフォーマンスを残している株式投資を中心としたポートフォリオで大きな資産形成を目指す。 |
🔹リスクを抑えながら、ある程度のリターンが欲しい方 | 株のみならず債券や場合によっては金等を組み入れたバランス型のポートフォリオ |
🔹リスクを極力とりたくない方 | 債券を中心としながらも、日本円の価値暴落を見据えて通貨分散を行うため先進国債券を取り入れるポートフォリオ |
以上、【リスク志向別】SBI証券のiDeCoが取り扱う投資信託を利用したおすすめポートフォリオを紹介する。…の話題でした。